2019/07/22LROニュース(6)

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  • 2019.07.23 UP
    2019/07/22LROニュース(6)
    • 【1】米国が湾岸を運航する船舶警護のために有志連合結成へ
      • 【1】米国政府は、先月発生したタンカーへの攻撃や米国無人機の撃墜を受けて、イラン及びイエメンの周辺海域における保障措置のための有志連合を結成する計画を発表した。今週には、イランが英国タンカーを妨害し領海に引き込もうとしたと英国が発表している。海運業の専門家などは、ホルムズ海峡における軍事的緊張の高まりや世界のエネルギー供給への影響などを懸念し、米国の計画を歓迎している。米国政府高官は、17か国もの国が最近発生したタンカーに対する攻撃により、直接的あるいは乗組員、保険等を通して影響を受けており、世界的な圧力がイランによるさらなる攻撃を妨げるだろうと述べている。また、ボルチック国際海運協議会(The Baltic and International Maritime Council)関係者は、安全上の問題が石油の価格上昇などにより世界経済へ悪影響を与えており、積極的な抑止が求められると述べている。
      • 原文 July 12, 2019, VOA(若林健一)
    • 【2】パナマがイラン・シリア制裁違反の可能性がある船舶のパナマ船籍をはく奪
      • 【2】パナマは世界で最大の船舶登録国で、約7100隻の船舶がパナマに登録しているが、2018年に米国が対イラン制裁を再開して以来、パナマの前大統領は59隻のタンカーからパナマ籍をはく奪することを承認した。これらのタンカーの大多数は、イラン国営企業が保有するものであったが、シリアへの原油の輸送に関連する他の船舶も含まれていた。7月初めに制裁措置に違反してシリアに向けて原油を輸送していたとしてジブラルタルで英国海軍によって拿捕されたタンカーの船体にはパナマの名前が書いてあったものの、当該タンカーのパナマ籍は5月29日にはく奪された後であった。パナマ海事庁の商船局長は、詳細は明らかにしなかったが、今後とも国際法や制裁措置に反する運航を行う船舶からのパナマ籍のはく奪を継続して行っていくとロイターに語った。
      • 原文 July 12, 2019, Reuters(長谷部正道)
    • 【3】ISCD Index: シンガポールが6年連続で世界の港湾の首位に
      • 【3】国際海運センター開発(International Shipping Centre Development: ISCD)は港湾・海運の拠点となる世界の大都市を客観的に比較・順位付けするインデックスを2014年から発表しているが、2019年もシンガポールが6年連続して首位となった。中国の新華社とシンガポール取引場(Singapore Exchange)に2016年に買収されたバルト取引所(Baltic Exchange)が、各港湾の貨物取扱量・港湾施設・海事関連支援業務の幅と充実度・港湾を取り巻く海運以外の産業の環境等について客観的に考慮して選考が行われた。調査が開始されてからの6年間に、アジアと中近東の港湾都市の地位が相対的に上がった結果、2014年の開始当初は欧州の3都市がランクインしたが、2019年に欧州で残ったのはロンドンだけとなった。2019年のトップ5は、順に、シンガポール・香港・ロンドン・上海・ドバイとなっている。ちなみに、東京は2018年まで9位だったが、2019年はトップ10に入ることができなかった。
      • 原文 July 11, 2019, Baltic Briefing(長谷部正道)
    • 【4】ジブラルタル警察が拿捕したタンカーの船長と一等航海士を逮捕
      • 【4】ジブラルタル警察は、シリアに対するEUの制裁に違反したとして拿捕されているイランタンカーの船長及び一等航海士を逮捕するとともに書類等を押収した。先週、英国海兵隊はジブラルタル沖において、シリア向けに石油を輸送していたイランタンカーをEUの制裁に違反した疑いで拿捕していた。ジブラルタル警察は7月11日の声明において、捜査はいまだ継続中でありイランタンカーの拿捕は継続していると述べた。
      • 原文 July 11, 2019, Reuters(若林健一)
    • 【5】イラン籍タンカーの拿捕を巡る法的考察
      • 【5】イラン政府はジブラルタル政府が英国海軍と共同で拿捕したイラン籍船が解放されない限り英国籍または英国の船社が運航しているタンカーを対抗上拿捕すると脅迫しているが、2019年5月にインドネシアで北朝鮮籍のタンカーが、米国の民事法廷による没収命令としては初めて拘束されており、今回拿捕されたイラン籍タンカーも今後、米国民事法廷の命令により没収される可能性がある。(つまり同船は解放されないので、英国に対する報復の可能性が続くこととなる。)今回の拿捕はEUのシリアに対する制裁措置(EU理事会規則36/2012)違反が根拠となり、特に今回のタンカーの仕向地だったシリアのバニヤース製油所は、2014年7月に制裁対象の企業として指定されていた。さらにジブラルタル政府は7月3日に「2019年制裁規則(Sanctions Regulations 2019)」を施行し、同政府はEU規則に違反している可能性が高い船舶を「特定船舶(Specified Ship)」として指定できることとなり、同日同政府は「特定船舶に関する告知(Specified Ship Notice)」を発表し拿捕したGlace 1を特定船舶に指定していた。
      • 原文 July 11, 2019, Crowell(長谷部正道)
    • 【6】サンクト・ペテルブルグで給油された燃料油の品質問題(最新情報)
      • 【6】本年の4月と5月にサンクト・ペテルブルグで給油された燃料油を使用した数隻の船舶において深刻な船舶運航上の問題が発生したが、ロイズ船級協会による「燃料油分析・助言サービス(Fuel Oil Bunker Analysis and advisory Service)」は事故があった船舶の燃料油のサンプルから原因調査を始めたが、船舶運航上の問題は主機関と補助機関の燃料油補給装置と燃料フィルターの損傷が原因となっていることが判明している。ガスクロマトグラフィー質量分析技術を駆使した結果、問題が発生した船舶から採集した燃料油の全てのサンプルに高濃度の有機塩素化合物が含まれており、今回発生した機関のトラブルは、過去有機塩素化合物によって汚染された燃料油によって発生したトラブルと類似している。さらにサンプルには高濃度の四塩化炭素が含まれていることも判明し、これが機関故障の主因になったものと考えられる。
      • 原文 July 15, 2019, Ship & Bunker(長谷部正道)
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