2019/12/17LROニュース(6)

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  • 2019.12.18 UP
    2019/12/17LROニュース(6)
    • 【1】 COP25: 事務レベル折衝の総括
      • 【1】COP25第1週における事務レベルの折衝は最も焦点となる(排出権取引に関する)第6条をめぐる議論をはじめとして、全体として緩慢で退屈なものであった。大臣会合に提出する改正された条文案が土曜日の夕方に各国に提示されたが、改正された案文は第2週において政治レベルで解決されるべき課題が明確化された一方で、改正案文を支持する国がほとんどなく第2週の交渉の難航が予想されるとともに、案文が十分に明確でなく解釈の幅を残す余地があるものとなった。大きく論点は二つに分かれ、第一に、排出権取引においてブラジルが強く主張しているように、排出権の計上を実際に排出削減を実施した国と排出権を買い取った国において二重に認めるか。第二に、京都議定書のもとにおける排出権をパリ協定の下での新取引制度への繰り越しを認めるか否か等が重要な焦点となっている。京都議定書の下での排出権の繰り越しが認められれば、例えば豪については、現在同国のNDCに掲げられている目標である2030年までにGHG排出量を26%あるいは28%削減するという目標の達成のために事実上同国は何もしなくても済むことになり、途上国を中心に多くの国から旧体制のもとにおける排出権の繰り越しについては強い反対意見が出ている。
      • 原文 December 10, 2019, Clayton Utz(長谷部正道)
    • 【2】 COP25: 177の民間企業が1.5℃目標の実現に貢献することを宣言
      • 【2】12月11日、COP25において、国連Global Compact等が共同記者会見を開催し、パリ協定の目的に従い産業革命以前と比べて地球の気温上昇を1.5℃以内に抑制し、2050年までに炭素中立社会を実現するための有志企業による活動であるBusiness Ambition for 1,5℃に賛同する企業の数が、9月の国連気候変動サミットの時点から倍増して177社になったと発表した。177社は36国の36の事業分野で合計580万人を雇用し、時価総額は合計で2.8兆ドルにのぼり、現時点での合計GHG排出量は仏の1年分の排出量に匹敵している。Science Based Target Initiativeがパリ協定の目的達成のため気候変動学者が必要と考えるGHG排出削減目標に併せて、独自に算出する個々の企業の「科学的分析に裏付けられた削減目標」に従って、参加企業はGHG排出を削減することを約束している。
      • 原文 December 10, 2019, We Mean Business(長谷部正道)
    • 【3】 IMO2020: 規制開始までに輸送量で1割以上のコンテナ船にスクラバー設置
      • 【3】Alphaliner社によれば、12月10日時点で、スクラバーの設置を終えたコンテナ船は212隻(輸送能力ベースで179万TEU)に達し、さらに101隻が造船所で改修工事待ちの状況で、来年1月の規制開始時点で、コンテナ船全体の内、隻数ベースで5.9%、輸送能力ベースで11.8%のコンテナ船にスクラバーが装備される見込み。規制適合の低硫黄分燃料油(LSFO)と従来の重油燃料(HFO)との価格差がトン当たり250ドルに達したことに鑑み、この傾向は継続し、2022年末までに約1000隻のコンテナ船にスクラバーが装備される見込みであることが分かった。しかし、スクラバーを装着するための改修工事の遅れで、この改修工事にかかる期間の平均が59日となり、さらに待機している船舶の17%はすでに80日を超えて運航を外れ、1日当たりの逸失利益が3万ドルから5万ドルであることを踏まえると予想外の負担が船主にかかっている。
      • 原文 December 11, 2019, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
    • 【4】 IMO2020: フィリピン船主協会が政府に内航船への適用延期を要請
      • 【4】フィリッピン船主協会会長は同国内における規制適合油の供給体制がいまだ整備されていないことを理由に、内航船に対するIMO2020規制の適用の延期を同国政府に申請した。同会長は規制を遵守できないのは、石油精製事業者のせいだとして、規制を実施できない責任は石油精製事業者が負うべきだとも発言した。同国はインド・インドネシア・ロシアなどとともに同規制の予定とおりの実施について懸念を示しているが、IMOは規制実施の延期はないと繰り返し強調している。
      • 原文 December 11, 2019, Splash 247(長谷部正道)
    • 【5】 NOAA: 2019北極海年次分析報告書を発表
      • 【5】米国海洋大気局(NOAA)が、2019年版北極海年次分析報告書(report card)を発表したところその概要は以下のとおり。①北緯60度以上の北極圏における2018年10月から2019年8月にかけての年間平均地上表面温度は1900年以来2番目に高い温度となった。②北極海の海氷面積が最小となる夏の終わりの時期の面積が、1979年に観測を開始して以来、史上2番目に狭くなった。海氷の厚さも薄くなっており、暖かい大気温や海水温の影響を受けやすくなっている。③ボフォート海・チュクチ海・ラプテフ海・バフィン湾の8月における平均海面温度は、1982年から2010年の間の平均温度と比較すると、1℃から7℃高くなった。④この結果、衛星観測に基づく海洋の一次的生産性は、北極海の9海域の中で、バレンツ海と大西洋北部を除く7海域で向上した。⑤この温暖化の結果、これまで北極海に生息してきた野生動物は悪影響を受けており、例えばカナダ沖の大西洋で子育てを行うゾウゲカモメの生息数は1980年代に比べて7割減少した。
      • 原文 December, 2019, NOAA(長谷部正道)
    • 【6】 DNV-GL: 実現可能なエネルギー転換
      • 【6】DNV-GLがCOP25開催にあたり「実現可能なエネルギー転換(The Affordable Energy Transition)」というメッセージを発表したところその概要は以下のとおり。①これから数十年間に起きるエネルギーの転換は実現可能(affordable)なだけではなく、現在のエネルギーシステムと比べてむしろ割安で投資に値するものである。②わずか一世代の間に、GDPに占めるエネルギーにかかる費用は現在に比べて低減するが、その主たる要因はエネルギー価格の低下ではなく、エネルギー効率の向上である。③しかし、DNV-GLが発表した「エネルギー転換見通し(Energy Transition Outlook)」による最も実現性の高いシナリオでは、エネルギー転換の速度が遅すぎ、とてもパリ協定の目的実現の水準に達しないため、より積極的な研究開発や政策的支援が必要となる。⑤エネルギーの非炭素化のためのコストとして、既存のエネルギー関連のコストに加えて、GDPの0.4%から0.8%の追加コストを支出さえすれば、エネルギー転換は実現可能である。
      • 原文 December, 2019, DNV-GL(長谷部正道)
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