2020/01/29LROニュース(6)

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  • 2020.01.30 UP
    2020/01/29LROニュース(6)
    • 【1】Dryad Global: 2019年海上保安事件年次報告書
      • 【1】Dryad Globalは、2019海上保安事件年次報告書を公表したがその概要は以下のとおり。①2019年に世界で最も多く発生した海上犯罪は強盗事件で全体の47%を占めている。②インド洋周辺では、イエメンの内戦の影響で紅海において移民の数が急増し、米国による対イラン制裁やイランによる英国籍タンカーの拿捕等により緊張が高まった一方で、海上犯罪の発生件数は2018年と比べ73%、2017年と比べ83%減少し、5月1日にはインド洋の高危険区域(High Risk Area)が2015年10月以来初めて縮小された。④西アフリカでは、ナイジェリアの排他的経済水域を中心に身代金目的の船員誘拐事件が急増し、犯罪発生件数と犯罪類型から商船にとって最も危険な海域となっている。⑤リビア沖では、2018年と比較して欧州へ向けて地中海を渡る移民の数は減少傾向にあるが、首都トリポリを巡る争いも影響し、リビア沖を航行する商船が救助の支援を求められるケースは2020年も引き続き発生するとみられる。⑥東南アジアでは、海上犯罪の発生件数が2018年と比べ15%減少し、過去5年間では約80%減少したが、依然として船舶の乗っ取りや身代金目的の船員誘拐などの海上犯罪が発生するリスクは高い。
      • 原文 January 20, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【2】BIMCO: 最新のペルシャ湾のリスク分析と米国による制裁回避について
      • 【2】1月上旬に米国が無人機によりイランのソレイマニ司令官を殺害し、イランは報復措置として米軍事施設へのミサイル攻撃を実施したが、今後、ペルシャ湾、ホルムズ海峡、紅海などあらゆる海域でイランやシーア派組織が、航行の自由を阻害するために米国やその同盟国と関連のある船舶、船員、積荷などを報復措置の標的とする可能性が高い。海運業界は、米国とイランによる対立が波及する可能性がある海域で船舶を運航する場合には、英国海運貿易オペレーション(the United Kingdom Maritime Trade Operation)への通報、防水・防火能力や見張りの強化などの基本的な予防措置をとることが望まれ、また、船舶所有者は、すべての関連要素を考慮してリスク分析を行う必要がある。米国のトランプ政権は、新たにイラン政府高官8名や17社のイラン企業などを制裁対象に追加したが、ペルシャ湾周辺で貿易活動を行う場合には、米国の対イラン制裁違反を回避するため、すべての関係者について制裁内容を踏まえ注意深く確認するとともに、最新版の制裁条項基準(the BIMCO SANCTIONS CLAUSE FOR TIME CHARTER PARTIES 2020 及びthe BIMCO SANCTIONS CLAUSE FOR VOYAGE CHARTER PARTIES 2020)の内容を用船契約に盛り込むことを推奨する。
      • 原文 January 21, 2020, BIMCO(若林健一)
    • 【3】欧州議会聴聞:EU MRV制度の見直しと排出権取引制度
      • 【3】2018年1月より施行された、EU域内に寄港する船舶が排出するGHGガスの観測・報告及び検証を行うEU MRV制度の見直しが欧州議会で検討された。船舶のCo2排出量を算出するために使われるデータについて、どのような情報を報告に含めるかについては未だ議論が継続しており、積み荷とその量を今後も報告に含めるか否かは主要な議題の一つである。産業界から唯一聴聞に招かれた海運複合企業の規制担当役員は、船舶ごとのエネルギー効率を把握する為に、消費燃料ばかりでなく実際に運搬した貨物とその量も引き続き報告の対象に含むべきであると述べた。また2050年までに海運分野の炭素中立を達成する手段として、海運をEUの排出権取引制度の対象とすることに反対の立場を示すとともに、上記目標達成のためには、あくまで新技術開発を進めるべきであると述べた。
      • 原文 January 22, 2020, デンマーク船主協会(植木エミリ)
    • 【4】英MCA: 洋上風力発電施設等の設置に関する船舶航行安全性評価手法の改正案
      • 【4】英国海事沿岸警備庁(The Maritime and Coastguard Agency : MCA)は、洋上風力発電施設等の設置に関する船舶航行安全性評価手法(以下「安全性評価手法」)について、近年の洋上風力発電の急速な普及を踏まえ、その内容が船舶交通の安全性と捜索救助能力の維持という従来の目的に合致したものとなるよう、また、再生可能エネルギーに関する政府の目標達成を支援するために設置者による合意形成のプロセスを促進するものとなるよう、洋上風力発電施設等の設置による船舶航行安全性等への影響評価のための手引書等、安全性評価手法に関する3つの文書について改正案を作成し、4月13日を期限に意見の公募を行っている。
      • 原文 January 21, 2020, MCA(若林健一)
    • 【5】ロシア:国家北極海開発戦略最終案を3月20日までに作成
      • 【5】ロシア極東・北極海開発省は、北極圏の地方政府・学識経験者・専門家と協力して、住民から提案された650以上の提案を含む、2035年までの期間を目標期間とする国家北極海開発戦略案を作成し関係省庁や地域の関係者と意見交換を進めている。これらの協議を踏まえ、3月20日までに最終案を策定したうえで、ロシア安全保障理事会に戦略案を提出し、承認を受けたうえで、具体的な内容は6月に開催されるサンクト・ペテルブルグ国際経済フォーラムで発表される予定。同省はさらに、この戦略を実施するために、北極海に関する様々な法案をロシア下院である国家院に提出する準備を進めている。これらの法案の中には、戦略の中で承認された新たな事業に対して1千万ルーブル(約1800万円)以上の投資を行う事業主体に対する税制上の優遇措置を含む起業家に対する支援パッケージが含まれる見込み。
      • 原文 January 23, 2020, Arctic(長谷部正道)
    • 【6】海運の非炭素化によって世界のエネルギー転換が促進
      • 【6】海運は世界全体のGHG排出量の2%-3%を占めており、世界の人口が増加し貿易量が増えれば、船舶から排出されるGHG削減の対策が取られなければ、2050年までに総排出量が50%-250%増えることが予測される。船舶からのGHG排出量を2050年までに半減するために必要な投資は1.4兆ドル(約150兆円)に上るとUMASは試算しているが、この投資額の87%は陸上の低炭素燃料を生産・供給するためのインフラ建設のためのもの。全世界で消費される船舶燃料は年間2億5千万から3億万トンであること考えると、船舶の脱炭素化が進むことによって、炭素ゼロ燃料を生産・供給する1兆ドル規模の新たな事業機会が生まれることとなる。
      • 原文 January 22, 2020, 世界経済フォーラム(長谷部正道)
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