2019/11/26LROニュース(6)

NEWS


※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

トップページ > LROニュース > 2019/11/26LROニュース(6)

記事アーカイブ

  • 2019.11.27 UP
    2019/11/26LROニュース(6)
    • 【1】 増え続ける開放型スクラバー使用禁止港湾と船社の対応
      • 【1】 マレーシアが開放型スクラバーの使用禁止を発表した結果、全世界で開放型スクラバーの使用を禁止する港湾の数は80港以上となった。主要な港湾としては、シンガポール・フジャイラに加えて、仏の32港湾・カリフォルニア州の7港湾・中国内の全ての主要港湾が含まれている。船社が自主的に使用を自粛している港湾としてさらに。アラスカ州内の全ての港湾・香港・ボストンが加えられる。スクラバーを積極的に採用している船社の運用担当者は、「開放型スクラバーの使用禁止は船社にとって煩わしいが、船舶は複数の燃料タンクを持っており、今でも「SOx排出規制海域(SECA)」に入域する際には燃料を切り替えており、開放型スクラバー使用禁止港湾に入るときも、規制適合油に切り替えて対応することで問題はないとしている。
      • 原文 November 19, 2019, The Loadstar(長谷部正道)
    • 【2】 欧州理事会が欧州委員会に対して海洋の気候変動対策を提示するよう要請
      • 【2】 11月19日、欧州理事会は「海洋と海 (Oceans and Sea)」について決議を採択し、気候変動問題が世界的に海洋生物に大きな影響を与え、絶滅の危険性を与えていると警告した。決議は、海洋・沿岸の生物生態系を保護するため、中央・地方政府が取り組みを強化すべきであるとしている。特に欧州の地域的な海において世界平均より速いペースで温暖化が進んでいることに大きな懸念を示している。理事会は全会一致で、海洋・沿岸地域の危機的な状況に対して迅速な対策が必要であるとし、先日発表された「海洋と雪氷地域における気候変動問題に関するIPCC特別報告書」で警告された問題点について、どのように対応すべきか欧州委員会に対し、対策の選択肢を示すよう要請した。
      • 原文 November 19, 2019, 欧州理事会(長谷部正道)
    • 【3】 欧州委競争当局が港湾管理者に対する伊の免税措置に関する詳細調査を開始
      • 【3】 イタリアでは各港湾の港湾管理者は法人税を完全に免除され、スペインでも各港湾の港湾管理者は、港湾使用料や賃貸・リース料収入などの港湾管理者としての主たる収入については法人の免税対象となっているが、欧州委員会は2019年1月に、EU域内の港湾間の公正競争を確保するため、当該免税措置に対してもEUの国家助成に関する規則を適用して、2020年1月から両国内の港湾管理者に対しても法人税の適用対象とするように両国政府に要請していた。スペイン政府は欧州委員会の要請に応じて、当該免税措置を2020年から廃止すると欧州委員会に通告してきたが、イタリア政府は免税措置の見直しを拒否したため、欧州委員会は、次の法的措置として、イタリア政府の免税措置がEUの国家助成に関する規則に違反しているか否か詳細調査に入ると11月15日決定した。一方、EU加盟国は、EUの国家助成規則に従い、海港については1億5千万ユーロ、内陸港については5千万ユーロまで、欧州委員会の事前審査なし各港湾に投資することが認められている。
      • 原文 November 20, 2019, World Maritime News(長谷部正道)
    • 【4】 CE Delft報告書:開放型スクラバーの排水の影響は軽微
      • 【4】 欧州船主協会等の委嘱を受けてCE Delftは開放型スクラバーの排水が港湾環境に与える影響について調査を行い報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①開放型スクラバーからの排水はEUの2021年の年間平均環境品質基準の平衡濃度を0.01%以下しか上昇させない。②ナフタリン・ニッケル・ベンゾピレン・フルオランテンについても0,2%以下しか平衡濃度を上昇させない。③本研究成果は、スクラバーの運用に関する2015年のガイドラインの見直しについて議論を行うIMOの汚染防止・対応小員会第7回会合(PPR 7)に提出される。
      • 原文 November 20, 2019, Ship & Bunker(長谷部正道)
    • 【5】 ITF船員信託:船員メンタルヘルス報告書を発表
      • 【5】 国際運輸労連(ITF)船員信託(Seafarer’s Trust)はYale大学に委嘱して「船員精神衛生報告書(Seafarer Mental Health Study)」を取りまとめて発表した。船員に対する聞き取り調査の結果、過去2週間に落ち込んだ(鬱になった)と感じた船員が25%、不安を感じた船員が17%、過去自殺を考えあるいは自傷行為を行ったことがある船員が20%もいた。報告書は船員訓練機関や船社等の関係者が船員の精神衛生対策として①実習生に対する支援の強化。適切な訓練と不服申立制度の改善。②メンタルヘルスの問題を抱えることを恥としない社内風土の醸成。③船員の職場内暴力の問題に対処するために、職場内暴力の定義づけや実態の把握、職場内暴力を減らすための戦略を決定するためのキーパーソンを対策に巻き込むといった対策を提言している。
      • 原文 November, 2019, ITF船員信託(長谷部正道)
    • 【6】 IMO 2020: ばら積み貨物・タンカー事業者にとって規制適合油の入手困難か?
      • 【6】 INTERCARGOの会長は、会員事業者からは規制実施を前にして、規制適合油の安全性を確認するために、スポットで規制適合油を入手するのが極めて難しいという苦情を多く聞くし、石油精製事業者に照会しても、試験用の規制適合燃料油の供給が困難な状況が確認されていると語った。規制適合油に関する世界共通の品質基準がない中で、異なる事業者から供給される規制適合油間の相互適合性の確認のためには、事前の安全試験が重要である。
        同会長は、さらに業界として最も懸念しているのが、規制開始当初のPort State Controlにおける「適合油調達不能証明書(FONAR)」の取り扱いで、規制当局による合理的・現実的な取り扱いを希望するとコメントしている。ばら積み貨物船は、運搬する貨物の価値当たりの運賃コストの比率が、(貨物の単価が高い)コンテナ船と比べて高く、現状では長距離航海の場合15%程度だが、規制適合油の今後の価格動向次第ではこの比率が20%を超えることも予想される。
      • 原文 November 19, 2019, gCaptain(長谷部正道)
  • 資料閲覧 その他