2019/12/26LROニュース(6)

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  • 2019.12.27 UP
    2019/12/26LROニュース(6)
    • 【1】 米政府:イラン制裁措置に伴うCOSCOタンカーに対する特例を延長
      • 【1】米国政府は、2015年のイラン核合意から昨年離脱して以降再びイランによる石油の輸出に対して制裁を課したが、イラン産原油の購入を続ける中国に対してその取扱量を削減させるため、今年9月下旬に、イラン産原油の輸送に関わった疑いでCOSCOのタンカー子会社(COSCO Shipping Tanker(Dalian))を含む中国企業4社を制裁の対象に追加したが、制裁の影響に対する懸念から石油や液化天然ガスの海上輸送コストが高騰したことを受け、10月に同社と同社が株式の50%以上を保有する会社への制裁措置を2ヶ月間猶予する特例措置を発表していた。米国政府は12月19日、この特例措置を2020年2月4日まで延長することを発表した。
      • 原文 December 19, 2019, Reuters(若林健一)
    • 【2】 深圳市が30億元の海事産業振興基金を設立
      • 【2】深圳市は海事産業振興のために30億元を投資して新たな基金を設置する計画を固めた。基金の35%を深圳市が出資し、残りは民間投資を募集する。基金は造船業・代替燃料を使用する舶用機関や船舶のデジタル化の研究開発・船舶ブローカー業・船舶保険業・海事法務など幅広い分野に投資を行う予定。深圳市はこの基金による投資で地元の海事産業のスマート化とグリーン化を促進し、深圳市を重要な海事都市とすることを目標としている。深圳港は世界第4位のコンテナ港湾で2018年には2573万teuのコンテナを取り扱った。
      • 原文 December 20, 2019, Splash 247(長谷部正道)
    • 【3】 欧州港湾協会が欧州委員会に競争法一括適用除外延長に対し意見提出
      • 【3】12月19日、欧州港湾協会が欧州委員会に対し、コンソーシアに対する競争法の一括適用除外を延長する委員会提案について、欧州委員会に対する要望事項を提出したところその概要は以下のとおり。①港湾利用料金や港湾サービスについて、港湾管理者に対するアライアンスの交渉力が過大にならないように監視すること。②アライアンスが港湾管理者に対して過大な投資を要求しないか監視すること。③船社間の水平的なアライアンスだけでなく、陸上サイドや物流チェーンも巻き込んだ垂直的なアライアンスの影響についても考慮すること。④伝統的な船社間のアライアンスばかりでなく、市場の新規参入者の動向も監視すること。⑤海運利用者への金銭的な便宜の供与だけではなく、特別なサービスの提供などサービス面での便宜供与も監視すること。
      • 原文 December 19, 2019, ESPO(長谷部正道)
    • 【4】 カリフォルニア州沖の海水が世界平均の2倍の速度で酸化
      • 【4】海洋は地球表面の7割以上をカバーし、産業革命以来、人類が排出したCO₂の1/4以上と熱量の9割を吸収してきた。海洋に多くのCO₂が吸収されると海洋の酸性化が進むが、海洋の酸性化の研究が始まってからほんの数十年で、海洋の酸性化に関する歴史的なデーターがこれまでなかったが、12月16日に、Nature Geoscience誌に発表された研究では、サンタバーバラ海盆に堆積していた特殊な微小な貝殻を採取し、100年前までさかのぼって分析した。海洋の酸性化が進むほど、貝類にとって貝殻を作成するのが困難になるので、貝殻の厚さを経年的に調べれば、貝殻が作成された当時の海洋の酸性度を推測することができる。この結果、カリフォルニア州沖の海水は1895年以来0.21pHが減少しており、世界平均(0.1pH)の2倍の速度で酸化していることが分かった。またこの分析の結果、太平洋10年周期運動(Pacific Decadal Oscillation)と呼ばれる気候変動やエルニーニョ現象やラニーニャ現象が海洋の酸性化に影響を与えていることも判明した。
      • 原文 December 16, 2019, Los Angeles Times(長谷部正道)
    • 【5】 欧米で減り続ける発電用石炭の需要
      • 【5】石炭は1世紀半にわたって、産業化を支える主要燃料としての地位を保持し、現在でも石炭火力発電用の一般炭として、製鉄用のコークスになる粘結炭として主要原材料の地位を維持しているが、石炭の海上輸送量は12億トン程度で停滞しており、石炭需要の拡大は止まったように見える。製鉄用石炭需要は減らないものの、よりクリーンな燃料に押されて、石炭による発電量は全世界で3%減少した。但し、石炭に対する需要の傾向は地域によって大きな差がある。米国では安いシェールガスと再生可能エネルギーに押されて、過去5年間既に石炭消費量は減少を続け、この傾向は欧州でも同じで、英と独を例にとると、両国の電力消費量は今世紀初頭に既にピークアウトし、両国の石炭輸入量も過去5年間減少を続け、独ではまだ国内産の褐炭を発電に使用しているものの、英国においては石炭火力発電は姿を消した。
      • 原文 December 17, 2019, Energy Post(長谷部正道)
    • 【6】 IMO2020: 課題を残す世界レベルでの整合的な規制の適用・遵守
      • 【6】現段階では90以上の国がIMO2020規制の根拠となるMARPOL条約附属書VIを批准しているが、アフリカや南米の諸国の大半はまだ同附属書を批准していない。IMO事務局は規制の遵守については船舶の旗国が責任を持っており、上記諸国が批准してなくても、批准を終えている国が所有する船腹量は世界全体の船腹量の97%に達しているため、全世界的な規制の適用には問題がないとしている。しかし、例えばロシアは、2020年から外航海運には規制の適用を行うものの、国内の河川を利用する内航船の燃料コストが急騰するのを避けるために、内航船への適用は延期すると10月に表明している。またイスラエルはIMO2020規制より厳格な国内規制を検討しているが、いつ当該国内法ができるか不明である。NZは前政権が同附属書批准の作業を行っていなかったため、12月になってようやく附属書に署名する予定だが、内航船に対する適用は2022年以降となるとしている。NZに寄港する外国船舶に規制適合油を供給する体制についても準備中でいつから供給できるか不明な状況となっている。
      • 原文 December 20, 2019, Euractiv(長谷部正道)
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