2019/06/11LROニュース(6)

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  • 2019.06.12 UP
    2019/06/11LROニュース(6)
    • 【1】欧州環境庁が欧州諸国等におけるプラスチックごみ対策を取りまとめる
      • 【1】欧州環境庁(European Environment Agency)は6月3日、欧州諸国等におけるプラスチックごみに対する取り組みを評価・分析した報告書(Preventing plastic waste in Europe)を発表したところその概要は以下のとおり。①最も環境に有害なプラスチック製品(使い捨てプラスチック製品やリサイクル不可能なプラスチック製品等)に優先順位を置いてプラスチックごみ対策を行うべき②レジ袋有料化は多くの国でレジ袋削減に大きな効果を上げたが、同様の課金制をプラスチック包装材等にも拡大すべき③欧州では現在プラスチック製品の3割しかリサイクルされておらず、リサイクル施設の能力が世界のプラスチック製品の消費量拡大に追い付いていない④リサイクルのほとんどは環境基準の緩い欧州外で行われているのも問題⑤EU加盟国(キプロスを除く)とアイスランド・ノルウェー・スイス・トルコのプラスチックごみ防止計画を取りまとめたところ、現在実施または今後実施される予定の173種類のプラスチックごみ対策が確認された⑥プラスチックごみ防止対策について明確な削減目標を持っている国は9カ国のみだった。
      • 原文 June 3, 2019, 欧州環境庁(長谷部正道・田中亜季)
    • 【2】船舶職員の不足が緩和される中で船員費の上昇も伸び悩み
      • 【2】Drewry社によれば、2019年に入っても配乗コストの上昇は2018年に引き続き上昇しているが、上昇のペースは穏やかでインフレ率を下回っている。船舶職員数が求人数に対して足りない状況も徐々に緩和してきており、2024年には船舶職員数が余剰に転じる見込みである一方、部員数は既に余剰となっており、今後も余剰の状況が続くと見込まれる。個別にみると、需要が拡大しているLNG船の分野を除き、配乗コストは落ち着いており、求人が求職を上回る分野も、経験が豊かな二等機関士など一部の職種に限られている。同社によれば2019年内の配乗コスト総額の上昇率はインフレ率以下の1%にとどまる見込み。
      • 原文 June 3, 2019, AJOT(長谷部正道)
    • 【3】国際海運会議所:2019年年次報告書を発表
      • 【3】国際海運会議所(International Chamber of Shipping: ICS)が2019年年次報告書を発表したところ、会長冒頭所見で述べられている概要は以下のとおり。①2020年から開始される燃料油中の硫黄含有分の規制強化について、規制を各国が整合的に実施するためのガイドラインをIMOにおいて整備することにICSは尽力してきたが、なかでも規制適合燃料油が港湾で供給を受けることができない場合に、Port State Controlの際に、船主が不可抗力で罰せられるリスクを減らすことに注力してきた。②船舶から排出されるCO₂ついては、2008年から既に削減に取り組んでおり、今後とも現実的な範囲で地球温暖化ガス(GHG)排出ゼロを目指していくが、このためには新たな船舶燃料の研究開発に膨大な投資を行う必要がある。③2018年11月にマニラで私が提唱した、船員の訓練の基準に関するSTCW条約を包括的に見直すことについて、IMO加盟国の支持を受けたことは喜ばしい。
      • 原文 June 3, 2019, ICS(長谷部正道)
    • 【4】英国立海洋学センター:深海底開発への海洋環境への影響は何十年も残存
      • 【4】英国立海洋学センター(National Oceanography Centre: NOC)の科学者たちが、深海海底開発によってもたらされる海洋環境への永続的な影響について科学誌に研究発表したところその概要は以下のとおり。①NOCのチームは、約30年前に疑似深海底採鉱を行った海域の海底や生態系がどの程度回復しているか、自律潜水艇を使用して詳細な計測・撮影を行い、得られた画像を合成して、11ヘクタールの深海のモザイク写真を作成した。②疑似採鉱活動によって深海底につけられた痕跡は30年を経て明白に視認することが可能で、30年前に観測された海洋生物への影響もそのままで回復していなかった。③移動することが可能なナマコやヒトデは影響を受けた海底に戻って生息していた一方で、海底に付着して生息する生物は影響を受けた海底で復活していなかった。④海底付着生物が深海底生態系に果たす役割を考えれば、商業的な海底資源の採掘は、生態系に不可逆的な影響を与える可能性があることが分かった。
      • 原文 May 30, 2019, 英国立海洋学センター(長谷部正道)
    • 【5】国連Global Compact: 民間企業に海洋環境保全のための緊急行動を求める
      • 【5】国連事務総長の肝煎りで2000年に創設された国連Global Compactは、300人以上の民間企業・民間団体・学識経験者の代表と協議して、民間企業に対して海洋環境の維持・改善のために緊急行動をとることを求めた報告書(Global Goals, Ocean Opportunities)を発表したところその概要は以下のとおり。①健全な海洋環境を守ることは、多くの企業の長期的な活動にとって必要であるだけでなく、民間企業にとって大きな事業機会を与える。②現在進行している急速な海洋環境の悪化は、生物多様性や沿岸社会の活動に大きな影響を与えるだけでなく、地球全体の環境を阻害する緊急に対応すべき問題③天然資源の過剰な開発・海洋生物の生息域の破壊・海ごみなどの海洋汚染といった人類の活動が、海洋環境の破壊や気候温暖化をもたらしており、これらの課題を解決するためには、政府と海洋関係企業ばかりでなく、その他の陸上部門の企業との抜本的な連携が必要。
      • 原文 June 4, 2019, UN Global Compact(長谷部正道)
    • 【6】米運輸長官の家族事業と中国政府の関係
      • 【6】米国運輸長官は運輸長官としての最初の中国公式訪問にあたり、連邦政府職員に家族の中国国内旅行のアレンジをさせたり、政府間の会合に親戚を同席させるような要望を出して倫理上の疑念が提起されている。運輸長官の家族は中国航路を主体とする米国の海運会社を経営しており、中国の政財界のエリートと深い関係を築いている。倫理問題が国務省と運輸省の高官に報告され、NY Timesが長官の訪中日程と随行者について調査を開始してから、長官の訪中は突如中止となった。このような問題が国務省からさらに大統領府に伝達されることは異例だが、国務省は長官の家族が経営する海運企業と国益の利益相反を強く懸念しているものと考えられる。運輸省の報道官は公式訪問中止の理由を明かさず、長官の公務と長官の家族が経営する企業が中国において持つ権益とは関係がないと表明している。運輸長官は家族経営企業であるForemost Groupの役員でもなく株式も保有していないが、長官の夫であるMcConnell 上院議員は再選資金として、昨年までForemost Groupのトップだった長官の父親と、その地位を引き継いだ長官の妹から100万ドル以上の献金を受けており、父親と妹は国務省から倫理上の問題で聴取を受けている。
      • 原文 June 2, 2019 NY Times(長谷部正道)
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