2019/02/27LROニュース(6)

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  • 2019.02.28 UP
    2019/02/27LROニュース(6)
    • 【1】中国=ミヤンマー間の高速鉄道事業が再始動
      • 【1】中国南部の昆明市とミヤンマーのベンガル湾に面した港湾都市であるチャウピュー市の間を結ぶ全長1400kmの高速鉄道計画は、ミヤンマー国内における中国への過剰な依存の懸念から進展していなかったが、ミヤンマー政権のロヒンギャ問題をめぐる西側諸国との関係悪化により、アウンサンスーチー政権が親中国政策に転換したため、同事業も実現に向けて再始動を始めた。同高速鉄道計画は、国際関係が緊張した際に中国の輸出入ルートの隘路になりうるマラッカシンガポール海峡と南シナ海をバイパスする中国政府にとっては極めて戦略的に重要な物流ルートとなる。石油ガスについてはミヤンマーの西岸と中国南部の雲南省を結ぶパイプラインが、同様の目的から既に建設されている。中国は高速鉄道に加えて、チャウピュー周辺に特別経済ゾーン(Special economic Zone: SEZ)と中国国境と結ぶ新たな高速道路の建設も中国=ミヤンマー経済回廊(China-Myanmar Economic Corridor: CMEC)の一環として整備する予定で、CMEC自体中国の一帯一路政策の中核となる重要事業となる。
      • 原文 Feb. 21, 2019, Asia Times(長谷部正道)
    • 【2】SDC 6: 係船作業の安全性の向上のためSOLAS改正案等に合意
      • 【2】2月4日から開催されたIMOの第6回船舶設計・建造小委員会(Sub-Committee on Ship Design and Construction: SDC 6)においては、係船作業が船舶の乗組員や陸上作業員に大きな危険を与え続けていることが確認された。係船索の跳ね上がり、有害で強度の高い人力に頼った作業工程、劣悪な気象条件などの要件がさらに安全な係船作業を阻害しており、毎年死傷事故が絶えず、例えばデンマーク籍船を対象とした調査では、1997年から2013年の間に、402件の係船に係る事故が発生し、4人が死亡し、43人が負傷している。審議の結果、曳船・係船器具に関するSOLAS規則II-1/3-8の改正案、係船設備の設計及び適切な装置の選定に関するガイドライン、係船索を含む係船装置の検査と保守に関するガイドライン、船上の曳船・係船装置に関する改訂ガイダンスが合意された。今回合意されたSOLAS改正案等は6月の海上安全委員会(MSC)で承認される予定。
      • 原文 Feb. 20, 2019, Safety4Sea(長谷部正道)
    • 【3】北極海北航路管理センターをロスアトムがムルマンスクに新設
      • 【3】北極海北航路の船舶運航の監視・管理は露運輸省に所属する北極海北航路庁(Northern Sea Route Administration: NSRA)がモスクワで行っているが、業務は週日の限られた時間しか行っていない。プーチン大統領は北極海北航路の開発に重点を置いており、2018年5月には、同航路を利用して輸送される貨物の量を2024年までに8000万トンまで拡大する大統領令を発し、同年12月には国営の原子力企業であるロスアトムに北極海北航路を管理する権限を正式に与えた。これに伴いロスアトムは、北極海北航路を管理するための新たなセンターをムルマンスクに開設し、24時間365日間監視・管理業務を行う計画を2月15日、政府に提出した。新センターは2年以内に運用を開始する見込み。
      • 原文 Feb. 21, 2019, The Barents Observer(長谷部正道)
    • 【4】CSA 2020: スクラバー洗浄水に関する実績調査結果を公表
      • 【4】Sox2020年規制対策としてスクラバーを採用した船社等で構成されるClean Shipping Alliance 2020 (CSA2020)は、第6回汚染防止・対応小委員会の機会に初めての技術会議を開催し、カーニバル社が主導し3年をかけて行われたスクラバー洗浄水の調査結果を公表した。調査概要は以下のとおり。①53隻のスクラバー搭載クルーズ船から281のスクラバー洗浄水のサンプルを採取し、ISO認定の独立研究機関において54の基準に照らして調査。②この研究機関の分析結果を、船級協会のDNV GLが様々な水準に適合しているか照合を行った。③この結果、分析されたサンプルは、一貫してIMOの基準と規制の制限値を満たしていた。④さらに、独の排水基準(German Waste Water Ordinance: GWWO)、EUの工業排出指令(EU Industrial Emissions Diresctive)2010/75/EUなどを含む水質基準値とも比較調査。これらの比較対象値は、直接スクラバー洗浄水の水質評価基準値ではないものの、評価基準の指標に役にたったとした。⑤以上の結果を踏まえ、また、これら環境保護のために確立した水質基準値と比較してもスクラバー洗浄水に遜色がなかったという結果は、すべての海域でのスクラバーの使用を2020年規制の規制適合策として認めたIMOの決断の後ろ盾になるものだと述べている。
      • 原文 Feb. 21, 2019, AJOT(澤井由紀)
    • 【5】豪政府:同国最初の海上風力発電施設の開発許可を拒否
      • 【5】豪で最初の海上風力発電事業であるStar of the South事業は、ビクトリア州ギップスランドの沖合に、250基の海上風力発電タービンを設置し、地下ケーブルでLatrobe Valley地区に送電する事業で、ビクトリア州の電力需要の20%を賄い、タービンの製造と設置に最大で12000人の雇用を創出し、豪のGHG排出削減を達成することを目標とするが、モリソン政権は、再生可能エネルギーの開発に極めて冷淡であることから、エネルギー担当大臣は開発許可に署名することを拒否した。これに対し、豪州海事組合(Maritime Union of Australia: MUA)は、「開発許可は海上風力発電施設の建設許可ではなく、単にブイを設置して、海上風力発電施設建設のために必要な気象・海象条件に関する情報を収集するためだけのものであり、この許可すらしないのは理解できない。海上風力発電は国際的には20年も前から事業として成功裏に運営されており、気候変動対策としての再生可能エネルギーの開発の必要性に加え、オフショア石油ガス事業で働いていた労働者の新たな雇用の受け皿として重要であり、政府は海上風力発電事業開始に必要な法制度や海上風力発電施設建設のために必要な港湾の整備・タービン設置用の特殊船舶の建造など、海上風力発電事業を支援するための計画を早急に示すべきである。」とコメントしている。
      • 原文 Feb. 21, 2019, 豪海事組合(長谷部正道)
    • 【6】オランダの海事関係者が共同でGreen Maritime Methanol事業を実施
      • 【6】オランダの船主・造船所・舶用工業・アムステルダム港・ロッテルダム港などの海事関係者が、Maritime Knowledge Centre(MKC)の支援を受けて、メタノールが将来的に持続可能な船舶燃料となりうるか可能性調査(Green Maritime Methanol)を共同で行う。調査は新造船にメタノール燃焼機関を搭載する場合と、既存船にメタノール燃焼機関を改造設置する場合に分けて検討を行う。メタノール燃料の船舶供給施設やサプライチェーンについても検討を行う。調査は2年間で終了する見込み。
      • 原文 Feb. 22, 2019, World Maritime News(長谷部正道)
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