2019/12/25LROニュース(6)

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  • 2019.12.26 UP
    2019/12/25LROニュース(6)
    • 【1】 北極海北西航路船舶交通量:2019年における通過通航船舶数が増加
      • 【1】カナダ沿岸警備隊の発表によれば、東端のバフィン湾と西端のボフォート海をつなぐカナダの北極海の島々の間を通航する北極海北西航路(Northwest Passage: NP)の2019年における通過通航船舶数は27隻となり、2017年の31隻には及ばないものの、2018年は5隻だったのと比較すると、商船の通過運航が増えたため大幅に回復した。通過航行した商船の内訳は、一般貨物船が5隻と旅客船が5隻だった。以上に加えて、バフィン湾とケンブリッジ湾の間やボフォート海とリゾルート湾の間などNPの一部を航行した船舶の数は24隻に達した。また、11月27日現在でイカルイトの海上交通支援センターによる航行支援を受けた貨物船・クルーズ船・研究船・ばら積み船・漁船・プレジャーボート・沿岸警備隊の巡視船の数は合計で191隻だった。
      • 原文 December 11, 2019, RCI(長谷部正道)
    • 【2】 欧州環境庁:バイオマス燃料の使用に警笛
      • 【2】欧州環境庁(EEA)がバイオマス燃料の使用に注意を促すブリーフィングを発表したところその概要は以下のとおり。①過去20年間欧州全域で再生可能エネルギーの消費が急激に進み、コストも安くなった。②2005年から再生可能エネルギーのシェアが伸びなかったとしたら、化石燃料の使用が増えて、2018年におけるGHGの排出量は実績より11%多いものとなった。③2005年以来、欧州全域で化石燃料の使用が代替燃料に順次置き換えられたため、2017年時点で欧州全域で二酸化硫黄の排出量が7%、酸化窒素の排出量が1%それぞれ減少した。④しかし、2005年以降のバイオマス燃料利用の増加により粒子状物質(PM)が大気中に直接放出されたことにより、PM2.5が11%、PM10が7%、揮発性有機化合物(VOCs)が4%それぞれ増加した。⑤エネルギー転換による、気候変動と人類の健康への好ましい影響を最大限にするために、政策立案者は、バイオマス燃料の環境への影響について留意する必要がある。
      • 原文 December 19, 2019, EEA(長谷部正道)
    • 【3】 英国気候変動委員会(CCC)が首相に気候変動対策の推進を要請
      • 【3】英国政府の独立行政委員会である気候変動委員会(CCC)の委員長が首相あてに気候変動対策の着実な実施を促す書簡を送ったところ、特に優先的に取り組むべき事項として要請しているのは以下のとおり。①洪水に対するリスクの軽減: 保守党の総選挙公約で約束されたように堤防関係予算を40億ポンドに増額し、堤防では守ることができない20万戸に対して、各戸ごとに浸水防止板を設置する。②猛暑の管理: 現在毎年、英国全体で2千人以上が猛暑のために死亡しているが、今後30年間に死亡者の数が7千人を超えることが予想される。エアコンを付けなくても建物が冷やされるように建築基準を改める。③渇水対策: 2050年代には1日当たり、イングランドだけで30億リットルの水が不足すると予想されており、1人当たりの水消費量を3割削減するとともに、水供給能力を早急に拡充する必要がある。④自然環境の保護: 選挙公約にもあるNature Climate Fundを活用して、生物多様性の回復のため、植林の増加と泥炭地の回復を図る。
      • 原文 December 18, 2019, CCC(長谷部正道)
    • 【4】 欧州委員会:現代重工による大宇造船海洋の吸収合併について詳細調査
      • 【4】12月17日、欧州委員会は欧州合併規則(European Merger Regulation)に従って、現代重工による大宇造船海洋(DSME)の吸収合併に関する申請について、世界的な大手造船2社が合併することによって、様々な貨物船に関する国際的な造船市場の競争が阻害され、欧州の船主・海運会社・荷主に悪影響を及ぼさないか詳細調査に入ると発表した。貨物船の造船はEUにとって重要な産業であり、海運はEU域内の物流の3割、EU域外との貿易の9割を担っている。欧州の海運会社はDSMEと現代重工の重要な顧客で、世界の貨物船の需要の3割を占めている。欧州委員会の事前調査では、DSMEが無くなることで、大型コンテナ船・石油タンカー・LNG輸送船・LPG輸送船の4つの造船市場の競争が阻害される恐れがある。またこれにより、船主や海運会社が合併後の会社に対して十分な交渉力を維持できないことを懸念している。
      • 原文 December 17, 2019, 欧州委員会(長谷部正道)
    • 【5】 ABS/American Club: 船員負傷事故情報と船舶ニアミス情報を分析
      • 【5】ABS/American Club/Lamar大学は、12000件の船員負傷事故情報と10万件の船舶ニアミス情報を共同で分析した結果を12月16日発表したところその概要は以下のとおり。①分析の対象となった事故情報は統一された基準のもとに作成されていないため、包括的な分析が難しく、今後船員負傷事故報告に関する包括的な報告基準の作成が必要。②船員負傷事故の多くは、貨物を持ち上げているとき、船員が滑ったり、踏み外したり、転落したときに発生していた。③American Clubが6年間に船員負傷事故のために支払った保険金額が8500万ドルを超えており、1事故当たりの平均補償額は全事故平均で6万5千ドルで、状況ごとにみると、貨物を持ち上げに伴う事故補償額の平均が4万8千ドル、滑った時が6万5千ドル、踏み外し・転落したときが8万8千ドルとなっている。④負傷部位別にみると、頭か首を負傷した場合が10万ドル以上、胴や背中を負傷した場合が6万6千ドルとなっている。⑤今回のような分析により船主・船会社が船員事故によるコスト面での影響を把握するとともに、船員の福祉の向上につながることを期待する。
      • 原文 December 16, 2019, ABS(長谷部正道)
    • 【6】 IMO 2020: スクラバーを選択した船主が圧倒的に有利な状況
      • 【6】2018年にDNV GLが行った試算では、規制に適合するVLSFOと従来の重油燃料HFOのトン当たりの価格差が175ドルあれば、開放型スクラバーで1.3年、ハイブリッド型スクラバーで1.7年、価格差が100ドル程度でも2年以内にスクラバー投資コストは回収できると予測されていた。最近のShip & Bunkerによる市場調査によれば、VLSFOとHFOのトン当たり価格差は、シンガポールで313ドル、ロッテルダムで269,5ドル、フジャイラで389ドルとなっており、スクラバーに投資した船主が圧倒的に有利な状況になっている。またEuronav社は42万トンのVLSFOをトン当たり447ドルで事前に確保したが、最新のVLSFOの上記3港におけるトン当たりの価格は、それぞれ644ドル、569ドル、688ドルなので、事前に安価で大量のVLSFOを確保した船社も競争上有利に立っている。ただし、スクラバー選択のタイミングが遅かった船主の船舶は、長期間の改修工事待ちを余儀なくされており、現在、コンテナ船の場合、スクラバー改修に必要な平均期間は58日となっている。
      • 原文 December 19, 2019, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
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