2019/10/30LROニュース(6)

NEWS


※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

トップページ > LROニュース > 2019/10/30LROニュース(6)

記事アーカイブ

  • 2019.10.31 UP
    2019/10/30LROニュース(6)
    • 【1】 トランプ政権:アラスカの原生林の開発の許可手続きを進める
      • 【1】クリントン政権は2001年Roadless Ruleを制定し、アラスカのトンガス国立森林公園(Tongass National Forest)を含む全米で5800万エーカーの原生林において、道路の建設・木材の伐採・鉱石の採掘を禁止したが、10月15日米国農務省森林局は、環境政策法(Environmental Policy Act)に基づき、同公園をRoadless Ruleの適用から除外するための環境影響報告書(Environment Impact Statement: EIS)案を60日間のパブコメにかけた。EIS案には、現状維持やRoadless Ruleの完全適用除外を含む同公園の今後の環境保護に係る6つの選択肢が示されているが、森林局としては完全適用除外が望ましいと明記されている。 940万エーカーの広さがある同公園内には樹齢何百年という大木が多く、米国内で最大のCO₂吸収源となって気候変動対策に重要な役割を担っている。
      • 原文 October 15, 2019, 米農務省(長谷部正道)
    • 【2】 IBIA: 規制適合燃料油の供給状況をIMOシンポジウムで説明
      • 【2】10月17日に、IMOで開催されたIMO 2020規制実施に関するシンポジウムで国際バンカー産業協会(IBIA)の代表が規制適合低硫黄燃料油(VLSFO)の供給状況などについて説明したところその概要は以下のとおり。①VLSFOの供給は9月末の時点で、アジア・中東・アフリカ・米国の主要港湾で可能となっており、今後さらに多くの港湾で供給体制が整えられる。②VLSFOの供給可能性に関する問い合わせは多く、バンカー事業者はVLSFOの供給体制の整備を積極的に進めているが、9月半ばの時点では実際の成約はわずかで、バンカー供給の1%程度にとどまった。③10月の前半に入っても、当初10月からVLSFOへの切り替えを検討していた船社が切り替えを11月・12月に延期したため、VLSFOの供給が需要を大きく上回っている。④しかし、バンカー事業者は、燃油貯蔵タンクや燃油輸送バージを高硫黄燃油(HSFO)用から、VLSFO用に切り替えを進めており、HFSO価格の仕入れ価格と販売価格の逆ザヤを恐れて、HSFOのストック積み増しに消極的になっている。
      • 原文 October 17, 2019, IBIA(長谷部正道)
    • 【3】 Shell: 海運の脱炭素化のためには排出権取引制度や炭素課税の導入が必要
      • 【3】石油メジャーのShellがIMO 2020規制に関するシンポジウムで今後の海運分野における脱炭素化の方法等について同社の方針を示したところその概要は以下のとおり。①2050年までに海運からのGHG排出量を半減させるというIMOの目標を達成するためには、既存の技術を最大限活用したうえで、LNGやバイオ燃料などの低炭素燃料を利用するだけでは足りず、Zero Carbon Fuels(ZCF)の開発が緊急の課題。②ZCFを開発するためには、産業界が協力して技術開発を行うだけでなく、GHG削減やZCF開発に関する政策的枠組みを明確化し、産業界の技術開発を後押しする必要がある。③さらに、ZCFを含む低炭素化技術開発には多くの資金が必要で、既存の安価な燃料と対等に競争できる競争条件の均衡化(level playing field)が必要となる。④このために市場機能を活用して、価格の面で新燃料と既存燃料の格差を削減する必要があり、排出権取引制度や炭素課税の導入を検討すべきである。
      • 原文 October 21, 2019, Seatrade Maritime News(長谷部正道)
    • 【4】 ARX: 週間海賊保安報告(10月12日から18日)
      • 【4】ARX MARITIMEは10月12日から18日までの週間海事海賊保安報告書を発表し3件の窃盗事件と1件の武装強盗事件を報告したがその概要は以下のとおり。①10月5日午前2時00分ころ、ナイジェリアのラゴス沖に錨泊中の製品油タンカーで、巡回中の警備員が船首楼甲板にいた3人の賊を発見、連絡を受けた当直士が警報を作動させ、賊は何も盗らずに逃走した。②10月5日午後、マレーシアのジョホール州沖で錨泊中のノルウェー籍タンカーに複数の賊が乗船し、同船の多数の備品を盗み逃走した。その後巡回中の乗組員が窃盗被害に気付き当直士に報告し、船内検索を行った。③10月8日午後、コンゴ民主共和国のポアントノアール沖に錨泊中の調査船で、船長が船首方向から聞こえる物音を聞き、1人の賊が乗船していることに気付いた。船長が賊に対して叫び声をあげ警報を作動させたところ賊は逃走し、直後に船の備品を積んだ小型船が走り去るのが確認された。④10月12日午前0時10分ころ、ハイチ共和国ポルトープランス沖に錨泊中の船舶で、当直中の甲板員1名が銃器と刃物で武装した複数の賊に一時捕えられたが、警報が作動し乗組員が招集されたことに気付き、賊は船の備品を盗み逃走した。
      • 原文 October 18, 2019, ARX Maritime(若林健一)
    • 【5】 南シナ海:中国海警局の巡視船がマレーシアの主権海域に長期滞留
      • 【5】米国の戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies)が9月26日に公表した報告書によると、中国は2013年にマレーシアが主権を主張しているルコニア礁周辺の巡回を開始したとされ、過去一年間で少なくとも中国の巡視船1隻が258日に渡りルコニア礁付近で確認されている。その目的は、マレーシアに対して中国の勢力を見せつけ、中国の南シナ海における主張を確かなものにすることにある。マレーシアは周辺国の中で最も積極的に石油やガスの海底資源開発に取り組んでいる国である一方、マレーシア海上法令執行庁(Malaysian Maritime Enforcement Agency:MMEA)の多くの巡視艇は小型で、沖合にあるルコニア礁周辺で活動することがでず、また、巡回を継続的に実施するだけの巡視艇を保有しておらず、中国の巡視船に対する警戒活動に充てる勢力が不足している。これにより、マレーシアは中国の巡視船の長期にわたる滞留をほぼ黙認する形となり、中国は東南アジア諸国に対する優勢的な立場と南シナ海における影響力を一層強める結果となっている。
      • 原文 October 20, 2019, Voice of America(若林健一)
    • 【6】 Swedish Club: 非米国人は対COSCOタンカー(大連)制裁の対象外
      • 【6】9月25日、米国財務省の外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control:OFAC)は、対イラン制裁に違反してイラン産の原油を輸送したとして、COSCOの子会社などを制裁対象に追加した。これら法人等と取引を継続した場合、米国の法人や個人は制裁の対象となるが、米国の法人や個人が所有又は管理する法人を除いては、米国外の法人や個人は制裁の対象にはならない。したがって、イラン産原油の取引など別の制裁対象となり得る取引でないことや、米ドル以外での支払いなど米国との関連を絶つことで、米国外の法人や個人は9月25日に制裁対象となった法人と商取引を継続することは可能である。
      • 原文 October 10, 2019, Swedish Club(若林健一)
  • 資料閲覧 その他