2020/02/07LROニュース(6)

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  • 2020.02.10 UP
    2020/02/07LROニュース(6)
    • 【1】Shipbreaking Platform: 2019年船舶解撤年次報告書を発表
      • 【1】2月4日、NGO Shipbreaking Platformが2019年における船舶解撤実績年次報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①2019年中に全世界で674隻の商船と洋上プラットフォームが解体されたが、うちGTベースで全体の9割の469隻の大型船舶等がバングラデシュ・インド・パキスタンにある3つの海岸で解体された。②その中でもバングラデシュが有害廃棄物を積んだ船舶の解撤量が最も多く、船舶が乗り上げられる干出域に回復不能な環境損害を与えている。③そのような環境汚染を知りつつも、船舶を解撤する船主は少しでも高く売れるところ(解撤コストが低いところ)に船舶を売却したがる。④プラットフォームが把握した限り、2019年には26人の解撤作業員が作業中に死亡しており、うち24人はバングラデシュのチッタゴンの解撤場で亡くなり、2010年以来最多の犠牲者となった。⑤インドの船舶解撤場での事故記録は公開されないが、船舶リサイクル香港条約に従って設備が改善された(が、EUの承認船舶解撤場として承認されていない)船舶解撤場でも少なくとも2名の作業員が亡くなった。
      • 原文 February 4, 2020, Shipbreaking Platform(長谷部正道)
    • 【2】THETIS-Med: 地中海諸国がPSCの整合性を強化
      • 【2】欧州海上保安庁(EMSA)は、欧州委員会の拡大交渉総局(DG NEAR)の資金援助を得て、2017年3月から通称Seamed IV(欧州・地中海地域海上安全事業)を開始し、地中海周辺諸国の地域的な連携を促進し、併せて海上安全・環境汚染防止・海上保安・船員の労働条件の向上について必要な技術協力を実施して来た。Seamed IVの対象となる地中海MoUの加盟国であるアルジェリア・サイプラス・エジプト・イスラエル・ヨルダン・レバノン・マルタ・モロッコ・チュニジア・トルコの間のPSCに関する活動の整合化を図るため、情報共有制度を創設することは、地中海地域の海上安全に関する標準を強化し、地域内の港湾間・海運事業者間の競争条件の不均衡を防止するのに有効であると、2017年10月の地中海MoUの第19回委員会で合意され、それ以来、EMSAは情報共有制度の開発を進めてきたが、2020年2月から、THETIS-Medとして運用を開始した。
      • 原文 February 4, 2020, EMSA(長谷部正道)
    • 【3】Hapag-Lloyd: 本年末までにCO₂排出を半減(対2008年実績比)
      • 【3】Hapag-Lloyd社は、船舶運航によるCO₂排出量を本年度末までに同社の2008年実績比に対し半減する目標へ乗り出した。同社はオランダ・ロッテルダムにて、同社が所有する大型船「モントリオール・エクスプレス」に“B20”と呼ばれる80%は低硫黄燃料、20%は外食産業などで使用された食用油によるバイオディーゼルから構成された燃料を初めて給油したが、B20の排出するCO₂は、従来の燃料より最大90%少ないとされている。同社はヨーロッパ~カナダ間で当該船舶の試験運行を行う予定であり、航行中に燃油に含まれるバイオディーゼルが船舶の装置や給油系統に悪影響を与えないか点検し、問題がなければ、将来的に同社のより多くのコンテナ船でB20の使用を検討するとのこと。
      • 原文 February 3, 2020, Hapag-Lloyd(植木エミリ)
    • 【4】コロナウィルス:中国国内港湾等の状況
      • 【4】2月3日時点での、コロナウィルスに関する中国の港湾の現状概要以下のとおり。①ウィルスの影響を受けている港湾:上海・天津・黄力・連雲港・合肥・曹妃旬港等②着岸する前の健康診断:着岸する前に14日間の待機時間(寧波)、着岸前に税関職員が乗り込んで船員の体温チェック(大連)等③停泊中の船員の行動:船員が陸上要員と接触する際にはマスクの着用を義務付け(大連・広州)船員は毎日体温測定を義務付(天津)④食料・物資の船舶への供給に関する制限:24時間以上前に食料・物資供給の申請が必要(天津)、食料・物資供給が一部制限(青島とその周辺)⑤船舶の修繕:作業員不足により遅延。特に、舟山市においては、同市以外のナンバープレートの自動車、域外の住民の市内への立ち入りが制限されているので、造船所の効率は大幅に低下。⑥貨物の集荷:湖北省とその周辺地域の間の交通が制限されているため、輸出貨物の一部が積出港に運送できない状況。
      • 原文 February 5, 2020, Dryad Global(長谷部正道)
    • 【5】コロナウィルス:中国関係の国際物流への影響
      • 【5】Drewryがコロナウィルスによる国際物流への悪影響を取りまとめたところ概要以下のとおり。(1)既に発生している影響①旧正月が延長され中国国内の工場と供給網の停止期間も延長②海運会社が中国発欧州・北米向けの配船の多くをキャンセル③航空会社が中国からの航空貨物の輸送能力を縮小④港湾・税関当局の業務停止期間が延長、海運会社の中国国内の事務所も閉鎖され従業員は在宅勤務⑤コンテナが無料留置期間を超えて、コンテナターミナルまたは工場内に滞留⑥海運会社はコンテナの超過保管料・返却延滞料を1週間分免除⑦各国政府・企業が中国への渡航を制限(2)今後発生する可能性が高い影響①中国国内の工場がさらに2-4週間完全操業を再開できない。②中国から製品・部品の供給を受けている国における在庫の払底③欧州・北米における空コンテナの不足④中国発着のコンテナ貿易に依存する海運会社・港湾関連産業の業務効率が低下して2月は赤字に転落⑤太平洋航路の2020/21期の年間契約について、米国の荷主側の入札が始まる時期だが、中国側職員の不足で、契約作業が進展しない。⑥既存のサプライチェーンの混乱により、中国の輸出入量の一部が海外に移転する。
      • 原文 February 4, 2020, Drewry(長谷部正道)
    • 【6】コロナウィルス:中国発コンテナ海運運賃に与える影響
      • 【6】コロナウィルスが中国のコンテナ海運運賃に与える影響をAlphalinerが分析したところその概要は以下のとおり。①中国政府が旧正月の期間を2月10日まで延長したことにより、世界全体の港湾の貨物取扱量がさらに0.7%減少する。②中国国内の港湾に限れば、今回の旧正月の延長で工場の生産量がさらに減少し、2020年第一四半期中に合計で600万TEUの貨物量が減少する見込み。③中国国内の主要港に寄港したコンテナ船の運航実績を見ると、1月20日以降20%以上の減少が既に確認されている。④旧正月終了後も、海運会社はさらに多くの減便を検討しており、旧正月後は荷動きが鈍い季節であることやコロナウィルスの感染が中国国内で依然拡大していることから、コンテナ輸送量が急回復することは望めない。⑤中国=米国西岸航路は、ウィルス問題が発生する前から、既に運賃が対前年比26%下落していたので、ウィルス問題による更なる運賃の下落は今のところほとんどないが、中国=欧州航路の運賃は先週から既に14%急落している。⑥旧正月終了後に、工場生産が再開されることにより、運賃相場がどれだけ回復するかは、工場の生産停止がいつまで続き、再開後どれだけ速やかにフル操業に回復できるか、トラックや倉庫業などの物流関係の労働力不足がどれだけ影響するかにかかっている。
      • 原文 February 5, 2020, The Loadstar(長谷部正道)
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