2019/12/06LROニュース(6)

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  • 2019.12.09 UP
    2019/12/06LROニュース(6)
    • 【1】 マングローブ・塩性湿地等の保全により生物多様性と地球温暖化対策に貢献
      • 【1】(論説)インドネシアは過去30年間に、沿岸のマングローブの沼地の4割をエビの養殖池にしたため、何千㎞の海岸が高潮や津波に危険にさらされることとなった。1975年以降英国のテームズ川河口の塩性湿地の1/5が無くなり、これまで湿地に吸収されていた何百万トンものCO₂が大気中に放出された。カリフォルニア州沖の海藻の林は海水の温暖化とウニの繁殖により壊滅的な打撃を受けた。このような目に触れない沿岸海洋生態系の方が、新聞でよく取り上げられる熱帯雨林より多くのCO₂を吸収していると科学者は指摘している。マングローブの沼地や塩性湿地などの沿岸海洋生態系を保全することにより、生物多様性の保全と地球温暖化対策の二つの環境上の目的を同時に実現することができる。
      • 原文 November 26, 2019, China Dialogue Ocean(長谷部正道)
    • 【2】 欧州が中心となって新たな海洋観測事業が発足
      • 【2】11月27日、英国海洋学センター(NOC)など欧州を中心として世界から55の機関が参加し、EUから1260万ユーロの資金を得て、欧州における海洋情報観測体制を改善するためのEuroSea事業を立ち上げた。本事業のコーディネーターを務めるGEOMARヘルムホルツ海洋科学研究所のTanhua博士によれば、「本事業の目的は、現状では観測ができていない海域をカバーするため欧州内の既存の海洋情報観測機能をより良く統合し、観測された情報をより簡単に研究者等に提供できるようにすることが目的である。」と語っている。NOCは事業の一部の作業第5部会(WP 5)、より具体的にはCoastal Resilience & Operational Services Demonstratorを担当するが、この部会では、この事業により収集された海洋学的情報を毎日の港湾の安全面・効率面・環境面での管理活動に活用したり、長期的な海面上昇の見通しなどを提供することによって、沿岸域の自然災害抵抗性を高めること等を目的としている。
      • 原文 November 29, 2019, 英国海洋学センター(長谷部正道)
    • 【3】 EU: Blue Bioeconomy ForumがBlue Bioeconomyロードマップを作製
      • 【3】今後発展が予想されるBlue Bioeconomy Resources (BBR)の持続可能な利用の可能性を追求するため、産業界・各国の関係当局・学識研究者・金融機関などを取り込んで、欧州委員会の海事・漁業省(DG Mare)と中小企業庁(EASME)は共同で2018年にBlue Bioeconomy Forum (BBF)を立ち上げた。具体的には、欧州域内におけるBBRの現況を確認し、BBR開発のための戦略を立案し、市場機会を調査し、適切な財政支援と規制措置ならびに研究開発の優先順位を検討することを目的とする。このため、BBFのプロジェクトチームは運営委員会やテーマ別作業部会と協力し、広くBBRに実際に関与する関係者を巻き込んでロードマップを作成し12月2日公表した。ロードマップでは14の課題を、政策・環境・規制、資金調達と事業開発、消費者とサプライチェーン、科学・技術・発明の4つの大きな分野ごとにまとめて整理し、課題に対する解決策も提示している。
      • 原文 December 2, 2019, EU(長谷部正道)
    • 【4】 スウェディッシュクラブ:ギニア湾における海賊対策(ケーススタディー)
      • 【4】荷揚げのため着岸を待つ貨物船で、賊の乗込み防止対策として甲板員を船首楼及び船尾楼甲板に配置して主甲板の見張りも兼務させた。さらに甲板の手すりに有刺鉄線を張り巡らし、全ての扉を施錠、暴露甲板上のすべての照明を点灯させた。この際、船体中央付近の数か所の投光器が故障していることに航海長が気付き、甲板長に翌日の修理を命じた。深夜0時過ぎに1隻の小型木造船が、投光器が故障し乾舷が2メートルしかない同貨物船の船体中央付近に接近、有刺鉄線対策が施された梯子をかけ船体中央付近から小銃で武装した5人の賊が乗船し、船尾楼甲板にいた甲板員を人質として船橋を占拠、船長を脅して金庫を開けさせ現金を奪った。さらに船長を除く全乗組員を食堂で拘束し、タンカーが待つ沖合まで同貨物船を10時間に渡り航行させ、瀬取り方式で貨物を奪い逃走した。本件から得られる教訓は以下のとおり。①ギニア湾の海賊は一般的に梯子を使用しないが、本件では使用されており予防措置の検討と実施が求められる。②乾舷の高さを上げることが梯子の使用を困難とさせる。③適切なリスク評価の実施が求められる。④対策のために必要なすべての設備が正常に作動することが必須である。⑤ギニア湾を航行する船舶は、パイロットステーション、港、錨地等に時間通り到着すること、危険を回避できるスピードで航行すること、沿岸からの距離を保つこと等を考慮して航海計画を立案することが求められる。
      • 原文 November 28, 2019,The Swedish Club(若林健一)
    • 【5】 ロイズ船級協会とCSSCが脱炭素化とデジタル化技術等で連携
      • 【5】ロイズ船級協会は中国最大の造船グループの中国船舶集団有限公司(CSSC)は、中国で開催されたMarinetec 2019の場で、IMOによる2050年までに船舶からのGHGを半減するという目標達成のための船舶の脱炭素化等の技術の研究開発を共同で取り組んでいくための覚書(MoU)を締結した。具体的には、両社は共同で技術研究センターを設立し、上記脱炭素化技術に加えて、海運業やオフショア事業向けのデジタル技術の開発も行う。さらに、共同で2年に1回、「世界海運フォーラム」をMarinetecと同時に開催して、海事産業が直面する課題に関する議論を促進することでも合意した。両社はさらに、サイバーセキュリティ・クルーズ船の設計・水素燃料電池やリチウムイオン電池などの船舶にとっての新しい動力源の開発など多様な分野で協力していくことに合意した。
      • 原文 December 2, 2019, ロイズ船級協会(長谷部正道)
    • 【6】 イエメン・ペリム島付近で航行中の商船に対する不審接近事案が発生
      • 【6】12月3日、イエメンのペリム島南西約7海里の海上をケニアのモンバサに向け航行中の貨物船に小型ボートが約2海里の距離まで追走する不審接近事案が発生したとの報告があった。今回の事案は、2019年に入ってバブ・エル・マンデブ海峡付近で発生した3件目の不審接近事案で、今年2月24日に発生した場所の北北東約40海里、今年7月1日に発生した場所の南南西約23海里で発生している。
      • 原文 December 3, 2019, Dryad Global(若林健一)
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