2019/12/04LROニュース(6)

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  • 2019.12.05 UP
    2019/12/04LROニュース(6)
    • 【1】 中国がさらなる空母建造を計画か?
      • 【1】上海の造船所で3隻目の国産空母が建造中であるとの報道や、中国海軍は2021年に4隻目の空母を保有する計画があるとの報道がなされる中、中国国防部報道官は、11月28日の定例記者会見において問われた際に、「中国の空母建造は戦略的に決定される」「さらなる空母の開発は経済成長、国家安全保障上の脅威、国防上の必要性次第である」と述べ、さらなる空母の建造について含みを持たせた。中国が現有する2隻の空母は従来型のエンジンとスキージャンプ台型のデッキを使用しており、米軍が保有する空母に比べて出力が小さいことから、今後中国で建造が予想される空母は平面型のデッキ及び電磁力カタパルトを有し、核燃料が使用されると見られている。また、中国国防部報道官は、2隻目の空母は海南省三亜市を基地とするのか問われ、空母の配置場所は、地位情勢や特定の標的、国や地域に関係なく、安全保障上の脅威及び国家安全保障上の必要性により決定されると答えた。
      • 原文 November 28, 2019, (若林健一)
    • 【2】 UNEP: 2019年Emissions Gap 報告書を発表
      • 【2】国連環境計画(UNEP)が、パリ協定の目的達成に必要なGHG削減量と今後の見通しに基づくGHG排出予想量の差を分析した2019年Emissions Gap 報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①科学的な警告や政治的意思の表明にかかわらず、世界的にGHGの排出量は増加し続けている。②世界のGHG排出量の78%がG20加盟国から排出されている。うち日本を含む7か国は2030年までの自国が定めた削減目標(NDC)さえ現状では達成できない見込み。③2050年までに炭素中立化することを宣言する国の数は増えてきたが、長期的な削減計画を公式にUNFCCC事務局に提出した国は数か国に過ぎない。④条件なしのNDCが実施された場合のGHG排出量と2℃目標と1.5℃目標達成に必要なGHG 排出量との格差はCO₂換算でそれぞれ15Gtと32Gtとなる。⑤2020年のNDCsの見直しにあたっては、2℃以下目標を達成するためには3倍、1.5℃目標を達成するためには5倍に各国のNDCsを引き上げる必要がある。
      • 原文 November 26, 2019, UNEP(長谷部正道)
    • 【3】 南シナ海における米中の緊張の高まり
      • 【3】米海軍は、11月20日に沿海域戦闘艦1隻をスプラトリー諸島のミスチーフ礁付近に、また、21日にミサイル駆逐艦1隻をパラセル諸島周辺にそれぞれ派遣して航行の自由作戦(Freedom of Navigation Operations:FONOPs)を実施した。これに対し中国は、「航行の自由」を口実に南シナ海において混乱を生じさせていると米国を非難し、中国海軍が監視・検証を実施するため艦船と航空機を派遣し、米艦船2隻に対して立ち去るよう警告し、また、不測の事態を避けるために挑発的行為を直ちに止めるよう米国に求めたことを明らかにした。時を同じくして、米国防長官は対中政策の支援を得るために周辺諸国を歴訪し、ベトナムでは海上安全保障能力の強化のための新たな支援策を、インドネシアでは海軍合同訓練や長く実施されてこなかった特殊部隊の合同訓練の再開を、フィリピンでは米比相互防衛条約に基づく相互防衛手法の改善を、それぞれ発表した。中国とASEAN諸国との南シナ海における行動規範(Code of Conduct)を巡る最近の交渉において、中国は、漁業資源とエネルギー資源の排他的な共有や、米国やその同盟国との合同洋上訓練の実施の制限を求めており、米インド太平洋軍司令官は、中国は過去30カ月の間で急激な海洋進出を果たとして、東南アジア諸国に対し、南シナ海における定期的なFONOPsと合同訓練の重要性を強調し、航行や飛行の自由を制限するような合意は結ばないようけん制した。
      • 原文 November 29, 2019, ASIA TIMES(若林健一)
    • 【4】 生分解性プラスチック等が自然界で早く分解される科学的根拠なし
      • 【4】プリマス大学等の研究者が、生分解性・酸化型生分解性・堆肥化可能といわれるプラスチック製の袋を3年間、海洋中・大気中・土壌中に放置して、その分解の程度を普通のレジ袋と比較したところ、普通のレジ袋より早く分解するという科学的な根拠はなく、むしろこうした分解性の袋がマイクロプラスチック汚染の原因となりうることが判明した。通常のレジ袋と比べて早く分解するという科学的根拠がなく、むしろ消費者に環境に対する負荷が少ないという誤解を与え、より安易な使い捨てを助長する観点から、欧州委員会は既に酸化型生分解性プラスチックの使用を禁止する命令directive 2019/904)を発令し、EU加盟国は2021年7月3日までに各国で規制を施行しなければいけないことになっている。今回の実験の結果、海中や土壌中に3年間置かれたこれらの「分解性」プラスチックの全てのバックが2kgのものを十分に保持するだけの強度を維持することが分かった。
      • 原文 November 28, 2019, EU(長谷部正道)
    • 【5】 欧州船主協会:欧州委員会新執行部に環境政策で突出しないように要請
      • 【5】欧州船主協会(ECSA)事務局長は、新たに発足した欧州委員会執行部の海運担当コミッショナーあてに書簡を送ったところその概要は以下のとおり。①欧州の海運業界は偉大な海事分野での伝統・気候変動対策や社会的な取り組み・広範な海事分野における知識と継続的な研究開発といった長所を兼ね備えているが、欧州海運業界の発展は、「世界的な視点を持った(globally-oriented)」欧州委員会と強固なEUの支援があって初めて可能となる。②IMOの場において欧州諸国が一致して強力な影響力を行使することこそ欧州が気候変動対策で世界を主導することになる。③気候変動対策は世界全体と協調して行うことが肝要であり、地域的あるいは欧州だけの問題ではない。④世界的に活躍する業界団体としてECSAは新たな欧州委員会執行部が掲げるEuropean Green Dealを支持するが、欧州は単独で行動するべきでなく、世界全体を巻き込むべきである。⑤大企業が多い他の輸送モードと違い、欧州の海運業界は基本的に中小企業が多く、独力では炭素中立化の道を歩むことは出来ないので、欧州委員会の支援が不可欠である。
      • 原文 November 28, 2019, 欧州船主協会(長谷部正道)
    • 【6】 ごみをあさる北極熊の内臓・糞の1/4がプラスチックごみで占められる
      • 【6】ロシア北西部のムルマンスクで開催された北極海の観光と海洋ごみに関するフォーラムに参加したロシア北極圏国立公園事務所次長がInterfaxに語ったところによれば、北極海の温暖化により、従来のように海氷を利用して北極海で獲物をとることができなくなった北極熊が餌を求めてシベリアの街に入り込んでごみをあさっている姿が今年マスコミでも報道されたが、こうして町のゴミ箱をあさった北極熊の内臓や糞を調べたところ、その内容物の最大1/4がレジ袋や包装材などのプラスチックごみであることが判明した。プラスチックごみがそれ以上体内に蓄積すると死に至るものと考えられ、このような現象は北極熊に限らず、海鳥や海洋性哺乳類でも発見できるが、これらは海洋プラスチックごみが原因と考えられ、海洋プラスチックごみは餌と間違って捕食されるだけではなく、海洋投棄された漁網に絡まって死に至る海洋性哺乳類も発見されている。
      • 原文 November 26, 2019, The Moscow Times(長谷部正道)
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