2019/10/17LROニュース(6)

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  • 2019.10.18 UP
    2019/10/17LROニュース(6)
    • 【1】 米の制裁対象となったCOSCO子会社の1/3のタンカーがAISを切断
      • 【1】イラン原油を輸送した疑いで9月25日に米国の制裁対象となったCOSCOのタンカー子会社(COSCO Shipping Tanker: Dalian)は、43隻のタンカーを所有するとされているが、このうちの3分の1に当たる計14隻のタンカーが、9月30日から10月7日までの間に、船舶自動識別装置(Automatic Identification System:AIS)による位置情報の発信を停止した。同14隻のうち9隻は大型タンカー(Very Large Crude Oil Carrier:VLCC)で、また、6隻は実際に石油を輸送中であるとみられる。国際海事機関(International Maritime Organization:IMO)は、航行の安全と航海の目的を明らかにする目的で、商業船舶や客船にAISの搭載を義務付け、海賊による拘束の回避など正当な理由がある場合のみ発信を停止することが認められているが、しばしば船舶による違法な活動が行われる際にその位置を隠すために発信が停止されることがある。
      • 原文 October 9, 2019, gCaptain(若林健一)
    • 【2】 COSCO子会社への米制裁を受けてノヴァテクがLNGの輸送方法を再検討
      • 【2】COSCOのタンカー子会社(COSCO Shipping Tanker: Dalian)に対する米国の新たな制裁措置によるLNG輸送への影響の程度がまだ確定しない状況下にあって、ノヴァテクはCOSCO子会社とTeekayの共同事業体に代わる輸送方法について検討を開始した。ノヴァテクは多くの船社と共同事業体を創設してLNG輸送を行っているが、COSCO/Teekayの共同事業体はヤマルLNG輸送用に新たに建造されたArc7船級の砕氷輸送船15隻のうち6隻を保有しヤマルLNG輸送の中核輸送会社となっているため、制裁を受けた共同事業体の新型砕氷船がこのまま使用できないとなると、不足輸送分を他社で埋めきれるかどうか見通しは立っていない。北極海北航路東航ルートが海氷によって閉ざされた2018年12月から2019年6月にかけては、アジア市場向けLNGも含めて、Arc7船級の輸送船によるLNG輸送の効率化を図るため、ノルウェーの船社と提携してノルウェーのホニングスボーク沖のフィヨルドで、Arc7船級の砕氷輸送船から通常輸送船への積み替え作業を123回実施したが、今年もこのホニングスボークかあるいはムルマンスクでの積み替え輸送を検討しているが、ムルマンスク港は重要な海軍基地があり、同港での積み替えを行うことについてロシア政府の許可は出ていない。
      • 原文 October 9, 2019, High North News(長谷部正道)
    • 【3】 EUのGHG削減目標引き上げに果たす排出権取引制度の役割
      • 【3】フィンランド変革基金(Finnish Innovation Fund: SITRA)が「EUのGHG削減目標引き上げに果たす排出権取引制度(Emission Trading System: ETS)の役割」という報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①現在のEUのGHG削減目標は1990年の排出実績比で2030年までに40%排出量を削減するというものだが、現在のEUのETSは、2005年の排出実績比で2030年までに43%の削減を目標としている。②1990年の排出実績比で2030年までに55-60%削減するようにさらにEUのGHG削減目標を引き上げるためには、EU ETSの対象となる分野のGHG排出量を対2005年実績比で61-65%削減する必要がある。③この目標を実現するためには、GHG排出上限(cap)を引き下げるか、市場安定化リザーブ(Market Stability Reserve)を強化するか、排出権取引最低保証価格制度(Carbon Price Floor)を導入するか、ETSの対象分野を海運などに拡大することが考えられる。
      • 原文 October 7, 2019, SITRA(長谷部正道)
    • 【4】 南シナ海問題:中国と正面対決を唯一続けるベトナム
      • 【4】南シナ海の覇権をめぐっては、フィリピン、マレーシア、タイなど多くの東南アジア諸国が中国の自制的な譲歩に期待して融和的な方針をとっているのに対し、ベトナムは公然と頻繁に中国による南シナ海の軍事化を批判するなど、中国への対抗姿勢を明確にしている唯一の国である。中国の圧倒的な軍事的優位性に対抗するため、ベトナムは巧みに三方面からの対応をとっている。(第一)南シナ海における航行・飛行の自由への中国の脅威に対する世界的な非難の声を高めるだけでなく、地域的・国際的な団体からの支援を求める外交政策を率先している。(第二)ベトナムの海上安全保障と海洋状況把握能力の強化を支援してきた米国、ロシア、インド、日本など各地域の大国との戦略的協力関係を深化させ、また、ロスチネフなどロシア企業に対してベトナムの排他的経済水域内における資源探査を推奨している。(第三)TPP-11への加盟やEUとの新たな自由貿易協定により貿易の多様化するなど、ベトナムは積極的に中国への経済的依存度を減少させている。
      • 原文 October 10, 2019, Asia Times(若林健一)
    • 【5】 ReCAAP ISC 週間報告(10月1日から7日報告分)
      • 【5】アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センター(ISC)に、10月1日から7日まで通報された事故は、重要度4(賊は武装せず、乗組員の負傷無し)の海賊事件が1件及び窃盗事件が1件報告されたところ、その概要は以下のとおり。①マレーシアのジョホール州バンダル・ペナワルの東約17.7海里に錨泊中の香港籍貨物船に、9月26日午前6時00分、3人の賊が錨鎖を伝って小型木造船から乗船、船首倉庫に侵入して係留索を盗んで逃走した。②10月3日16時30分、インドのGopnath Pointの約3海里沖でタグボートに曳航されていたタンザニア籍の補給船に乗船している3人の賊を、同タグボートの船長が発見したが、賊は船の備品を盗んで逃走した。
      • 原文 October 8, 2019, ReCAAP ISC(若林健一)
    • 【6】 第17回バレンツ海関係欧州・北極評議会外相会議が開催
      • 【6】10月3日からスウェーデンのウーメオーで、第17回バレンツ海関係欧州・北極評議会(Barents Euro-Arctic Council: BEAC)外相会合が開催され(ロシアとフィンランドの外相は欠席)、共同宣言が採択されたところその概要は以下のとおり。①2年間にスウェーデンが議長としてバレンツ海地域の協力関係を強化したことを高く評価。②同地域の若手人材が中心となって「気候変動に関するバレンツ海行動計画」を着実に実施していくことを期待。③「バレンツ地域審議会(Barents Regional Council: BRC)」が中心となった地域レベルでの協力強化の必要性を強調。④BRCは長年BEACの活動の効率化と可視化を促進するための財政支援枠組みの創設に取り組んできたが、もし財政支援の枠組みができれば欧州とロシア北極圏における地域開発の持続可能性を強化することが可能。
      • 原文 October 9, 2019, High North News(長谷部正道)
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