2019/04/09LROニュース(6)

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  • 2019.04.10 UP
    2019/04/09LROニュース(6)
    • 【1】比がパグアサ島周辺に集結している中国船に対して抗議
      • 【1】4月1日、比政府は中国政府に対し、南シナ海で比が実効支配するパグアサ島の周辺に多数の中国船が蝟集しているとして外交ルートを通じ抗議を行った。比軍によれば、これまで同島周辺に出没した中国船は600隻以上にのぼり、常時最大約90隻が航行していたとしている。中国政府は多数の民間の漁船を海上民兵として助成金を支給し、漁民に対し小火器の訓練を含む軍事訓練を実施しており、比軍関係者は同島周辺の中国船について、同島周辺のプレゼンスを維持するために中国海警局に支援された海上民兵であると指摘している。また米国のシンクタンクはこれらの中国船の出現について、漁船の周辺を中国海警局や中国海軍が保護しながら影響力を拡大する「キャベツ戦略」の一端であると指摘している。
      • 原文 Apr. 1, 2019, The Maritime Executive (武智敬司)
    • 【2】USCG:港湾施設管理者に船員が上陸するときのアクセス手段の提供を義務付け
      • 【2】4月1日、米国沿岸警備隊(USCG)は「船員の海事施設に対するアクセスに関する最終規則(Seafarer’s Access to Maritime Facilities Final Rule)」を官報(Federal Register)に告示し、海上輸送保安法(Maritime Transportation Security Act)の対象となっている施設の所有者と管理者は、有効な米国入国査証を持っている船員、水先人、船員組合・船員福祉団体の代表に対して、船員等の上陸を支援するため、船舶の繋船地から当該施設のゲートの間について、船員等の個人負担なしにスムーズに移動することができるよう、シャトルバスやタクシーといった移動手段の提供を義務付けた。長期間上陸することなく船上勤務を継続した船員にとって、上陸は船員の健康・福祉・モラル・人生の質を維持するために極めて重要であり、こうした基本的な船員の人権を保障するために本最終規則は、幅広い関係者からの意見を集約して作成された。
      • 原文 Apr. 1, 2019, USCG(長谷部正道)
    • 【3】合意無きEU離脱:トレーラー輸送の一部をコンテナ輸送に振替えることが可能
      • 【3】Drewry社が最近行った研究によれば、年間25万台程度の2.5mトレーラーが英仏海峡間を輸送されているが、一定の貨物についてはトレーラーではなく、コンテナを利用して英国内の複数のコンテナターミナルに輸送することが可能であることが分かった。英国内の各港湾には現在合計で約590万teu分の余剰処理能力があり、ドーバー海峡で処理しきれない分を受け入れる余地は十分ある。またドーバー海峡で扱われている貨物の20%をコンテナ輸送に振り替えたとして換算すると1週間当たり4800teuの追加輸送能力が必要だが、英国と北部欧州諸国との間には、週間23便のコンテナ航路があり、既存のコンテナ航路の未利用分でもカバーすることができるし、コンテナ船自体は余っているので、週6便で1000teuを輸送する航路を一航路新たに開設すればカバーすることができる。荷物を入れるコンテナ自体も北部欧州においてはコンテナ貨物の輸入量が輸出量より多く、この余剰コンテナを利用して英国に物資を輸送し、余ったコンテナは外航コンテナ船でアジア諸国に戻せば済む。
      • 原文 Apr. 3, 2019, The Load Star(長谷部正道)
    • 【4】北極圏の高緯度地域で激増する土砂崩れ
      • 【4】カナダ北方の氷に閉ざされたバンクス島では、地球温暖化による土砂崩れの激増により景観が一変している。何年にもわたってゆっくりと動く地滑りに合わせて通常発生する土砂崩れの数は同島においては、1984年に63回だったのに、2013年には年間4000回以上発生した。原住民であるイヌイット族の住民によれば、土砂崩れの頻発によって島内の移動が困難になったほか、昔はどこでも飲めた泉の水が泥で濁って飲めなくなっている。北極圏の南端では、永久凍土の解凍によって、永久凍土の上に建設された建物が傾いたり、道路が崩れたりしているが、バンクス島のように北極圏でも極めて高緯度に位置する場所で、永久凍土の解凍の問題がないと考えられたところでも土砂崩れが頻発しているのはとても憂慮すべきことである。但し、氷が多く含まれ土砂崩れを起こすような永久凍土が北極圏全体に広く分布するわけではなく、一部の地域に限定されている。
      • 原文 Apr. 2, 2019, New Scientist(長谷部正道)
    • 【5】無視されている太平洋島嶼植民地の人々の国際法上の海洋資源に関する権利
      • 【5】(論説)仏は国際法上、自治権のない海外領土(Non-Self-Governing Territories: NSGT)の行政権を持つとともに、植民地の人々に対して義務を負っている。仏は太平洋の仏領NSGTの周辺EEZの海洋資源について排他的な権利を有すると主張しているが、国連総会ではこうしたNSGTの人々の土地及び海洋資源に対する権利について何回も決議で確認されている。例えば、2012年12月18日の国連決議では、「天然資源は先住民を含むNSGTの住民の遺産であり、これらのNSGTの行政権を持つ国は、当該NSGTの海洋・天然資源を開発するにあたっては、既存の国連決議を尊重し、NSGTの人々の利益を侵害してはならない。」とされ、同趣旨は国連海洋法(UN Convention on the Law of the Sea: UNCLOS)や国連非植民地化特別委員会(UN Special Committee on Decolonization)の決議においても繰り返し確認されている。仏領ニューカレドニアのカナック族や仏領ポリネシアのマオヒ族の指導者たちは、天然資源の管理は彼らにとって極めて重要な開発上の優先事項であると強調している。
      • 原文 Mar. 29, 2019, Lowy Institute(長谷部正道)
    • 【6】USCG:環境汚染問題担当長官補が2020年1月からのSOx規制実施を明言
      • 【6】IMOの硫黄含有分規制の強化が2020年1月から予定とおり実施されると、舶用ガスオイルの需要増加に伴い、米国内におけるガソリン・灯油の値段も上昇して、大統領選挙に悪影響を与える可能性を懸念して、米政府は昨年「試行期間(experience building phase)」の導入をIMOにおいて模索していたが、米沿岸警備隊(USCG)で環境汚染防止担当の長官補を務めるNadeua大将は、海事関係のイベントで挨拶に立ち、規制強化の実施を遅らせることなく、米国においても2020年1月1日から同規制強化を実施すると明言した。
      • 原文 Apr. 4, 2019, Ship & Bunker(長谷部正道)
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