2019/10/23LROニュース(6)

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  • 2019.10.24 UP
    2019/10/23LROニュース(6)
    • 【1】 欧州議会調査局報告書: 「気候変動対策をEU予算の中心に」
      • 【1】欧州議会調査局(European Parliamentary research Service)が作成した「気候変動対策をEU予算の中心に(Mainstreaming of climate action in the EU budget)」報告書を入手したところその概要は以下のとおり。①EUとして気候変動対策を強化するためには多大な財源が必要。②財源としては、EUの本予算の他に、排出権取引制度からの収入と欧州投資銀行による気候変動対策融資が考えられる。③2014年から2020年の中期財政枠組み(Multiannual Financial Framework: MFF)においては、EUの予算の20%が気候変動対策に充てられている。④2020年以降のMFFでは、欧州委員会は気候変動対策に充てられる予算比率を25%に引き上げることを提案し、欧州議会はより多くの予算の確保を求めている。⑤さらにEUの気候変動関係予算を「各国のエネルギー・気候変動計画(National Energy and Climate Plans)」の内容に応じて各国に分配することや、気候変動対策のための新たな財源の創設などが検討されているが、新たな財源の創設は欧州理事会が全会一致で承認しなくてはならず容易ではない。
      • 原文 October, 2019, EPRS(長谷部正道)
    • 【2】 英国政府が新たな気候変動(エネルギー効率化)対策を発表
      • 【2】独立委員会である気候変動委員会(Committee on Climate Change)から受けた勧告をもとに、10月15日、英国政府は新たな気候変動対策に関する政府案を発表したところその概要は以下のとおり。①民間賃貸オフィスビルのエネルギー消費効率の向上を図り、2030年までに年間10億ポンドの電力料金(バーミンガム市全体の約50万世帯の合計電力使用量に相当)を節減する。②2020年中に、個別の商業ビルを対象にエネルギー効率評価を実施する。③再生可能エネルギー普及のカギとなる大規模電力貯蔵施設を建設する際の都市計画上の承認手続きを簡素化する。④炭素中立化を促進し、光熱費を削減するために、異なるエネルギー部門間の情報の共有化を進める。⑤EU離脱後の英国内の環境保護基準を強化するために環境保護局(Office for Environmental Protection)を創設し、政府や他の公共団体による気候変動対策を含む環境行政の実施状況を監視させる。
      • 原文 October 15, 2019, 英国政府(長谷部正道)
    • 【3】 Ship Breaking Platform 第3四半期報告書:19人の作業員が死亡
      • 【3】NGOのShip Breaking Platform が10月15日、第3四半期報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①2019年第3四半期中に全世界で122隻の船舶が解体されたが、うち73隻は南アジア諸国沿岸で解体された。当該期間中に、バングラデシュとインドで、11人の解体作業員が死亡し、20人が重傷を負った。今年に入ってからの累計では死亡19人、重傷30人となった。②バングラデシュのチッタゴンのTahsin Steel Corpの解体場で、7月3日落下してきた鉄板にあたって解体作業補助員1名が死亡。③同チッタゴンのKabir製鉄のKhawja解体場でエバーグリーンのコンテナ船を解体していた作業員が高所から転落して死亡。事故を受けてバングラデシュ政府は同解体場に対して3か月間廃船を買い付けるのを禁じ、安全対策を講じるように命令し、スカンジナビア諸国の投資家は、不当な船舶解体を行ったとして、エバーグリーンへの投資を回収。
      • 原文 October 15, 2019, NGO Shipbreaking Platform(長谷部正道)
    • 【4】 AIDAクルーズ:独政府の支援で2021年に燃料電池の試験を実船で実施
      • 【4】AIDAクルーズは世界で初めてLNGを専用燃料とする大型クルーズ船AIDAnova号を運航しているが、早ければ2021年にも、世界で初めて同船で燃料電池の試験事業を実施すると、同社の親会社であるカーニバル社が10月10日発表した。この試験事業は独政府の交通・デジタルインフラ省の資金支援の下、Meyer Werft造船等のパートナー企業との共同事業として実施される。この試験事業は、海運分野における炭素中立を達成するための現実的な手段を見つけることを目的とする。燃料電池を動力として使用すれば、LNGを燃料とするのに比べ、GHGの排出量・騒音・振動等を大きく削減することができる。燃料電池はメタノールを原料として生産される水素を燃料とし、将来的にはメタノール自体再生可能エネルギーから生産する予定。燃料電池はFreudenberg Sealing Technologies社が設計・製作し、既存の自動車用の燃料電池の寿命よりはるかに長い3万5千時間使用できることを陸上の実験で実証済みである。
      • 原文 October 10, 2019, Carnival Corp(長谷部正道)
    • 【5】 ロシア北方艦隊がバレンツ海で大規模軍事演習を実施
      • 【5】10月14日露国防省は、10月15日から17日の3日間にわたり、露の核戦略部隊の大規模演習の一環としてバレンツ海の複数の海域を閉鎖し、潜水艦5隻、航空機105機、ミサイル発射装置213基及び1万2千人の兵士が参加して、北方艦隊による潜水艦からの弾道ミサイルの発射訓練を実施すると発表した。訓練においては複数種類の巡航ミサイルや弾道ミサイルが、露のコミ共和国の北部にあるPemboi射撃試験場、露のアルハンゲリスク州北部のバレンツ海沿いにあるChizha射撃試験場及びカムチャッカ半島北部にあるKura射撃訓練場に向け発射されることから、発射されたミサイルは北極海上空を飛行することになる。国連では核兵器の制限に関して議論が行われ、また、2021年には米露の新戦略兵器削減条約(New Strategic Arms Reduction Treaty:New START)も期限切れを迎える。露は条約延長の重要性を強調している一方、米国は来年まで同条約の延長の決定はしない方針。
      • 原文 October 14, 2019, The Barents Observer(若林健一)
    • 【6】 ICC IMB第三四半期海賊・武装強盗報告書
      • 【6】国際商業会議所の国際海事局(ICC IMB)は本年の海賊・武装強盗第3四半期報告書を発表したがその概要は以下のとおり。①本年1月から9月までの期間において119件(前年同期156件)の海賊・武装強盗事件が報告されている。②その内訳は既遂が99件(船への乗込み事件95件、乗っ取り事件4件)及び未遂が20件(単純な未遂10件、銃器が使用されたもの10件)。③全体の発生数は減少しているが銃器や刃物の武器を使用した事件は毎年一定数発生している。④人質とされた船員の数は49人(前年同期112人)で減少している一方、誘拐された船員の数は70人(前年同期39人)で著しく増加しており、このうち船員の人質事件の86%及び船員の誘拐事件の約82%がギニア湾で発生している。⑤ソマリアでの海賊・武装強盗事件は報告されていないが、IMBは付近航行船舶の船長に対して、引き続き高い警戒レベルの維持や最新のベストプラクティス集(The Best Management Practice:BMP)の励行を求めている。⑥IMBは船長及び船主に対して、未遂や疑わしいものを含めすべての海賊・武装強盗事件の報告を求めている。
      • 原文 October, 2019, ICC IMB(若林健一)
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