2019/12/05LROニュース(6)

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  • 2019.12.06 UP
    2019/12/05LROニュース(6)
    • 【1】 北極海における中国の調査活動の目的
      • 【1】デンマークの国防情報局(the Defence Intelligence Service)は、11月29日に発表したリスク評価に関する年間報告書の中で、北極海を巡る米・露・中の間における駆け引きにより同海域の緊張のレベルが高まっていると評価した。中国は、自国を北極海隣接国と位置付け、同海域に眠る天然資源や北極海航路を利用する権利を得ようとする姿勢を見せており、2017年には北極海航路を一帯一路構想に含めた。デンマーク国防情報局は、近年中国は北極圏における調査活動に対する投資に力を入れているが、その調査活動の目的は単に科学的なものに留まらず、中国軍がその一部を担うことに強い関心を示していると述べ、中国軍が関与する調査活動を具体的に名指しすることは避けつつも、近年の兆候を「新たな展開」として警鐘をならしている。
      • 原文 November 29, 2019, Reuters(若林健一)
    • 【2】 気候変動:予想より早く不可逆転を超えてしまう可能性
      • 【2】英国のエクスター大学等の研究者が最近Nature誌に発表した研究には、気候変動にはいくつかの不可逆的な変更点となりうる事象が複数あり、今まで予想されていたのよりかなり早く一つの事象でも不可逆的変更点を超えてしまうと、他の事象についても一気に不可逆転を超えるのを誘発する可能性があることが分かった。不可逆的変更点となりうるのは以下の事象。①北極海の海氷の消滅(海洋の熱吸収率が高まる。)②グリーンランドを覆っている氷河の消滅(全世界の海水面が20フィート上昇)③針葉樹林体(タイガ)の消滅④永久凍土の融解(メタンガスの発生)⑤大西洋南北熱塩循環(AMOC)の停止或いは鈍化⑥アマゾン熱帯雨林の消滅⑦海水温上昇による温帯サンゴ礁の消滅⑦南極大陸の氷河の消滅。
      • 原文 November 28, 2019, Nature(長谷部正道)
    • 【3】 COP25: 排出権取引にかかるパリ協定第6条が議論の最大の焦点に
      • 【3】COP25において、もっとも大きな議論の焦点となるのが排出権取引に関するパリ協定第6条である。排出権取引について緩い規則ができてしまえば、排出権取引が各国の排出量削減目標を形式的に達成するための手段として悪用されかねず、パリ協定の目的を大きく損なうことにもなりかねない。論点の第一は、京都議定書のClean Development Mechanism (CDM)の下で認められた古い排出権をブラジル・中国・インドは、パリ協定のSustainable Development Mechanism (SDM)の下で認められる新しい排出権として取引したいと考えているが、これらのCDMの排出権は実際にGHG排出削減の裏付けがなく、こうした無意味な排出権の取引を認めるとパリ協定の目的実現を妨げることになる。論点の第二は、排出権取引で取引された排出権が売った国と買った国で二重に計上されることを防止するために、排出権を売却した国は、実際に報告するGHGの排出量に売った排出権の分を追加計上しなくてはならないが、ブラジルはこの追加計上に反対している。
      • 原文 December 2, 2019, Climate Change News(長谷部正道)
    • 【4】 COP25: 各国のGHG削減目標(NDCs)の引き揚げが焦点に
      • 【4】パリ協定6条(排出権取引)に関するルールの作成という技術的な問題とは別に、今回のCOP25で焦点となるのは、各国による排出権削減目標の引き揚げである。IPCCの特別報告書によれば、地球の温暖化を1.5℃以下に抑制するためには、2030年までにGHG排出量を半減し、2050年までに炭素中立化を実現する必要がある。現在の各国による自主的削減目標(NDCs)だけでは、地球の気温は約3℃上昇するとされている。9月の国連気候変動サミットでは、NDCsの引き上げを約束する首脳しか招待されなかったが、60以上の国が2050年までに炭素中立化を目指すことを宣言した。2020 NDC Tracerによれば、110の国がNDCの引き上げを宣言しているがこれらの国が排出するGHGの世界シェアは約18%にすぎず、気温上昇を2℃以内に抑制するためにはG20諸国のNDCs引き上げが不可欠。COP25ではさらに地方自治体・産業界・投資家なの政府以外の組織の取り込みも重要な課題となる。
      • 原文 November 29, 2019, Clayton Utz(長谷部正道)
    • 【5】 国際海上保険連合:2019年版国際海上保険市場分析報告書を発表
      • 【5】12月2日、国際海上保険連合(UMI)は、2019年版国際海上保険市場分析報告書(STATS 2019)を発表したところ、その概要は以下のとおり。①国際的な政治状況・貿易環境の不透明性が増したため、2018年の世界のGDPの成長率は2.7%に鈍化した。2018年の海上貿易量は110億トンに達し、2019年は2.6%成長する見込み。世界の全船腹量は約2%減少したが、造船業と船舶所有についての中国の支配力はさらに強化されている。②船舶保険の保険料の総額は2017年と同じレベルの70億ドルに達している。船舶の大型化によって、1事故当たりの補償リスクが大きくなっており、保険料収入と補償リスクの間の乖離がさらに大きくなっている。③積荷のコンテナから出火するコンテナ船の火災事故が増加しており、IUMIとしてもこのコンテナ火災防止のために緊急な対策をとるようにIMOに求めている。④長期間にわたる船腹過剰と海運市況の低迷の結果、ようやく船腹量も縮小傾向となり、海上保険市場も底を打って穏やかな改善方向にあるものの、短期的には保険料収入を上回る大規模事故に対する支払いが収益を圧迫する。
      • 原文 December 2, 2019, IUMI(長谷部正道)
    • 【6】 COP25: 欧州委員会新委員長のスピーチ
      • 【6】12月2日、COP25において、欧州委員会新委員長は今後のEUの環境政策の基本方針を表明したところその概要は以下のとおり。①10日以内に、European Green Deal (EGD)を発表して、2050年までにEUを炭素中立化する。②EGDは欧州の新たな成長戦略で、GHGの排出を削減するだけでなく、雇用を創出し、国民の生活の質を向上させることを目指す。この目標を実現するため持続可能な欧州投資計画(Sustainable Europe Investment Plan)を策定し、今後10年間で1兆ユーロを環境技術開発のために投資する。③2020年3月には、欧州環境法(European Climate Law: ECL)を制定し、2050年までの炭素中立化実現のための後戻りできない道筋を示す。ECLの具体的な内容としては、(海運分野を含む)全ての分野への排出権取引制度の適用を拡大、環境にやさしく安定的なエネルギーの供給、循環経済の振興、地産地消(a farm to fork)戦略、生物多様性の保全などが含まれる。④こうした炭素中立化は全ての人のためであり、一部の産業・人を切り捨てたりはしない。炭素中立化への過程で経済的に影響を受ける産業・人に対してはJust Transition Fundを通じて支援する。基金は欧州気候変動銀行(Europe’s Climate Bank)としての欧州投資銀行(EIB)の資金を含む官民の資金を活用する。
      • 原文 December 2, 2019, EU(長谷部正道)
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