2019/12/13LROニュース(6)

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  • 2019.12.17 UP
    2019/12/13LROニュース(6)
    • 【1】 持続可能な開発メカニズム(SDM):自然環境・地域住民への配慮が必要
      • 【1】2020年より排出権取引制度の下で、水力発電のためのダム建設・持続可能な農林業は当該事業によって節約された排出権を売ることができるようになる。一方、先住民や地域住民は現在COP25で交渉中の排出権取引に関する規則の中に、以上のような排出権を稼げる事業の実行にあたって、周辺住民の生活を保護するための規定を置くべきだと主張している。しかし、12月7日に明らかにされた大臣交渉用の新たな規則案からは以前の案文に在った「(周辺住民の)人権を尊重・促進し、こうした人権を守るために必要な義務を検討する。」といった部分が削除され、ずっと弱い案文がカギカッコつきで記述されているだけである。京都議定書の下での排出権取引制度であるClean Development Mechanismの中には、事業実施にあたり地元住民の声を聴き、異議申し立てを受け付ける手続きが記述されておらず、地元住民の意見を無視し、地元に有害な事業が承認されてきたという非難を受けている。
      • 原文 December 9, 2019, Climate Change News(長谷部正道)
    • 【2】 交通と環境: EU海運からの実際のCO₂排出量とEEDIの相違
      • 【2】交通環境NGOのTransport & Environment(T&E)がEU MRV制度から得た海運のCO₂排出実績と船舶のエネルギー効率設計指標(EEDI)とのギャップなどについて分析した報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①コンテナ船社のMSCはEU内の2018年におけるCO₂排出量ランキングで、7つの石炭火力発電所に次いで8位の年間11MtのCO₂を排出した。②調査の対象となった船舶の半分がEEDIで想定されているCO₂排出量を上回る22Mtも多いCO₂を実際に排出していることが分かり、この誤差はEUの海運会社が排出するCO₂全体量の1/3にまで達することから、EEDIを船舶からのCO₂排出量を法的に規制する手段として利用するのは不適切であることが分かった。③蘭・ベルギー・ノルウェー・ラトビア・エストニアでは、海運からのCO₂排気量がそれぞれの国内の旅客用乗用車全体が出すCO₂の総量を上回った。④本調査の結果、T&Eは欧州海事気候変動基金(European Maritime Climate Fund)を設立して、EU海運をEU排出権取引制度の対象とすることと、EUにおける船舶運航上のCO₂排出基準を創設し、エネルギー効率化技術や無炭素燃料・エネルギーの導入促進を図ることを勧告する。
      • 原文 December 9, 2019, 交通と環境(長谷部正道)
    • 【3】 MSC: ロッテルダム港では恒常的にバイオ燃料30%混合燃油を補給
      • 【3】2019年初めにMSCはロッテルダム港でバイオ燃料が10%含まれた燃料油の試用実験を実施したが、試用実験が成功したので、今後ロッテルダム港で給油する際には恒常的にバイオ燃料が30%含まれている燃料を補給すると12月7日発表した。バイオ燃料が30%含まれている新燃料油を使用した場合、排出されるCO₂の量を15-20%削減することが期待され、最終的にはこの削減率を80-90%まで引き上げることを目指す。同社は世界のコンテナ船社の中でも最大の投資計画のもとに、コンテナ船の環境性能と効率化の向上を進めていく。
      • 原文 December 7, 2019, MSC(長谷部正道)
    • 【4】 IMO 2020: 船主・定期用船者・燃料供給事業者の間で紛争多発か?
      • 【4】船主が基本的にはIMO 2020規制の順守義務を負い、PSC当局の取り締まりの対象となるが、船舶がスクラバー装備船でないとき、船主が規制を遵守するためには、規制適合油の供給可能性、船上における必要書類の完備、燃料タンクとパイプの清掃、燃料油の安定性・互換性・燃油の分別保管に関する十分な理解など様々な現実的な問題に対処する必要がある。船主は船舶の給油上の責任については定期用船者に責任を転嫁するように用船契約を作成したがる傾向にあるが、規制値をわずかに超えるような違反が出たような場合に、契約上どちらの責任かもめることが予想される。各国のPSC当局がこうした軽微な違反を発見したときに、船主と用船者のどちらを責任者とみなすか、違反と認定した場合の違反金の額などは各国の国内法で定められ、実際にどうなるか現段階ではほとんど情報がない。通常こうした燃料油の品質に係る紛争は、船主と定期用船者、定期用船者と燃油供給事業者の間で、問題の原因が供給された燃料油の品質に起因するのか、船上での燃料油の不適切な取扱いに起因するのか争うこととなり、こうした民事紛争件数が多くなることが予想される。
      • 原文 December 3, 2019, Hill Dickson(長谷部正道)
    • 【5】 IMO 2020: 11月に開催された関連業界円卓会議の結果概要
      • 【5】6月21日の会合に引き続き、IMOでICS/ISO/BIMCO/IACS/OCIMF/INTERTANKO等の関連業界が参加して、IMO 2020規制に係る関係業界円卓会合が11月18日に開催されたところその概要は以下のとおり。①規制適合油の供給はいくつかの例外を除き規制開始に間に合う。依然として重油燃料の供給が続いているが、より多くの船社・船主が新しい規制適合油の試用を始め、燃料油供給事業者は貯蔵施設や燃料輸送用の艀について規制適合油への対応を既に開始している。②各国のPSC当局による規制実施にあたってのバラバラな対応が懸念として挙げられ、(特定の国だけ厳しい取り締まりが行われることによる)競争条件の不均衡化、特定の船社だけが過重な負担を負うことならないことが必要との認識が示された。特に、規制適合油供給不能証明書(Fuel Oil Non-Availability Report)に対するPSC当局の取り扱いについて懸念が示された。
      • 原文 December 6, 2019, IBIA(長谷部正道)
    • 【6】 アイスランドが2020年から船舶燃料の硫黄分を0.1%以下に規制強化
      • 【6】アイスランドの環境・天然資源大臣は、2020年1月1日から、アイスランドのフィヨルドや湾を含むすべての領海内で、船舶燃料中の硫黄含有分を0.1%以下に規制すると語った。IMOの規制値である0.5%より厳しい基準で、アイスランドは世界でも最も厳しい基準を採用する国のひとつとなる。世界で現在販売されている重油燃料中の平均硫黄分濃度は、IMOによると2.59%だが、現在アイスランド国内で販売されている燃料油の硫黄含有分は0.64-1.94%と既に世界平均より低い水準にある。同国は2020年以降もスクラバー装着船には既存の重油燃料の使用を継続的に認める。
      • 原文 December 10, 2019, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
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