2019/03/19LROニュース(6)

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  • 2019.03.22 UP
    2019/03/19LROニュース(6)
    • 【1】 中国:南シナ海の覇権維持のため軍事予算以外も活用
      • 【1】3月5日に中国政府が全国人民代表会議に提出した報告書によれば今年の中国の国防予算の伸びは7.5%で2018年の8.1%に比べ下がったものの、他の非軍事機関や私企業の予算を使って、中国政府は南シナ海の軍事プレゼンスを維持あるいは拡大していくと専門家は見ている。中国は海軍の総艦艇数を2012年の512隻から714隻に増強し、海洋支配の強化を最重要視しているが、ベトナムと争いのある海域では国営の石油掘削企業である中国海洋石油集団(CNOOC)が緩衝材のように作用したり、中国の私企業が岩礁を埋立てて土地を造成したりしている。また、2年前には中国科学院と上海の同済大学が南シナ海と東シナ海をカバーする長期観測ネットワークの設置を表明し、CNOOCと中国地震局がこれに参加している。このプロジェクトについて専門家は、中国の領有権主張を補強するものになると2017年に指摘している。米国のシンクタンクは南シナ海における中国の軍事施設建設について、非軍事目的にも利用できるよう設計され、非軍事の国家予算と地方政府予算の両方から支出されていると指摘している。また、中国は経済の減速を受けて軍事予算の拡大に慎重になっており、既に南シナ海で必要な施設建設を終えた中国はこれ以上新たな施設建設は行わないと見る専門家も存在している。
      • 原文 Mar. 6, 2019, Global Security. Org(武智敬司)
    • 【2】 ノルウェーの政府系ファンドが石油ガスの開発生産企業の株式を売却
      • 【2】3月8日、世界最大の資金量を誇るノルウェーの政府系ファンドは、石油価格の下落リスクを抑制するため、石油ガスの開発・生産企業の株式を売却すると発表した。石油の精製や石油製品の販売を行う企業は対象とせず、したがって、これらの事業も一括して行っているロイヤルダッチシェルやエクソンモービル等のオイルメジャーの株式も売却しない。また北欧最大のエネルギー会社である同国のエクイノールや同政府が直接株式を保有する同国の石油・ガス田開発事業者の株式も売却しない。エネルギー関連企業の株式が同ファンド全体に占める割合は5.9%で、2018年末時点で総額370億ドルに達しているが、その大部分はオイルメジャーの株式で、今回売却の対象となる開発・生産専業企業の株式の比率は全体の1,2%で総額約80億ドルとなるが、売却は段階的に時間をかけて行われる予定。政府系の与党が議会で過半数を占めているので、政府の売却提案は議会でも承認される見込み。原油価格の下落に伴い既に株価が下落しているエネルギー企業にとっては今回の決定はさらなる逆風となる。
      • 原文 Mar. 3, 2019, Reuters(長谷部正道)
    • 【3】 OECDが加・独・英・NZを対象に海面上昇の対応策を検討した報告書を発表
      • 【3】3月6日、OECDが加・独・英・NZを対象に海面上昇の対応策を検討した報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①気候温暖化に伴う海面上昇によってもたらされる損害額は、21世紀中に1.7兆ドルから5.5兆ドルに上ると予想される。②適切な対応策をとることによって、海面上昇に伴う経済的なコストを削減することができるが、政策間の整合性の欠如などにより、経済効率の良い対応策の実施が妨げられている。③OECD諸国においては、海面上昇に対する適応策の実施はまだ初期の段階にあり、多くの国が情報提供に関する投資を増加させているものの、必要な法制度の整備や海面上昇をモニターする枠組みへの資金供与など踏み込んだ対策には至っていない。④沿岸地域の全てのリスクを避けることは不可能だが、十分な準備があれば、コストを抑えながら新たな状況に対応できるし、実際に災害が発生した場合でも、迅速な復旧が可能となる。
      • 原文 Mar. 6, 2019, OECD(長谷部正道)
    • 【4】 インド洋の海賊危険海域の範囲が縮小されるも引き続き警戒が必要
      • 【4】 BIMCO(ボルチック国際海運協議会)やICS(国際海運会議所)、INTERCARGO(国際乾貨物船主協会)、INTERTANKO(国際独立タンカー船主協会)、OCIMF(石油会社国際海事評議会)は、インド洋における海賊対策を取り纏めたベストマネージメントプラクティス第5版(BMP5)においてハイリスクエリアが狭められたことを受けて、BMP5の遵守と自発的な通報の継続を強く求めるとともに、船社に対する推奨事項を発表したところ概要は次の通り。①今回ハイリスクエリアから除かれた海域は、自発的報告海域(VRA)と規定されている。②VRAに入域しようとする船舶はUKMTOに報告しモニターを受けるとともに、「アフリカの角海上セキュリティセンター(MSCHOA)」に登録することを強く推奨する。③入域前のリスク評価には、VRAとハイリスクエリアの最新の情報を考慮すること。
      • 原文 Mar. 8, 2019, ICS(武智敬司)
    • 【5】 英国のEU離脱:英仏海峡に面する仏港湾が新たな物流情報交換システムを導入
      • 【5】2018年、仏ダンケルク港の物流情報交換システム(Cargo Community Service: CCS)を管理するCCS Hauts-de-Franceは、MGI社にコート・ドパールにおけるRo-Ro船による英仏海峡の物流調査を依頼したが、その調査結果を基にMGI社は、ビッグデータ・IoT・人工知能・スマートコンテナなどの新技術を駆使して作られた次世代のCi5物流情報交換システムであるChannel Passを作り上げた。このChannel Passを利用することにより、荷送人、運送会社、フォワーダー、通関機関は情報を転送し、標準化された手順で簡単に作業を行うことができ、スムーズな物流が期待できる。また、Channel PassはEUすべての事業者からのアクセスが可能で、オペレーターは皆同じシステムに接続し、電子文書の安全な交換、管理、通関までの商品の追跡も可能になる。税関、獣医師、植物検査の要求によるターミナル間の移動もCi5を介して管理される。仏予算大臣は、今月に入り通関職員が英国のEU離脱による作業量増加を訴えていることに関し、このChannel Passによって、積み荷が物理的に国境に到達する前に事前検査などが可能になるため、離脱後も通関処理は円滑に進むと述べている。実際、ル・アーヴル港は、物流情報システムを介して検査することで、99%の到着コンテナを輸送時間を増やすことなく処理しており、今後このシステムをRo-Ro船にも適用する予定である。
      • 原文 Mar. 10, 2019, World Cargo News(澤井由紀)
    • 【6】 グリーンランドの氷河の減少は降水量の増加が原因
      • 【6】グリーンランドの氷河は、過去数世紀において前例のない速度で減少しているが、地球温暖化により、今後減少の速度はさらに加速する見込みであるが、最近発表された研究によれば、氷河の減少は降水量の増加によることが分かった。こうした降水量の増加に伴って氷解する氷河の量は、夏季においては2倍、冬季においては3倍の速度で増えている。また、他の研究では、降水量の増加により雪に覆われている氷河の面積が減少し、氷河が直接太陽光にさらされることで氷河の融解が促進されていることも判明した。グリーンランド全土における降水量の合計は変化がないものの、一部の地域でサイクロン等の影響により、降水量が増えるとともに、サイクロンによって運ばれる暖かな湿った大気が氷河を溶かす要因となっている。また雪に覆われていない氷河は、雪に比べて色が濃いので太陽熱を吸収しやすく、氷河の融解を促進することとなる。
      • 原文 Mar. 8, 2019, Scientific American(長谷部正道)
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