2019/11/22LROニュース(6)

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  • 2019.11.25 UP
    2019/11/22LROニュース(6)
    • 【1】 デンマーク政府が洋上風力発電事業者に対して新たな補助制度を導入
      • 【1】 デンマーク政府が新たに導入する補助制度(Contract for Difference)は、洋上風力によって発電された電力の販売予定価格と実際の市場価格に乖離があった場合、具体的には市場価格が予定価格より低い場合には発電事業者は政府から補助金を受け取り、市場価格が予定価格より高い場合には、超過利得を事業者と政府で分け合う仕組みで、事前に予期できなかった電力の市場価格の上下動のリスクを契約当事者の一方だけが全部取ることを防ぐこととなる。2018年における政府からの事業者に対する補助金の上限額は650万DKK、事業者から政府への払戻金の上限は280万DKKとなっており、この上限額は市場価格の動向に応じて毎年見直される。デンマークでは、2030年までに3件の800MWの洋上風力発電事業が予定されており、最初の事業は北海のNissumフィヨルドに、13-15MWのタービンを使用して建設され、2024年から2027年の間に運用が開始される予定。
      • 原文 November 15, 2019, Offshore Wind Biz(長谷部正道)
    • 【2】 重油燃料と規制適合燃料の価格差と燃油サーチャージ
      • 【2】 市場調査会社のDrewry社によれば、主要給油港湾における低硫黄分の規制適合油の、10月から11月にかけての平均価格は1MTあたり530-550ドルとなる見込みで、既存の重油燃料であるIFO 380が396ドルであることから、概ね34-38%割高となる見込みである。これを受けて、いくつかの船社は既に12月1日から、緊急燃油サーチャージを「スポット及び3か月間以下の用船契約」を対象に導入すると発表しているが、年間契約をしている用船者の中にも12月から割高なBunker Adjustment Factor (BAF)の受け入れを求める事例が出ている。
      • 原文 November 18, 2019, World Maritime News(長谷部正道)
    • 【3】 IMO ISWG-GHG6: GHG 削減のための国家行動計画の見直し等について合意
      • 【3】 11月11日からIMOで開催された第6回GHG削減中間作業部会においてGHG削減のための国家行動計画(National Action Plan: NAP)を見直し・改正することを加盟国に求めるMEPC 75の決議案を承認したところ、NAPの見直し・強化のポイントは以下のとおり。①既存のIMO規制の効果的な適用を図るための国内法制度の整備。②船舶のエネルギー効率化をさらに強化するための施策の実施。③代替的な低・無炭素燃料の研究開発の実施と同燃料の導入促進。④MEPC. 323(74)の決議に従った港湾におけるGHG排出削減のための施策の加速化。⑤船舶からのGHG削減に必要な人材の訓練育成・削減の必要性の周知・地域間の連携の促進。⑥Green Shippingに必要なインフラ整備の促進。
      • 原文 November 16, 2019, Maritime Executive(長谷部正道)
    • 【4】 比大統領:親中派の海上保安庁長官を任命
      • 【4】 比大統領は、新たな海上保安庁長官に同庁の運用担当次長で、沿岸監視センター(National Coat Watch Center: NCWC)のセンター長でもあり、対麻薬・対テロ対策で中国との連携の必要性を公言しているガルシア中将を任命した。大統領は新長官の任命と同時に海上保安庁を南シナ海問題の主務官庁に格上げし、米軍寄りで中国による度重なる領海侵犯に対して批判強めている軍とのバランスをとる意図があるものと思われる。権限と装備が不十分な比の沿岸警備隊はこれまで南シナ海紛争に関して副次的な役割しか果たしてこなかったが、近年諸外国から能力強化のための支援を受けている。日本は多目的巡視船を供与し、米国は国防脅威削減庁(Defense Threat Reduction Agency)を通じてNCWCの設立に協力した。米国沿岸警備隊はインド洋・太平洋における同盟国の海上領域認識力と海上保安能力の向上のため、比沿岸警備隊と共同訓練を拡大してきた。
      • 原文 November 18, 2019, Asia Times(長谷部正道)
    • 【5】 トーゴ大統領:海賊取締りのためには西アフリカ諸国の連携の強化が必要
      • 【5】 ギニア湾に面するセネガルからアンゴラに至る15か国は2013年に海賊対策のための連携協定を締結しているが、世界の海賊事件の4割は依然としてギニア湾で発生している。トーゴの大統領は、「トーゴ軍は自国の領海の取締りはちゃんとやっているが、領海の海岸線がわずかに50kmしかなく、海賊に多国の領海に逃げ込まれると追跡できなくなる。こうした事情は他国も同じで、沿岸諸国はもう少し連携して海賊の取締りにあたる必要がある。」と述べた。国際海事局(IMB)によれば、世界で発生した船員の誘拐事件の82%はギニア湾で発生しており、このことが、船舶の保険料や警備コストを引き上げて、ギニア湾諸国の輸出入に悪影響を与えている。
      • 原文 November 18, 2019, gCaptain(長谷部正道)
    • 【6】 IMO ISWG-GHG6: 環境団体は日本・ノルウェー提案を非難
      • 【6】 11月11日からIMOで開催された第6回GHG削減中間作業部会に出席した環境団体の連合体であるClean Shipping Coalition (CSC)の代表が今回の会合についてコメントしているところ概要は以下のとおり。①今回の会合において、具体的な解決策が見いだされず、海運分野が気候変動問題に貢献する意欲の低さを示したことは大きな問題であり、改めて失望した。②会合においては、既存の提案を再検討したのにすぎず、技術的な問題に時間をかけすぎた。③しかし、船舶の運航速度がGHG排出量に大きな影響を与える重要な要因であることについて、多くの加盟国や業界団体が理解を示し、CSCの提案が他の運航上の手段とともに、次回MEPCで検討されることになった。④日本とノルウェー提案によるエンジン出力を制限した船舶に対する証明制度は、不明確で規制逃れをしやすく、迅速で十分なGHG排出量の削減が難しく、欺瞞的な(greenwashing)提案であり、今回の会合の議論を脱線させた。
      • 原文 November 15, 2019, Transport & Environment(長谷部正道)
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