2019/04/04LROニュース(6)

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  • 2019.04.05 UP
    2019/04/04LROニュース(6)
    • 【1】 EU「使い捨てプラスチック指令」の内容が確定
      • 【1】2018年10月に、欧州議会は圧倒的多数で欧州委員会が提案した一定の種類のプラスチック製品の環境への影響を削減する指令を可決したが、2019年1月に欧州理事会が一部修正した案を、3月27日欧州議会が再び可決し最終案が確定した。(指令は官報で広報された時点で発効するが指令に規定された主な義務は2年から5年後に発効する。)指令の概要は以下のとおり。①使い捨てのプラスチック綿棒・食器(フォーク・ナイフ・スプーン・はし・皿・ストロー等)・風船の柄を配布・消費・使用するために供給することを2021年から禁止。②発泡スチロール製のカップ・食品のトレイと全ての酸化型分解性プラスチック製品の禁止。③発泡スチロール以外のプラスチック製の食品のトレイと飲料ボトルで直ちに他の素材のものに置き換えられないものについては、2026年までに対2022年比で使用量を大幅に削減④プラスチック製のボトルの作成に使用される再生プラスチックの原料比率を2025年までに25%、2030年までに30%以上とする。
      • 原文 Mar. 28, 2019, CMS(長谷部正道)
    • 【2】USCG: 女性隊員の離職率が高い原因を分析
      • 【2】USCGは人事方針の修正に向けた、女性隊員の定着率に関する調査を公表した。USCGでは平均して女性隊員は男性隊員より早期に離職しており、USCG全体で女性隊員の割合は15%に過ぎない。調査の結果、女性隊員から、出来の悪い上司は女性隊員を退職するように仕向ける傾向があるとの回答が得られ、これは男性隊員からも類似の回答があった。また、女性は男性より信頼されておらず、女性がすべきとステレオタイプに看做され昇進に繋がりにくい職種に就かされるといった偏見の文化を指摘する回答もあった。USCGではBMI値にリンクした体格の基準が厳格であり、BMI値の基準を超えた隊員は体脂肪率をテストされるが、BMI値で隊員個人の能力を判断することは不適当であり現状の人事方針が女性に厳しいとの指摘もあった。性的暴力やセクハラが女性の離職の原因との指摘もあるほか、男性隊員は産休に入る女性隊員の補充になることを嫌うこともあり、単に妊娠して業務を離れるだけで非難されるとの指摘もあった。また、給与の高さや昇任の機会の多さ、任務で家族と離れる必要のなさや性別差別の少ないイメージから、民間の仕事が女性隊員にとって良く見えているといったことも明らかになった。USCGは特別チームを立ち上げ、タトゥー禁止の緩和や隊員の体重基準の見直しなど、女性やマイノリティに不当な影響を与える人事方針の修正に向け取り組んでいる。
      • 原文 Mar. 29, 2019, The Maritime Executive(武智敬司)
    • 【3】米連邦地裁:北極海・大西洋における海上油田開発の再開を違法と認定
      • 【3】北極海における海上油田開発については、ロイヤルダッチシェルがチュクチ海とボフォート海で開発を試みたが失敗して、2015年にリース権を返上したのを受け、オバマ政権は北極海の大部分を開発の対象から除外したが、トランプ政権はオバマ政権下の環境・気候変動対策を放棄する一環として、2017年に大統領令を出して、北極海と大西洋における海上石油ガス田の開発を再開しようとしていた。これに対して、3月29日、アラスカの連邦地方裁判所は、連邦大陸棚土地法(Federal Outer Continental Shelf Lands Act)によれば、大統領は同法が定めた開発対象区域を対象から外す権限は有しているが、(いったん対象から除外された地域を)開発可能な地域として追加する権限は議会の権限であり、大統領令は同法令に違反し、違法であると判示した。
      • 原文 Mar. 30, 2019, Reuters(長谷部正道)
    • 【4】欧州荷主評議会:コンソーシアムに対する独禁法の一括適用除外の廃止を要求
      • 【4】3月29日、欧州荷主評議会(European Shipper’s Council: ESC)は、現在欧州委員会で検討中の、コンソーシアムに対する独占禁止法の一括適用除外規則(Consortia Block Exemption Regulation: CBER)について廃止または大幅な改正の必要性がありと表明したところその概要は以下のとおり。①CBERは1995年に創設されたが、海運会社にコンソーシアムを結成することを認める代わりに、荷主に対してもサービス内容の改善や生産性の向上といった利便を提供することが前提とされていた。②しかし、運航スケージュールが信頼性に足りるものではなく、欠航も多く、運用の透明性もなく、コンソーシアムの結成によって、荷主は何の利便性の向上も得ていない。③また、全てのコンソーシアムがCBERが認められた際の条件に反し、上限となる市場占有率を超え、主たる航路の寡占化が進み、サービスの共通化が進んだ。④したがってESCは仮にCBEが延長されるとするならば、新たなCBERにおいては、明確な市場占有率の上限を定め、CBERに定められた条件をコンソーシアムが順守しているか否か明らかにする透明性の確保を求める。
      • 原文 Mar. 29, 2019, 欧州荷主評議会(長谷部正道)
    • 【5】GESAMP: 海洋プラスチックごみ観測のための標準ガイドラインを作成
      • 【5】海洋環境保護の科学的な側面に関する専門家共同グループ(joint Group of Experts on the Scientific Aspects on Marine environmental Protection: GESAMP)は、世界の研究者が海洋プラスチックごみの研究を行うにあたり、ごみの評価基準等の整合性を図るためのガイドラインを作成し、国連環境総会で発表した。ガイドラインには、サンプル調査の対象の規格・サンプル調査の方法・サンプル調査の結果の記録方法などが記載されている。より具体的には、海洋プラスチックごみの種類ごとの共通定義、プラスチックごみの大きさや形の範例、観測・評価計画をどのように立案するか等が記載されている。さらに研究者による科学的な研究ばかりではなく、一般市民が海洋プラスチックごみの観測・調査に参加することを想定した一般市民向けのガイドラインも含まれている。
      • 原文 Mar. 13, 2019, GESAMP(長谷部正道)
    • 【6】シップリサイクル(香港)条約の発効のための二つの選択肢
      • 【6】2019年初めには、シップリサイクル(香港)条約の批准国はわずかに6か国だったが、その後、トルコ・オランダ・セルビア・日本が批准し、特に日本の批准は、アジアで最初の批准国であるとともに、同条約の発効要件の一つである、批准国の船腹量が世界の船腹量の40%以上という条件の達成にも大きく貢献した。最近、独とエストニアも同条約批准に向けての国内手続きを終え、近日中にIMOに批准書を寄託する見込みであり、マルタとインドも2019年中には批准手続きを終える見込みである。同条約の発効要件は、上記船腹量に関する要件に加え、批准国数が15か国以上という要件と批准国の直近10年間における最大年間解体船腹量の合計が批准国の船腹量の3%以上という要件がある。この3要件を満たすためには、①船舶の解体実績が多い中国と船腹量の多い香港の同時批准または②同様に解体実績の多いバングラデシュと船腹量の多いリベリアまたはマーシャル諸島の批准といった選択肢が考えられる。
      • 原文 Mar. 31, 2019, The Maritime Executive(長谷部正道)
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