2019/10/31LROニュース(6)

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  • 2019.11.01 UP
    2019/10/31LROニュース(6)
    • 【1】 ReCAAP ISC: 2019年第3四半期報告書
      • 【1】ReCAAP情報共有センター(ISC)は、海賊・武装強盗事件に関する第3四半期報告書を発表したがその内容は以下のとおり。①ReCAAP ISCが受けた報告によれば、2019年7月から9月にアジアで発生した海賊・武装強盗事件は54件(既遂49件、未遂5件)で、このうち海賊事件は2件、武装強盗事件は52件である。②全体の発生数は前年同期の64件と比較し16%の減少であるが、既遂事件の件数は前年同期の50件から1件の減少にとどまっている。③バングラディッシュでは、前年同期の11件に対して事件の発生は報告されておらず、インドネシアで報告された事件は前年同期の26件に対して17件であり、これらの国の港湾や錨地で状況の改善がみられる。④マレーシアの東サバ州で6月18日と9月23日に身代金目的の誘拐事件が発生するなど、スールー海・セレベス海及び東サバ州沖における船員の誘拐事件の危険度は高い状況を維持しており、ReCAAP ISCは7月にガイダンスを発表し、海運会社等に対し警戒を呼びかけるとともに適切な対策の実施を求めている。⑤シンガポール海峡を航行中の船舶やマレーシアのジョホール州バンダルペナワール沖で錨泊中の船舶への賊の乗込み事件が前年同期に対して増加している。
      • 原文 October, 2019, ReCAAP(若林健一)
    • 【2】 南大西洋の無人島で船舶から不法投棄された多くの中国製プラゴミを発見
      • 【2】ハワイ大学の研究者等が南大西洋の中央部の無人島に流れ着いたごみに関する調査報告を学術誌に発表したところその概要は以下のとおり。①亜熱帯暖流が海洋ごみを集めやすい海域のそばにある島々には大量の海洋ごみが流れ着いている。②過去30年間で、島に流れついたごみのうち急激に量が増えたのがプラスチックのドリンクボトルである。③1980年代においては、島に流れ着いたボトルのほとんどが、3000km離れた南米から海を漂って流れ着いたものであったが、最近は島で発見されるボトルの3/4はアジア、特に中国からのものである。④ボトルの製造年月日を見るとほとんどのものが2年以内であり、中国大陸からはるばる海を漂って流れ着いたものではなく、船舶からの環境汚染物質の排出を防止するMARPOL条約に反して、船舶から不法投棄されたものであると推定される。⑤今までは海洋ごみのほとんどは陸上起源のものと思われてきたが、本調査の結果、南太平洋の海洋ごみのかなりの部分が、船舶からの不法投棄によるものであることが分かった。
      • 原文 October 15, 2019, PNAS(長谷部正道)
    • 【3】 露政府が北極海北航路に国営コンテナシャトル船社の設立を計画
      • 【3】ロシア大統領は北極海北航路(Northern Sea Route: NSR)の活用を重要な国策としているが、現在NSRはロシア北極圏のLNG等の天然資源の輸出を中心に活用されている。しかし、北部欧州と東部アジアをNSRで結ぶ通過運航については、船舶の船級を氷海クラスとするか砕氷船の伴走を必要とし、また保険料も従来のスエズ経由ルートと比べると2倍以上かかることからNSRの利用は進んでいない。ロシア極東・北極圏開発省は、現在NSRのコンテナ輸送を担う国営コンテナ船社の設立を検討しており、この国営会社がNSRのあらゆる輸送上のリスクを引き受けたうえで、遅配に伴うペナルティや海上保険料も含むすべての輸送コストを負担する。NSRを利用する外国の船社は、欧州側の受付窓口であるムルマンスク、アジア側の受付窓口であるカムチャッカまで輸送し、ロシア国営船社のコンテナ船にコンテナを積みかえて、NSR上の輸送を委託することとなる。
      • 原文 October 21, 2019, gCaptain(長谷部正道)
    • 【4】 ソブコムフロトの大型タンカー2隻がLNGを燃油としてNSR東航航海に成功
      • 【4】ロシア国営石油・LNG輸送船門船社であるソブコムフロト(Sovcomflot)は、同社の大型タンカー2隻がLNGだけを燃料として、ロシア西部のプリモルスク港から中国向けの原油を積載して北極海北航路(Northern Sea Route: NSR)を東航するのに成功した。NSR西端のジェラーニエ岬から東端のデジョニフ岬まで、2104海里の距離を平均速度12.3knotで7日と5時間かけて航海した。同社はGreen Funnel Initiativeを掲げ、2018年10月にLNGを燃料としたNSR西航の航海を初めて成功させたが、2018年から2019年にかけてLNGを燃料とする6隻のタンカーを就航させているが、LNGを燃料として使用することにより、重油燃料に比べ、GHG排出量を3割削減できることが分かっている。
      • 原文 October 21, Sovcomflot(長谷部正道)
    • 【5】 米CMTS:「2020年代における米北極圏における海事活動の見通し」を発表
      • 【5】米国海上輸送制度委員会(Committee on the Maritime Transport System: CMTS)が「2020年代における米北極圏における海事活動の見通し(A Ten-Year Projection of Maritime Activity in the US Arctic Region, 2020-2030)」を発表したところその概要は以下のとおり。①ベーリング海峡北部のチュクチ海・ボーフォート海における船舶の交通量は過去10年間で2.3倍に急増した。②2015年から17年にかけての同海域の航行船舶数は約250隻前後であったが、約半数が貨物船やタグで、多くが米国籍船であったが、外国籍船も増加傾向にあり、地域的な交通に加えて、国際的な航海が増える傾向にある。③今後の10年間は、氷海船級の船舶の増加、北極海における新たな航路・インフラの整備により、船舶の交通量だけでなく、航海可能期間が現在と比べて2.5か月長くなることが予測される。④船舶交通量の増加は、2008年実績と比較して2030年までに3倍から4倍に増加し、ロシアのLNG輸出や北部カナダの採鉱活動が増えることにより、ベーリング海峡を通過する国際海運活動も増加する。
      • 原文 September 24, 2019, CMTS(長谷部正道)
    • 【6】 EIB: Clean Oceans Initiativeの進捗状況を報告
      • 【6】欧州投資銀行(European Investment Bank: EIB)・フランス開発庁(AFD)・ドイツ復興金融公庫(KfW)は2018年10月にClean Oceans Initiative (COI)を立ち上げ、河川・海洋・陸上におけるプラスチックごみを削減するための事業に対して、2023年までに累計で20億ユーロを融資することを目標としているが、10月2日IMF・世界銀行グループ年次総会において、事業の進捗状況を発表したところその概要は以下のとおり。①流域に日常のごみ収集や管理されたごみ廃棄施設や適切な下水処理施設がない、アフリカ・アジア地域の10大河川から大量のプラスチックごみが海洋に流れ込んでいる。②したがって、COIもアジア・アフリカ・中東の途上国の河川流域と海岸におけるプラスチックごみの回収事業に重点を置いている。③事業開始から1年間の間にスリランカの下水処理施設、ロメ・トーゴの固形廃棄物処理施設等の建設事業に対して、既に合計7億ユーロの融資を実施した。
      • 原文 October 20, 2019, 欧州投資銀行(長谷部正道)
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