2019/03/27LROニュース(6)

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  • 2019.03.28 UP
    2019/03/27LROニュース(6)
    • 【1】 合意なきEU離脱:業界団体に対する秘密保持協定が事業者の準備を遅らす
      • 【1】英国商工会議所(British Chambers of Commerce: BCC)や食品・飲料連盟(Food and Drink Federation: FDF)を含む主要な業界団体は、政府高官とのクロスボーダー貿易についての協議の前に秘密保持協定に署名させられたことは、業界内にて政府の最新の意向を共有する術を奪われ、業界の合意なき離脱に対する準備を遅らせる原因になったとし英国政府を非難した。政府が2月4日にようやく税関における暫定的簡易手続きの計画を発表したことについても、遅すぎる対応だとしている。関税協力合同委員会(Joint Customs Consultative Committee: JCCC)に所属する貿易業界団体も歳入税関庁に書面を送り、業界は合意なき離脱に対する準備が整っておらず、十分な情報と準備時間を得られなかったのは政府に落ち度があり、業界に非は無いとした。歳入税関庁は、合意なき離脱時における国境での手続きに関して100ページ以上のガイダンスを発表したり、EUと貿易取引のある事業者に準備を進めるよう3度に渡って呼びかけるなど、これまで2年以上におよび人々や企業が合意なき離脱に備えることができるよう準備してきたと述べた。
      • 原文 Mar. 19, 2019, Huffington Post(澤井由紀)
    • 【2】 露大統領がヤマル半島最大級の新ガス田本格開発をガスプロムに承認
      • 【2】3月20日露大統領府は、ヤマル半島最大級の2兆㎥の確認埋蔵量を持つKharasaveyskoyeガス田の本格開発を半国営のガスプロムに対して承認した。事業内容には、統合的なガス処理施設・ガス圧縮施設・輸送施設の建設と多くのガス井戸の掘削が含まれる。ガス埋蔵量の2割は大陸棚にあるので、これらについては陸上から水平のガス井戸を建設しなくてはならない。Kharasaveyskoyeには建設作業員のための宿泊施設が既に建設されている。2023年から毎年320億㎥のガス生産を目指している。
      • 原文 Mar. 20, 2019, The Moscow Times(長谷部正道)
    • 【3】 露天然資源省が北極圏の天然資源の輸送体制強化のための118事業を発表
      • 【3】ロシアの北極海北航路沿いで生産されているLNG・原油・コンデンセート・石炭等の鉱物資源は、通年使用が可能なサベッタ港・ドゥディンカ港と季節的に使用可能なヌムギ港・ペヴェク港等を使用して既に通年輸送が可能となっているが、今後タイミル石炭盆地等の開発が進み、さらに内陸部のスズンスキー油田等の油田から北極海に面する港湾に原油を輸送するためのインフラが完成すれば、2024年までに北極海北航路を利用する天然資源の輸送量は7700万トンに達する見込みで、大統領が設定した8千万トンの輸送目標をほぼ達成することとなる。このため、2018年12月に露首相は新たな港湾・ターミナルの建設や新たな砕氷船の建造を含む17の基幹事業について、準備・検討作業を開始するように天然資源省に対して命じたが、同省はこのほど北極海北航路沿いの天然資源の輸送体制を強化するための118事業の計画を発表した。これらの事業を2030年までに実施するために約10兆5千億ルーブルの投資が必要とされる見込み。
      • 原文 Mar. 19, 2019, The Maritime Executive(長谷部正道)
    • 【4】 Grande America号から流出した油濁回収作業が進展
      • 【4】ハンブルグからカサブランカに向かって2210台の自動車と365個のコンテナを輸送していたRoRoコンテナ船のGrande America号は、3月10日に船内火災を発生し、3月12日に仏西岸の約335kmのビスケイ湾に沈没し、流出した燃料油が海上に13x7kmと9x7kmの範囲で拡大している。現地の天候が好転したので、仏海軍とスペインの海事捜索救難庁は多くの艦艇を派遣して海上の油の清掃・回収作業を実施している。ビスケイ湾の気象・海流を勘案すると、3月末までは海上の油が仏の海岸に到達しない見込み。同船の船主によれば、有害物質を積載したコンテナが45個同船に積載されており、うち34個は甲板上に積載されていた。また2200トンの燃料油が積載されていた。
      • 原文 Mar. 21, 2019, World Maritime News(長谷部正道)
    • 【5】 海面上昇と気候変動の相乗効果
      • 【5】地球温暖化により海水の体積が膨張し氷河が融解することにより海面が上昇する傾向は21世紀を通じて今後加速されることが予測される。地球温暖化は同時に大規模な嵐の発生頻度も上げるので、この二つの要因が相乗することにより沿岸部の危険性が今後増大することとなる。2016年10月に発表されたSuperstorm Sandyに関する研究によれば、ニューヨークをSandy規模の洪水が襲う確率は、過去200年間の海面上昇などの要因によって3倍となった。仮にGHGの排出が削減されたとしても、今世紀末までにSandy規模の洪水に襲われる確率は、現在と比べて3倍から17倍に拡大し、2100年までには、23年に一度の頻度でSandy規模の洪水に襲われることが分かった。最近発表されたカリフォルニア州に関する研究報告は、海面上昇の影響ばかりでなく嵐や短期的な気候の変動等を考慮に入れると、同州のGDPの6%に相当する1500億ドルの被害が建造物に発生し、6万人の住民が被災者となる災害が2100年までに発生する確率が、海面上昇の影響だけを考慮して作成された従前の予測に比べて3倍の確率で発生することが判明した。この被害規模は近年最大の被害が発生した東北地震とハリケーンカトリーナの際の被害規模に匹敵する。
      • 原文 Mar. 19, 2019, Clyde & Co(長谷部正道)
    • 【6】 USCG: 乗組員の工夫と気力で運航を何とか続ける老朽化した大型砕氷船
      • 【6】USCGは今春に新たな大型砕氷船の建造契約を結ぶ予定であるが、USCG長官は年次演説で、現状唯一の大型砕氷船Polar Starが南極でのミッション中に軸封装置の侵水事故が発生し、Polar Starのダイバーが外から補修材を当てて侵水を軽減するとともに、機関士がビルジにまみれながら船内で組み立てた特殊な道具を使ってビルジを排出することで修理に成功した事例を挙げ、米国の砕氷能力の脆弱さと、Polar Star乗員の創意工夫と献身さを讃えた。Polar Starは3年前、南極での砕氷作業中にスラスト軸受が壊滅的に損傷し、乗員が全周にわたって溶接修理を行ったほか、2016年には発電機が短絡により発煙したが、乗員が修理法をインターネット検索し、サーフボードの補修材を使って修理を行っている。
      • 原文 Mar. 21, 2019, USNI(武智敬司)
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