2019/06/07LROニュース(6)

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  • 2019.06.10 UP
    2019/06/07LROニュース(6)
    • 【1】英国の著名科学者たちが首相に2050年までにGHG排出ゼロの実現を求める
      • 【1】英国の現行法では、地球温暖化ガス(Greenhouse Gases)の削減目標を2050年までに8割削減すると定めているが、政府から独立した気候変動問題に関する諮問機関である気候変動委員会(Committee on Climate Change)は先日、政府に対して現在の削減目標をさらに上げて、2050年までにGHGを100%削減することを答申したが、科学者たちの有志は、メイ首相に共同書簡を送り、100%削減をメイ首相の最後の伝説(legacy)とすることを求めた。書簡の中で科学者たちは、気候変動による危険を回避するためにはGHGの削減だけでなく、全てのGHGの排除または差し引きゼロを実現する必要がある明確な科学的な証拠があるとしている。30年前にサッチャー首相が先進国のリーダーとしては最初に国連で気候変動対策のための条約の必要性を訴えたのと同様に、GHG排出ゼロに向けてメイ首相も世界的な指導力を発揮する強い宣言を出すことを求めている。
      • 原文 May 31, 2019, BBC(長谷部正道)
    • 【2】加海軍が6隻の新造北極海哨戒艦を先住民地域に配置
      • 【2】カナダ海軍は、新造の北極海哨戒艦6隻を先住民であるイヌイットの居住地域に配備することを明らかにした。イヌイット居住地域は、カナダの海岸線の約43%を占めている。カナダ国防相は、海軍はイヌイットとの共存により、イヌイットの文化と伝統をより深く理解することができると強調している。新造の北極海哨戒艦6隻のうち1番艦は今年後半に就役しヌナブト準州の州都イカルイトに配備され、残りの5隻についても、ヌナブト準州内に順次配備される。ヌナブト準州の知事はこの発表を歓迎するコメントを発している。この発表に先立って、ポンペオ米国務長官はフィンランドで開かれた北極評議会で、北西航路に対するカナダの主権の主張は違法であると発言、これに対し加外相が即座に反論する場面があった。カナダは近年、哨戒艦や沿岸警備隊艦艇の配備、北極点の主権主張など、北極海の主権主張ともとれる行動を取っている。カナダ国防相は、軍とイヌイット社会の関係強化は、北方に暮らす人々が直面している出来事を軍がより確実に把握することに繋がり、北極への有意義な関与と永続的なプレゼンスに貢献するとコメントしている。
      • 原文 May 30, High North News(武智敬司)
    • 【3】クリーンエネルギー閣僚会議で新たな水素イニシアティブが発足
      • 【3】2018年に日本で開催された水素エネルギー閣僚会議(Hydrogen Energy Ministerial Meeting)以来、経済における水素と燃料電池のための国際パートナーシップ(International Partnership for Hydrogen and Fuel Cells in the Economy)など、水素エネルギーの開発のための様々な国際協調が進められてきた。カナダで開催された第10回クリーンエネルギー閣僚会合( Clean Energy Ministerial: CEM)では、米・加・日・蘭・欧州委員会等が参加する新たな国際的水素パートナーシップの発足が5月29日発表された。国際エネルギー機関(International Energy Agency)が本イニシアティブの調整役を務める。世界的なクリーンエネルギーへの転換の中で、CEMとしてははじめて水素エネルギーと燃料電池の問題にスポットライトを当てる。経済全部門における水素・燃料電池技術の商業的な開発を加速化させるために、このイニシアティブを通じて政策面・事業面での国際協力を推進する。
      • 原文 May 29, 2019, 米エネルギー省(長谷部正道)
    • 【4】アラブ首脳がフーシの攻撃に対し非難声明
      • 【4】アラブ諸国の首脳が5月31日、イランの支援を受けた武装組織「フーシ」による、UAE沖での海域の商船への攻撃とサウジ領内の石油送油施設への攻撃について非難する声明を発表した。各国首脳は声明で、フーシの活動を非難するとともに、イランについて、良き隣人の原則に反し、地域の平和と安定に脅威をもたらすとして非難している。イエメン問題に関して、各国首脳はイエメンの合法的政府と対立するフーシをイランが継続的に支援するとともに、バーレーンの内政に干渉しているとしてイランを強く非難した。また、イランはテロリストを支援し、武器や爆発物を密輸し、宗派間の対立を煽っているとしている。各国首脳は最終コミュニケでアラブ諸国に対し、地域及び国際機関と協力し、地域の平和と安定を阻害するイランの活動を白日の下にさらすよう求めた。また国際社会に対しては、イランへの強硬姿勢を求めた。
      • 原文 May 31, 2019, Emirates News Agency(武智敬司)
    • 【5】デンマーク海事庁が電子船員証書の試行を実船で開始
      • 【5】デンマーク海事庁(Danish Maritime Authority: DMA)はマースクが運航する実船を使って、電子船員証書が寄港地のPort State Control(PSC)などで問題なく受け入れられるか試行実験を行う。対象となる船舶はデンマークを出港後、独・モロッコ・シンガポール・中・韓に寄港する予定。DMAは電子船員証書の導入により、船員証書の確認をより簡単・迅速・安全に実施することが可能となり、船員・船社・PSC当局等の全ての関係者にとってメリットがあり、今回の試行によりこれらの電子証書の長所が確認され、将来的に全世界で電子船員証書が普及することを期待している。
      • 原文 May 29, 2019, DMA(長谷部正道)
    • 【6】米国は今後2020年規制の規制開始時期の延期を積極的に求めず
      • 【6】2020年から規制開始が予定されているIMOによる船舶燃料油中の硫黄含有分規制強化について、米トランプ政権が何らかの強い働きかけを行う意思があるかは未だに不明だが、2018年10月に開催されたIMO第73回海洋環境保護員会(MEPC73)において、規制強化開始時においては「経験を積む(experience building)」期間が必要ではないかという提案を米国が支持したことにより、米国は2020年規制の開始時期を遅らせようとしているのではないかという憶測を呼んでいた。これを受けて、米国の舶用燃料供給事業関係者や米国共和党の上院議員14名は規制実施の延期は米国のエネルギー産業に損害を与えるだけでなく消費者のためにもならないと2020年当初からの規制の実施を求めていた。5月に開催されたMEPC74において米代表団は規制実施を遅らせるための具体的な行動はとらず、Wall Street Journal によれば、政府高官は米国政府として規制実施の延期は求めないとしつつも、規制実施に伴い消費者や産業界に与えるマクロ経済的な影響について引き続き分析していくと非公式に発言しており、規制実施を巡る今後の米国政府の対応は予断を許さない。
      • 原文 May 31, 2019, Ship & Bunker(田中亜季・長谷部正道)
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