2019/03/06LROニュース(6)

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  • 2019.03.07 UP
    2019/03/06LROニュース(6)
    • 【1】ICS: 規制適合燃料油調達不能報告書はあくまで例外的措置であるべき
      • 【1】IMOの第6回汚染防止・対応小委員会(Sub-Committee on Pollution and Response: PPR6) でSOx規制適合燃料油の品質に関する安全性や使用上の懸念が規制適合燃料油調達不能報告書(Fuel Oil Non Availability Report: FONAR)発給の正当要件になりうると合意されたが、国際海運会議所(The International Chamber of Shipping: ICS)は、FONARの使用はあくまでも例外的な最終手段であり、他に方法がない場合に厳格に限られるべきだとする意見を発表した。概要は以下のとおり。① SOx規制適合燃料導入直後は船主はSOx成分0.5%以下のブレンド燃料油の品質や適合性に問題を抱える可能性があるが、その様な場合でも、より高品質のSOx0.1%以下の燃料の給油が可能な場合は、それを使用すべきであり、高コストであるという理由は、FONAR利用の正当な理由とは認められない。②FONAR利用は、次の寄港地におけるPort State Control(PSC)検査官により、当該船舶が燃料システム上、他の規制適合油を安全に保管・使用できたか、などを書面上の証拠と共に精査された上で認められた場合のみ有効。③ FONARの使用が認められても、非適合燃料の給油は最小限に抑えるべきだとし、その次の航海には使用できないようにすべき。
      • 原文 Feb. 26, 2019, ICS(澤井由紀)
    • 【2】スペイン政府:2050年までに炭素中立にするための法案を議会に提出
      • 【2】スペイン与党の社会党は2018年夏に政権を取って以来環境政策の強化を訴えてきたが、2月22日、スペイン政府は2050年までに炭素中立を実現するための法案を議会に提出し、国家気候変動対策計画を欧州委員会に提出したところその概要は以下のとおり。①石炭発電は現在、スペインの発電量全体の13.5%を占めているが、強制的な閉鎖はせずに2030年までに段階的に縮小廃止する。②原子力発電は、現在全体発電量の2割強のシェアだが、老朽化したものから2025年から35年までの間に順次操業を停止する。③石炭と原子力発電が減少した分を、再生可能エネルギーによる発電で補うとともに、欧州内で4番目に高い電気料金を2030年までに12%引き下げる。④自動車の新車は2040年までにゼロエミッションにするが、既存の車に対しては強制的な使用禁止措置は導入しない。⑤炭素中立を実現するためには、2020年代に総額2000億ユーロの投資が必要で、うち470億ユーロを公共部門が支出する予定。
      • 原文 Feb. 22, 2019, Reuters(長谷部正道)
    • 【3】スクラバーを選択する船主は個別に重油燃料の確保が必要
      • 【3】ロイズ船級協会によれば、2020年にSOx規制が強化される段階で、スクラバーを装備している船舶は多くとも2000隻から2500隻と考えられるが、これらの船舶の燃料として必要な重油は年間約3800万トンで、船舶燃料油全体のわずか5%程度に過ぎないことから、多くの燃料油供給業者は重油燃料の供給を停止する可能性が高いので、スクラバーを選択した船主は個別に燃料供給事業者と交渉し、重油燃料の供給を確保する必要がある。また、スクラバーを選択する船主は、スクラバーへの投資を回収する前提として、重油燃料と規制適合低硫黄燃料との間の価格差がトン当たり250ドル程度と想定しているが、1月の取引価格を基にした実績でみれば、価格差はトン当たり40ドルに過ぎないことにも注意を払う必要がある。
      • 原文 Feb. 26, 2019, Seatrade Maritime News (長谷部正道)
    • 【4】深刻な油濁被害が進むソロモン諸島
      • 【4】2月5日、1994年に建造されたばら積み船は、悪天候の中、ボーキサイトの荷役中に走錨し、UNESCOの世界遺産に指定された世界最大のサンゴ環礁に乗り上げた結果、これまでに同船から最低60トンの重油燃料が流出し、現在でも燃料油の流出が継続し、ソロモン諸島では史上最悪の人災となっている。ソロモン諸島の海事安全庁によれば、ばら積み船が国際安全管理コード(International Safety Management Code: ISM Code)を遵守していなかったのが座礁事故の原因とされている。現在船舶は左舷に大きく傾いているので、船内に残っている燃料油をバラストタンクに移して、バランスを取り戻して、船体を浮上させようとする作業を行っている。豪の高等弁務官は「油濁によりUNESCOの世界遺産を含む周辺環境や事故が発生したレンネル島の住民の生活に大きな悪影響を与えることを豪政府は深く懸念している。」と語った。米と豪のサルベージチームが船舶を除去するために作業を続けている。
      • 原文 Feb. 28, 2019, Splash247(長谷部正道)
    • 【5】USCG: 北極海砕氷船建造計画に6億7500万ドルが認められる
      • 【5】2月15日、米トランプ大統領が2019年度の国土安全保障省予算案に署名し、これによりUSCGの大型砕氷船(Polar Security Cutter: PSC)計画に対して6.75億ドルが充てられることとなった。この額は、過去5年間でPSC計画に充当された合計3.6億ドルの2倍近い額である。2019年度予算の6.75億ドルのうち、6.55億ドルが大型砕氷船1番船のための予算であり、これでUSCGは、これまで予算として配分されていた3.6億ドルとあわせ、1番船に必要な予算を確保したこととなる。また、残りの2000万ドルは2番船建造に必要な資材購入費とされており、これまでPSC計画に対し米議会は1番船の予算しか認めなかったところ、公式には予算要求されていなかった2番船の予算まで2019年度予算を認めたことで、2番船の調達計画がUSCGの当初計画よりも前倒しされる見込みである。一方で、USCGは1番船の就役を2023年後半としているが、ここ40年以上米国の造船所は大型砕氷船の建造実績がなく、予定通りに建造を進めることができるかどうかが問題である。
      • 原文 Feb. 27, 2019, High North News(武智敬司)
    • 【6】カナダとロシアが北極海哨戒用ドローンを開発
      • 【6】加と露が北極海での紹介用ドローンの開発に関心を寄せている。加は最近独から高高度哨戒ドローンの試作型を購入するための入札を公告したが、加運輸省は2016年に環境汚染や海氷調査などの目的でドローンを入札したことがある。現在加は5年間で1.33億ドルをかけ、軍の航空・海上・水中監視能力強化を目的とした北極圏監視システムの更新の真っ最中にあり、加国防省によれば、加の海岸線の75%をカバーする既存の北極圏監視システムは大幅な近代化が必要で、2025年までに更新する必要がある。一方、露は自国で複数のドローンを開発しており、2018年末にはカラシニコフ社が2タイプの新開発の北極海哨戒ドローンを発表している。これらのドローンは、北極海航路沿いの、特に油・ガス田付近の哨戒に運用される見込みである。加えて、露の軍事研究機関の軍事技術研究者は、北極圏で4日間の滞空能力を有するドローンを開発している。このドローンは垂直離着陸あるいは極短距離離着陸能力を有している可能性がある。このように露・加のドローン開発競争が公になっているが、ドローン技術においては米が未だ先頭を走っている。また、ドローンと同様、自律潜水艦の開発も重要であり、露が北極海での潜水艦隊を継続したり、中国が氷下航行能力を高めた潜水艦の開発・展開を始めた場合を考えれば、北極海での自律潜水艦の運用が決定的に重要になってくるのである。
      • 原文 Feb. 22, 2019, High North News(武智敬司)
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