2019/11/12LROニュース(6)
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2019.11.13 UP
2019/11/12LROニュース(6)
- 【1】 ロシアがウラル産原油を北極海北航路を通過利用して輸出
- 【1】ロシアはヤマルLNGのように基本的には北極圏で生産されたLNG・原油等の天然資源を欧州・アジア市場に輸出するために、北極海北航路(Northern Sea Route: NSR)を近年利用して来たが、2011年以来初めて、NSRを通過航路として利用し、10月中に2隻のタンカーを使用して、150万バレルのウラル産原油をロシア西部のプリモルスク港から中国に向けて輸送した。運送時間の短縮と運送コストの削減がNSR利用促進の原動力となっているが、NSR利用の増加は環境問題への懸念を高めており、IMOでは現在北極海における重油燃料の使用禁止が検討され、また10月末にはNikeをはじめとする大手荷主やCMA CGMなどの一部大手コンテナ船社が連携してNSR利用自粛のキャンペーンを開始した。北極海における重油燃料の使用は油濁事故の危険性ばかりでなく、重油を燃焼した際に発生する黒煙が北極海の海氷の融解を促進しており、1979年当時と比較して、既に4割も北極海の海氷面積が減少している。
- 【1】ロシアはヤマルLNGのように基本的には北極圏で生産されたLNG・原油等の天然資源を欧州・アジア市場に輸出するために、北極海北航路(Northern Sea Route: NSR)を近年利用して来たが、2011年以来初めて、NSRを通過航路として利用し、10月中に2隻のタンカーを使用して、150万バレルのウラル産原油をロシア西部のプリモルスク港から中国に向けて輸送した。運送時間の短縮と運送コストの削減がNSR利用促進の原動力となっているが、NSR利用の増加は環境問題への懸念を高めており、IMOでは現在北極海における重油燃料の使用禁止が検討され、また10月末にはNikeをはじめとする大手荷主やCMA CGMなどの一部大手コンテナ船社が連携してNSR利用自粛のキャンペーンを開始した。北極海における重油燃料の使用は油濁事故の危険性ばかりでなく、重油を燃焼した際に発生する黒煙が北極海の海氷の融解を促進しており、1979年当時と比較して、既に4割も北極海の海氷面積が減少している。
- 【2】 米海兵隊がホルムズ海峡を通航する米籍Ro-Ro船に乗船警備
- 【2】10月21日、米海軍上陸作戦部隊(Task Force 51/5th Marine Expeditionary Brigade )に配置されている海兵隊特殊チーム(Fleet Anti-Terrorism Security Team, Central Command (FASTCENT) Company)は、軍事海上輸送司令部(Military Sealift Command)が用船した米籍Ro-Ro船がホルムズ海峡を航行する間乗船警備を実施し、任務終了後は海軍ヘリ60S Sea Hawkに揚収され撤収した。FASTCENT Companyは、機動性に富み、あらゆる作戦や不測の事態に柔軟に対応する能力を有しており、米国内の関係組織のみならず同盟国とも連携し人命や財産の保護に当たるほか、国際的な航路における航行の自由を確保することを任務としている。米第5艦隊司令官は、米海軍と海兵隊はホルムズ海峡を通航する米国籍船舶の護衛と乗船警備を継続し、米軍と米国の国益を保護していくと語っている。
- 【2】10月21日、米海軍上陸作戦部隊(Task Force 51/5th Marine Expeditionary Brigade )に配置されている海兵隊特殊チーム(Fleet Anti-Terrorism Security Team, Central Command (FASTCENT) Company)は、軍事海上輸送司令部(Military Sealift Command)が用船した米籍Ro-Ro船がホルムズ海峡を航行する間乗船警備を実施し、任務終了後は海軍ヘリ60S Sea Hawkに揚収され撤収した。FASTCENT Companyは、機動性に富み、あらゆる作戦や不測の事態に柔軟に対応する能力を有しており、米国内の関係組織のみならず同盟国とも連携し人命や財産の保護に当たるほか、国際的な航路における航行の自由を確保することを任務としている。米第5艦隊司令官は、米海軍と海兵隊はホルムズ海峡を通航する米国籍船舶の護衛と乗船警備を継続し、米軍と米国の国益を保護していくと語っている。
- 【3】 世界海事フォーラム:海運分野の炭素課税を支持
- 【3】10月末にシンガポールで開催された世界海事フォーラム(Global Maritime Forum)に出席した世界を代表する海運グループのトップ達は、海運からのGHG排出規制を進め、化石燃料に代替するクリーンな燃料の開発資金を捻出するためにも、海運分野に炭素課税を導入すべきであると表明した。具体的には、BW Group, Cargill Ocean Transportation, Euronav等の海運会社に加えて、ノルウェーのDNB銀行、世界最大の鉱業会社のBHPなどが議論に参加した。IMOにおいては、海運からのCO₂排出量を2050年までに2008年排出実績比で半減することが合意されているが、化石燃料の代替となるバイオ燃料や水素を燃料とする燃料電池などは現段階では価格競争力はなく、導入実現まで更なる技術革新や莫大な供給インフラの整備が必要となる。IMOにおいては市場メカニズムの導入について議論されているが、まだ炭素課税に関する具体的な提案はされておらず、市場メカニズムの導入までにはまだ何年もかかる見込み。
