2020/02/26LROニュース(6)

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  • 2020.02.27 UP
    2020/02/26LROニュース(6)
    • 【1】Deepwater Horizon: 油流出量が従来想定より約3割増し
      • 【1】2010年にメキシコ湾で発生した石油掘削施設Deepwater Horizonでの原油流出について、2月12日、想定されていた油の流出量が従来の約3割多いことがマイアミ大学の研究により明らかになった。米国史上最悪の環境災害とされているこの原油流出事故は、BP社の所有する同施設での掘削作業中の爆発により発生し、11人の労働者が死亡、約1億6800万ガロンの石油がメキシコ湾に流出したが、油はテキサス州の海岸、フロリダ列島、タンパ海岸、フロリダの東海岸の一部にまで到達しているとされ、メキシコ湾の88,522平方マイルが漁業禁止になった。研究者たちが3Dコンピュータによるシミュレーションで油の行方を追跡したところ、衛星の画像からは見つけられなかった低い濃度の油を発見し、衛星では海面に浮かぶ厚い油の層は発見できても、このような「見えない油」までは完全に特定できないと説明した。BP社は、この報告についてのコメントを控えている。
      • 原文 February 12, 2020, CNN(植木エミリ)
    • 【2】コロナウィルス:慈善団体が下船できない船員を訪船支援
      • 【2】中国に寄港した経歴のある船舶を中心に当該船舶の船員の上陸拒否や当該船舶への訪船禁止措置をとっている港湾が世界的に増えてきている。一方でシンガポール港のように既に77件ものコロナウィルスの感染が確認されている港湾では、船舶の方も陸上要員の乗船を拒否している事例がある。Mission to Seafarers Singapore (MTSS)のシンガポール港駐在の牧師は、シンガポールに入港した船舶にできるだけ多く訪船し、上陸できない船員に対して支援を行っているが、ウィルスの感染を恐れて逆に牧師の訪船を拒む船舶もあるので、その場合には、船員が支援を必要とする場合に備えて、MTSSの連絡先と同港の基本的な情報を当該船舶のgangwayのところにおいて来るようにしている。船員支援慈善団体のStella Marisも40ヵ国の300以上の港湾に訪船ネットワークを持っているので、船員に対する邦船支援を実施しているが、比と南アでは訪船支援活動が禁止されている。
      • 原文 February 18, 2020, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
    • 【3】船舶の代替燃料としてのアンモニアの可能性
      • 【3】海運業界におけるGHG削減の一環として、燃焼時にCO₂を排出しないアンモニアを船舶の代替燃料として使用することが試みられている。英国王立協会の報告によると、アンモニアを生成する過程で排出されるCO₂は、全世界のCO₂総排出量の内1.8%を占めているが、生成時に排出されるCO₂を回収して地中に埋め込む二酸化炭素貯留(Carbon Capture and Storage:CCS)技術が確立すれば、CO₂を排出しないでアンモニアを製造することができる。舶用機関設計事業者のMan Energy Solutionsはアンモニアを燃料とする2ストロークエンジンを2024年までに開発し、肥料としてアンモニアを運搬している既存のタンカーに装備することを計画している。アンモニア燃料は、既存のディーゼル燃料に比べて熱量が低いため、水素等他の代替燃料と同様に、燃料を貯蔵する為の巨大なスペースを確保する必要があり、その分積載可能貨物が減るという欠点がある。
      • 原文 February 19, 2020, BBC(植木エミリ)
    • 【4】コトヌー沖でタンカーから9人の船員が誘拐
      • 【4】2月20日午前1時10分ころ、ベナン共和国のコトヌーの南西約76海里沖の海上をナイジェリアのラゴスに向け航行中であった原油タンカーで、当直士が武装した2人の賊が乗船しているのを発見し警報を発したがその後連絡が途絶えた。再び同船と連絡がとれたのは午前9時40分ころで、結果として9名の船員が誘拐された。同船にはジョージア人、フィリピン人及びウクライナ人の計24名の船員が乗船していたが、誘拐された船員の特定には至っていない。2019年1月以降にコトヌー沖で発生した賊による襲撃事件は7件であり、このうち5件で賊が不法に乗込み、さらに、このうち2件で船員が誘拐されている。今年1月19日には、今回の事件発生場所から東方約11海里の場所でコンテナ船に賊が不法に乗込む事案が発生している。2019年、コトヌー沖やトーゴ共和国のロメ沖では海上犯罪の件数及び悪質性がともに増加しており、Dryadは付近を航行するすべての船舶に対して、事前のリスク評価とリスクを軽減するためのあらゆる措置を講じることを推奨している。
      • 原文 February 20, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【5】15の捜索救難ボランティア団体が英政府から100万ポンドを支給される
      • 【5】英国では行方不明者の捜索や洪水により取り残された人の救出などを行うボランティア団体が全国に存在し、日々捜索救助活動に当たっているが、その活動に必要な資金は寄付金に頼っている。英国運輸省は2月20日、新たに15の捜索救難ボランティア団体に対し、捜索救難活動に必要な装備を購入するための資金として、基金(The Rescue Grant Boat Fund)から総額で100万ポンドを支給したことを発表した。英国で最も歴史がある捜索救難ボランティア団体の一つであるBerkshire Lowland Rescueは3万8千ポンドを超える資金を支給され、行方不明者の捜索に使用する熱画像装置などの購入に充てるとし、他の団体も新たな支援車両やボート牽引車の購入などに充てるとしている。同基金は2014年に設立されて以降、104の団体に対して総額で約570万ポンドを提供している。
      • 原文 February 20, 2020, 英国運輸省(若林健一)
    • 【6】米海軍が中型海上無人艦艇の研究開発計画に10億ドルの予算を配分
      • 【6】米国海軍は現在約290隻の艦艇を保有しているが、トランプ大統領は355隻体制に拡充することを提唱している。この目的の実現のためには、予算面でも乗員数の面でもかなり厳しいため、現在就役している有人の艦艇を早めに退役させ、浮いた財源で無人海上艦艇の導入を進めることを計画している。2018年には、具体的に、4500海里を16ノットで、90日間有人の保守管理無しで作戦行動ができ、敵の乗船やサイバー攻撃を防ぎ、海上で無人給油が可能で、自律運航し、3個のコンテナに収納された装備を搭載でき、1年間で建造可能で耐用年数15年という諸条件を提示して、中型無人海上艦艇の建造につき民間企業の提案を募集したが、さらに海軍は2025年会計年度までの間に約10億ドル(約1100憶円)を投じて、選定した40社を対象に競争入札を行い、無人海上艦艇の開発を進めることを発表した。
      • 原文 February 19, 2020. The Maritime Executive(長谷部正道)
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