2019/10/29LROニュース(6)

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  • 2019.10.30 UP
    2019/10/29LROニュース(6)
    • 【1】 米司法省:油濁防止規則違反とその隠蔽で船主等に180万ドルの罰金刑
      • 【1】冷凍貨物・コンテナ船Nederland Reeferの所有者(Nederland Shipping Company)と運航者(Chartworld Shipping Company)の2社は、10月15日に米国デラウェア州のウィルミントンの連邦裁判所において、自社が所有・運航する同船が、危険な状態にあることを米国沿岸警備隊(US Coast Guard:USCG)に知らせず、また、油濁防止違反を隠蔽するためUSCGに対して虚偽の書類を提示し、船舶油濁防止規則(the Act to Prevent Pollution from Ships:APPS)に違反したことを認め、180万ドルの罰金刑に処された。船内で発生した油性混合物(Oil-contaminated Bilge)は油水分離器(Oily Water Separator:OWS)等を使用して処理した後に海に流し、これを船に備える油記録簿(Oil Record Book:ORB)に記録することがAPPSにより求められている。今年2月にUSCGが行った立入検査において、同船の機関長が繰り返しOWSの油分監視装置に細工をして未処理の油性混合物を船外に排出し、さらにこれを隠蔽するためORBに虚偽の記載をしたことが判明し、10月2日に機関長もこれを認めた。また、捜査の過程で2018年12月30日に、水面下のビルジタンクに空いた穴から海水が流入し、船体が危険な状態となったことをUSCGに報告していないことも判明した。
      • 原文 October 17, 2019, World Maritime News(若林健一)
    • 【2】 英政府:環境法案(2019-2020年)を議会に提出
      • 【2】10月15日、英国政府は議会に環境法案(Environment Bill 2019-2020)を提出したところその概要は以下のとおり。①EU離脱後の英国内における環境政策推進体制について、独立の環境政策監視機関である「環境保護庁(Office of Environmental Protection)」を創設する。②循環型経済移行のために、製造者責任を拡大し、使い捨てプラスチック製品の削減のための課金・前払い金制度を導入する。③Clean Air戦略に基づき、大気中に放出される微細粒子の法的拘束力がある削減目標を作成するとともに、家庭の暖房から発生する排気の削減に関する地方自治体の権限を強化し、一定の排気基準に合致しない自動車の強制リコール権限を担当大臣に与える。④洪水や干ばつに強い上下水施設の整備のため施設基準を強化し、規制当局に補償なしで水利権(water abstraction license)を取り消す権限を付与する。⑤開発事業者に対して、開発によって生物多様性が増える(biodiversity net gain)よう義務付ける。
      • 原文 October 16, 2019, Osborne Clark(長谷部正道)
    • 【3】 ISWG-GHG 6: ギリシャが船種別の具体的なエンジン出力制限案を提出
      • 【3】10月16日、ギリシャ船主協会(Union of Greek Shipowners: UGS)は、11月11日からIMOにおいて開催される地球温暖化ガス排出にかかる中間作業部会(ISWG-GHG6)に希政府から提出した提案(会議前非公表)を支持するとして、希政府提案の概要を明らかにしたところその概要は以下のとおり。①GHGの削減方法については、国際海運会議所(ICS)や他の加盟国からも支持されている船舶エネルギー効率管理計画(SEEMP)の強化が既に提案されているが、希の新提案はIMOの2030年までのGHG削減目標を達成するために、この既存提案を補完するもの。②新提案は5000GT以上の船舶について、船舶の主機関の出力を制限するもので、経過期間を経て2023年から実施する。③具体的な制限値については、ばら積み船とタンカーについては50%以下、コンテナ船については66%以下の出力に制限する。④新提案には必要に応じて規制の見直しができる見直し規定も含まれる。
      • 原文 October 16, 2019, ギリシャ船主協会(長谷部正道)
    • 【4】 IMO 2020: デンマーク政府とWMUが3地域でワークショップを共同開催
      • 【4】IMOによる船舶燃料油中の硫黄分含有量規制強化は2020年1月から実施されるが、全ての国において新たな規制が効果的に実施されることが、国際競争条件の均衡化の観点からも重要である。この観点からデンマーク政府と世界海事大学(WMU)は、アジア(ミヤンマー)・東アフリカ(ケニア)・カリブ海/ラ米(トリニダード・ドバゴ)の3地域で、2020年1月から5月にかけて、国際ワークショップを共同開催して、各地域の海事当局を招集し、規制の法的根拠・燃料油の試験の仕方・関連文書の検査方法など、新規制実施のために必要な様々な事項について、いまだ低硫黄分の船舶燃料の規制実施経験のない地域の海事当局者が、北欧諸国の経験やベストプラクティスを共有し、世界的に検査方法の整合性をとり、検査水準の向上を図ることを目的とする。必要な財源はデンマーク海事基金から支出される。
      • 原文 October 16, 2019, デンマーク海事庁(長谷部正道)
    • 【5】 Gard P&I: スクラバー設置・使用に伴う事故事例の説明と対応策
      • 【5】Gard P&Iはスクラバー使用に伴う何種類かの事故事例について船主の注意喚起を促しているところその概要は以下のとおり。①スクラバー設置のための溶接作業によるスクラバー内部や機関室の火災:スクラバー内部の素材が可燃性であること等が作業員に徹底されていない。②スクラバー洗浄水による金属腐食に伴う海水の侵入:スクラバー洗浄水は強い金属腐食性があり、開放型スクラバーを設置してから10-15か月後に、甲板上を含む船内の様々な金属部位に腐食が生じ、機関室・バラストタンク・貨物室に海水が侵入。スクラバー洗浄水の排水管の中のコーティングが不十分だったり、スクラバー排水がかかりやすい金属部位が腐食しやすい。③スクラバー設置時の不完全な作業や、開放型スクラバー使用禁止港内における冷却水欠如に伴うスクラバーの過熱によるスクラバーの故障。これらの問題に関する対処方法については以下のリンクを参照。
      • 原文 October 17, 2019, Gard(長谷部正道)
    • 【6】 EU: 再生されないプラスチックごみに対する新税が新財源として検討
      • 【6】2019年後半のEU理事会議長国であるフィンランドは、2021年から2027年にかけてのEUの中期財政計画案の策定にあたり、英国がEUから抜けることに伴う減収(約130億ユーロ)を穴埋めする新規財源の確保について、各加盟国と非公式協議を行っている。欧州委員会は昨年、新規財源として、EU全体としての法人税の創設や炭素取引制度に伴う収入の2割を各国の財源からEUの財源に振り替える案を提案したが、加盟国の受けは良くない。唯一、加盟国から広範な支持を得ているのが、リサイクルされないプラスチックごみに0.8ユーロ/kgの新税を課税する案であるが、旧東欧諸国はこの新税はリサイクル率の低い旧東欧諸国の負担が重い逆進的な税であると反対している。EU予算中の気候変動対策関係予算比率を現行の20%から25%に引き上げることについては加盟国の合意がほぼ出来ているが、欧州議会は30%への引き上げを目指しており、欧州議会に妥協策として納得させる選択肢として、今のところこのプラゴミ新税は有望である。
      • 原文 October 16, 2019, EURACTIV(長谷部正道)
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