2020/02/25LROニュース(6)

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  • 2020.02.26 UP
    2020/02/25LROニュース(6)
    • 【1】もし外航貨物船の船員がコロナウィルスに感染したら?
      • 【1】ダイヤモンドプリンセス号の船員の多くが日本でコロナウィルスに感染したが、国際運輸労連(ITF)によれば、非クルーズ船で船員がコロナウィルスに感染したという情報は未だ把握されていないが、中国等に寄港した船舶に乗り組む船員から、健康問題を心配する多くの問い合わせを既に受けている。仮に、船員の間でコロナウィルスが拡大すれば、船員の健康の問題のほかに、入港時に船舶が検疫され、最悪の場合入港が拒否されることもありうる。船員はコロナウィルス感染のリスクから保護される権利を持つので、コロナウィルスに汚染されている港湾に入港すれば、船員は自分が下船しなくても、乗船してくる陸上要員からコロナウィルスが感染する可能性があるので、こうした港湾に入港すること自体を船員が拒否できるのではないかという議論がある。
      • 原文 February 14, 2020, American Shipper(長谷部正道)
    • 【2】PPR 7: EGCS洗浄水による海洋環境汚染に関するICCS報告書が提出
      • 【2】Friends of the Earth International(FOEI)・WWF・Pacific EnvironmentはICCTが作成した報告書(以下のリンク参照)を第7回汚染防止・対応小委員会1(PPR7)に提出したところその概要は以下のとおり。①British Columbia沖の北米排出規制海域(ECA)のカナダの海域で、2017年に30隻のスクラバーを装備した船舶が、3500万トンのスクラバー洗浄水を排水した。このうち9割がクルーズ船だった。②調査対象となった海域のうち、絶滅危惧種のシャチが生息する海域は0.6%に過ぎないが、その狭い海域にスクラバー洗浄水の1割が排出された。③重油を燃料油とする船舶の9割がシャチ生息海域を通航した。④重油を燃料とする船舶数は、IMO 2020規制のために減少しているが、スクラバーを装備して重油燃料を使用する船舶の数が、コンテナ船・ばら積み船・Ro-Ro船で増えるので海に排出されるスクラバー洗浄水の量は約35%増えると考えられるが、2020年の実績では、依然としてクルーズ船からの洗浄水排水が全体の2/3を占める。⑤絶滅危惧種のシャチは既に様々な環境上のストレス要因にさらされているが、EGCS洗浄水の増加が更なる悪影響を与える。
      • 原文 December 11, 2019, ICCT(長谷部正道)
    • 【3】英国:洋上風力発電によって製造した水素から発電する事業
      • 【3】英国においては、2050年のGHG排出中立を目指してGigastackという事業が、ITM Powerなどを中心とした企業によって進められ、2019年に終了した第1期事業では、低コストの5MWの電気分解装置を作成し、洋上風力発電との連携を検討し、商業化レベルの100MWの電気分解装置にどの程度市場ニーズがあるか検討した。このほどビジネス・エネルギー・産業戦略省から新たに750万ポンド(約11億1千万円)の資金を得て、コンソーシアムは100MWの電気分解装置の基本設計(FEED)に着手する予定。FEEDにおいては、コンソーシアムの一員であるOrsted社が運用する二つの洋上風力発電場から送電された電力を利用して水を電気分解して製造された水素の購入者(industrial off-taker)までの水素生産システムの詳細・実用レベルの設計を行う。
      • 原文 February 18, 2020, Offshore Wind Biz.(長谷部正道)
    • 【4】ICS: パナマ運河庁にFreshwater Charge導入の先送りを要請
      • 【4】パナマ運河庁は4月1日から運河通航料金の17%引き上げを実施するが、料金の引き上げにあたっては、昨年から海運業界を含むすべての関係者が参加して、料金の引き上げ幅と実施時期について協議が行われ、通航料金の引き上げを海運会社がきちんと運賃に組み込めるような時間的余裕も与えられた。一方で、パナマ運河庁はわずか1か月間の通告期間で2月15日より、Freshwater Charge(FC)を導入すると発表した。具体的には船の長さが、125フィート(38.1m)以上の船舶には一律1万ドルが課金され、さらに運河通過時の運河の水源となるガトゥン湖の水位に応じて変動のサーチャージが徴収されるので、FC全体で15%の運賃引き上げ効果があり、元々合意されていた4月からの運賃改定分と合わせて3割以上の通航料金の引き上げとなる。コロナウィルス等の影響で現在海運需要が縮小し、運賃引き下げ圧力が高まり、IMO 2020規制の影響で燃料費が上昇している中で、海運業界は最小限の利幅で運航しており、今回の突然のFCの導入は、今後GHG削減に対する投資も必要な海運業界に不当な追加圧力をかけるものであり、パナマ運河庁にFC導入を延期することを国際海運会議所(ICS)として強く要請する。
      • 原文 February 13, 2020, ICS(長谷部正道)
    • 【5】環境NGOが欧州議会に海運からのGHG削減をEUが主導するよう要請
      • 【5】海運に関連する気候変動問題の活動家たちが新たに結成したSort Your Ship Out(SYSO)は2月19日、国際海事機関(IMO)に代わって海運業界のGHG削減をEUが主導するよう訴えた。欧州海運週間の中日にあたるこの日、欧州議会運輸委員会ではEU MRV規則の見直しの一環として海運からのGHG削減について議論が行われたが、同団体は、海運のGHG排出に関してはIMOが責任を担っているにも関わらず、京都議定書から23年経っても未だに有意義な規制が実施されていないのはあまりに行動が遅すぎると述べた。団体はEUに対して、船舶からのGHG排出に支払いを課し、将来的にGHGを排出しない船舶の技術開発基金を作るよう要請しているが、多くの国際海運団体は、EUによる地域的な規制に懸念を示しており、IMOに従来通り規制当局であり続けるよう求めている。欧州委員会新委員長は議会において、2050年までに欧州で世界最初に炭素中立化を実現するための計画の一部として、排出権取引制度の導入を支持すると表明した。
      • 原文 February 19, 2020, Splash247(植木エミリ)
    • 【6】ECSA: EU Green Dealに対するPosition Paperを発表
      • 【6】欧州船主協会(ECSA)は2月19日、2050年までに欧州での炭素中立化を目標に掲げるEU Green Dealに対してPosition Paperを発表したが、その概要は以下のとおり。①海運業界は国連気候変動枠条約(UNFCC)が定める地球の気温上昇を産業革命以前と比較して1.5℃以内に抑え込むという目標の達成に従い、海運からのGHG排出をゼロにすることを約束する。②国際的な輸送手段である以上、国際海運によるGHG削減を各国の自主的な削減目標(NDCs)に含めることは不適切であり、IMOで合意された削減目標は、パリ協定の加盟国がこれまでに約束したGHG削減量の総量を超えている。③過去10年間に、海運分野では炭素効率を3割程度向上させ、2008年から2015年にかけては、同期間中の海洋貿易が大幅に増えたにも関わらず、GHG排出量を約8%削減した。④EUによる独自の規制は、排気規制の緩い国への逃避(carbon leakage)や競争条件の不均衡を招く恐れがあり適当でない。⑤気候変動対策に関するEUの取り組みは評価するが、あくまでIMOにおける国際的な規制の作成との促進という形で貢献すべきである。
      • 原文 February 19, 2020, ECSA(植木エミリ)
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