- 【3】10月末にシンガポールで開催された世界海事フォーラム(Global Maritime Forum)に出席した世界を代表する海運グループのトップ達は、海運からのGHG排出規制を進め、化石燃料に代替するクリーンな燃料の開発資金を捻出するためにも、海運分野に炭素課税を導入すべきであると表明した。具体的には、BW Group, Cargill Ocean Transportation, Euronav等の海運会社に加えて、ノルウェーのDNB銀行、世界最大の鉱業会社のBHPなどが議論に参加した。IMOにおいては、海運からのCO₂排出量を2050年までに2008年排出実績比で半減することが合意されているが、化石燃料の代替となるバイオ燃料や水素を燃料とする燃料電池などは現段階では価格競争力はなく、導入実現まで更なる技術革新や莫大な供給インフラの整備が必要となる。IMOにおいては市場メカニズムの導入について議論されているが、まだ炭素課税に関する具体的な提案はされておらず、市場メカニズムの導入までにはまだ何年もかかる見込み。
- 【4】 2020年までにインドネシアの全港湾に陸上給電設備を整備
- 【4】インドネシア国営港湾管理会社であるPelindo IIIはこのほど国営電力会社のPLNと覚書を締結し、PLNの余剰電力をPelindo IIIが同国の港湾に整備する陸上給電設備(cold ironing)に供給することに合意した。Pelindo IIIは物流経費と燃料輸入コストを引き下げるため、2019年に490万ドルを投資して、同国内の13の港湾に35の陸上給電設備を建設し、さらに残りの30の港湾についても2020年までに同設備を整備する予定。これまでインドネシアの港湾には陸上給電設備がなかったため、岸壁に着岸中の船舶は船内の補助動力を使って自家発電しなくてはならず、補助動力エンジンの保守もできなかった。
- 【4】インドネシア国営港湾管理会社であるPelindo IIIはこのほど国営電力会社のPLNと覚書を締結し、PLNの余剰電力をPelindo IIIが同国の港湾に整備する陸上給電設備(cold ironing)に供給することに合意した。Pelindo IIIは物流経費と燃料輸入コストを引き下げるため、2019年に490万ドルを投資して、同国内の13の港湾に35の陸上給電設備を建設し、さらに残りの30の港湾についても2020年までに同設備を整備する予定。これまでインドネシアの港湾には陸上給電設備がなかったため、岸壁に着岸中の船舶は船内の補助動力を使って自家発電しなくてはならず、補助動力エンジンの保守もできなかった。
- 【5】 Green Climate Fund: 米・露・豪の減額分の穴を埋めきれず
- 【5】途上国がGHGの排出を削減し気候変動対策をとるのを支援するために、先進国の拠出により設立されたGreen Climate Fund (GCF)は年末にも資金が底をつき、資金の補充が必要となっている。先進国は途上国に対して、2020年までの第一期分として、103億ドルの拠出を約束していたが、米国はオバマ政権が拠出を約束していた30億ドルを20億ドルまで削減するなど、米・露・豪が本来負担すべき32億ドルが不足し、その分を他の先進国の負担増で賄う必要があり、既に独・ノルウェー・仏・英・スウェーデン・韓・デンマーク・アイスランド・ポーランド・NZ・ルクセンブルグ・アイルランド・モナコの13か国が当初負担額より倍以上の負担をすることを表明しているが、それでも第一期分として集まった金額は合計98億ドルで、後進国に約束した103億に比べて5億ドル不足している。なかでもNZは当初予定額より5倍増の1500万ドルの拠出に応じる一方で、日本は当初予定の15億ドルの拠出額の増額を否定している。
- 【5】途上国がGHGの排出を削減し気候変動対策をとるのを支援するために、先進国の拠出により設立されたGreen Climate Fund (GCF)は年末にも資金が底をつき、資金の補充が必要となっている。先進国は途上国に対して、2020年までの第一期分として、103億ドルの拠出を約束していたが、米国はオバマ政権が拠出を約束していた30億ドルを20億ドルまで削減するなど、米・露・豪が本来負担すべき32億ドルが不足し、その分を他の先進国の負担増で賄う必要があり、既に独・ノルウェー・仏・英・スウェーデン・韓・デンマーク・アイスランド・ポーランド・NZ・ルクセンブルグ・アイルランド・モナコの13か国が当初負担額より倍以上の負担をすることを表明しているが、それでも第一期分として集まった金額は合計98億ドルで、後進国に約束した103億に比べて5億ドル不足している。なかでもNZは当初予定額より5倍増の1500万ドルの拠出に応じる一方で、日本は当初予定の15億ドルの拠出額の増額を否定している。
- 【6】 ソブコムフロトが北極海第2LNG事業用の砕氷LNGタンカーの建造に着手
- 【6】ロシア国営石油・LNG輸送海運会社のソブコムフロト社は、ノヴァテクの北極海第2LNG事業用の砕氷LNG輸送船建造のための融資契約を露金融機関のVEB.RFグループと締結するとともに、ノヴァテク社と長期用船契約を締結した。当該新砕氷輸送船は、砕氷船の伴走なしにカラ海やオビ湾を通年運航するため厚さ2mを超える海氷の砕氷能力を持つように、ロシア極東のZvezda造船所で、ロシア船級協会の技術的な監督のもとに建造され、建造後は全てロシア籍船として運航される予定。(ヤマルLNG事業のための砕氷輸送船は韓国の造船所で建造され、外国籍のまま運航されているものも多い。)
- 【6】ロシア国営石油・LNG輸送海運会社のソブコムフロト社は、ノヴァテクの北極海第2LNG事業用の砕氷LNG輸送船建造のための融資契約を露金融機関のVEB.RFグループと締結するとともに、ノヴァテク社と長期用船契約を締結した。当該新砕氷輸送船は、砕氷船の伴走なしにカラ海やオビ湾を通年運航するため厚さ2mを超える海氷の砕氷能力を持つように、ロシア極東のZvezda造船所で、ロシア船級協会の技術的な監督のもとに建造され、建造後は全てロシア籍船として運航される予定。(ヤマルLNG事業のための砕氷輸送船は韓国の造船所で建造され、外国籍のまま運航されているものも多い。)