2019/10/21LROニュース(6)

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  • 2019.10.23 UP
    2019/10/21LROニュース(6)
    • 【1】 水産養殖場から発生した殺虫剤の効かない船虫が天然鮭にも拡散
      • 【1】ノルウェー科学技術大学等の科学者たちの研究によれば、ノルウェーの鮭養殖場においては数年前までは、船虫の駆除に殺虫剤は有効だったが、殺虫剤を使い続けるうちにほとんどの殺虫剤の効き目が薄れるとともに、突然変異でこれらの殺虫剤に耐性を持つ船虫が大量に発生するようになり、養殖場の鮭ばかりか、天然物の鮭にも寄生し、寄生された鮭が広範囲に泳ぐことによって、耐性を持った船虫の拡散が加速していることが分かった。
      • 原文 October 11, 2019, The Maritime Executive(長谷部正道)
    • 【2】 英MCA:洋上再生可能エネルギー施設の設置が船舶の安全航行等に与える影響
      • 【2】英国政府の気候変動・GHG削減対策に基づき、英国沿岸では、風力・潮力・波力などを活用した洋上再生可能エネルギー施設(Offshore Renewable Energy Installations: OREIs)の設置が急増している。一方で、OREIsの設置場所・大きさ・不規則な形状などによって、船舶の安全運航、海上レーダー・GPS等の通信機能、救難活動などが影響を受け、海難事故を引き起こし、海上や沿岸の人命・施設に損害を与える恐れがある。このため、OREIsが船舶の安全運航や救難活動に与える影響をOREIs事業者向けに詳細に解説し、また海運事業者や漁業者がOREIs周辺を通過する際のリスクを把握したうえで安全な航行計画を立てるのを支援するため、英国海事沿岸警備庁(Maritime and Coast Guard Agency)は、2012年に作成したガイダンスを10月11日改訂したところ詳細な内容については以下のリンクを参照。
      • 原文 October 11, 2019, MCA(若林健一)
    • 【3】 欧州荷主協会:IMO 2020 BAF指標メカニズムに関するガイドライン
      • 【3】 欧州荷主協会(European Shippers’ Council: ESC)はDrewry社と協力して、荷主のためにIMO 2020規制実施に伴う燃料油価格上昇分の運賃転嫁に関する透明性を確保するため、燃料油価格の上昇に伴うサーチャージ算定の指標メカニズム(Indexing Mechanism: IM)に関するガイドラインを作成し発表した。IM作成の目的としては①燃料油の平均価格を算定する期間、燃料費調整料率(Bunker Adjustment Factor: BAF)見直し期間、指標となる燃料油価格等に関する共通の基準・定義を確立することにより、BAFの見直し手続きを合理化すること。②ただし、IMは共通のBAF価格を作成したり、BAFチャージの基本価格を定めることを目的とするものでなく、BAFチャージの基本価格等はあくまで輸送契約を締結する際に商業ベースで荷主と船社が交渉して決定するべきもので、IMはあくまでこうした交渉における指針を示すもの。
      • 原文 October 14, 2019, AJOT(長谷部正道)
    • 【4】 IMO 2020: 依然として22%が規制遵守が不可能と回答
      • 【4】 パラオ国際船舶登録機関(Palau International Shipping Registry)はIMO 2020規制強化に関するアンケート調査を実施したところその結果概要は以下のとおり。①アンケート調査に対する回答数は337でうち、219が船主や船舶管理者からの回答であった。②回答した船主・船舶管理者からの内訳は、68%が保有・運航船舶が7隻以下の小規模事業者、8隻から10隻の中規模事業者が9%、10隻以上の大規模事業者が22%だった。③IMO 2020規制の遵守可能性に対する回答としては、市場の動向を見るが最大の44%、必ず規制を実施するが34%、規制を実施しないが22%もあった。④さらに、47%の回答者が規制実施が延期されるかもしれないと未だに考えている。⑤規制を実施するとした回答者のうち、83%が規制適合油を利用、15%がスクラバーを使用、2%が未定というものだった。
      • 原文 October, 2019, Palau Register(長谷部正道)
    • 【5】 第一次世界大戦の沈船を洋上風力発電施設の環境影響調査に活用
      • 【5】 英のバンガー大学の研究者が調査船からマルチビームソナーを使用してアイルランド海の海底を調査した結果、ウェールズ沿岸に何百隻も沈んでいる第一次世界大戦による沈船が、洋上再生可能エネルギー施設の建設のための貴重な情報を提供していることが判明した。沈船の周囲の海洋環境を調査すれば、洋上再生可能エネルギー発電施設が、長期的に海洋環境にどのような物理的・生物学的に影響を与えるか推定することができる。反対に、海底に設置した構造物が風力・潮力・波力によって経年的にどのような影響を受けるかも調査することができる。このような沈船周辺の情報は実際に二つの潮力・波力発電試験プラントの建設に活用されている。
      • 原文 October 13, 2019, BBC(長谷部正道)
    • 【6】 IMF: 大気中の炭素回収にクジラの生息数を増やすことが有効
      • 【6】 CO₂が地球温暖化に与える悪影響については科学的に解明されており、大気中からのCO₂の回収が緩和策として着目されているが、効率的なCO₂回収策を見つけ、かつその対策に必要な財源を確保する必要がある。現在提案されているハイテクを駆使して大気中から直接CO₂を回収し、地中に貯蔵するような方法は、複雑で実証されておらずさらに莫大な経費が掛かる。もっとローテクを活用して、効率的かつ経済的にCO₂を回収する成功例はないだろうか?全く技術を必要としない例のひとつが、クジラの生息数を増やすことである。海洋生物学者の研究によれば、クジラは生きている間に体内にCO₂をため続け、死亡すれば回収したCO₂とともに海底に沈むが、大型のクジラ一頭当たり平均して生涯33トンのCO₂を回収することが判明しており、木と比較してみると、一本の木が年間に吸収するCO₂の量は平均48ポンドとされているので、クジラ一頭で何千本分の森林が吸収するCO₂の量が回収できることになる。大型クジラの生息数は商業捕鯨のおかげで最盛期の頭数の1/4に減少しているが、クジラを保護してかつての生息数に戻すだけで多量のCO₂の回収が期待できる。
      • 原文 2019, IMF(長谷部正道)
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