2019/01/08LROニュース(6)

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  • 2019.01.09 UP
    2019/01/08LROニュース(6)
    • 【1】  北極海でも海洋の栄養化を図る藍藻を発見
      • 【1】空気中の窒素を海中に取り込んで天然の肥料を作成する微生物は今までは熱帯と亜熱帯の海にしか存在しないと考えられていた。しかし、サンタクルス大学の研究者たちは、ベーリング海とチュクチ海の冷水域で窒素を海中に取り込む今までにはない種類のUCYN-Aと呼ばれる藍藻を発見した。この藍藻は単に温かい海域から海流に乗って北極海に流れ込んだだけではなく、マイナス4度といった冷水域でも活発に種を増やし、海水中に窒素を取り込んでいることが確認された。海水中に窒素を取り込むことにより、海洋の生産性は格段に上がり、海洋生態系の活性化につながる。
      • 原文 Dec. 19, 2018, Infosurhoy (長谷部正道)
    • 【2】 海上風力発電を促進する国際的な非営利団体が誕生
      • 【2】世界で初めて海上風力発電の促進を専門に行う非営利組織(NPO)である「世界海上風力発電フォーラム(World Forum Offshore Wind: WFO)」が米国の200社以上の企業が参加する米国海上風力発電事業ネットワーク(US Business Network for Offshore Wind)をはじめとして、世界の主要海上風力発電企業が参加して12月18日創設された。WFOはハンブルグとシンガポールに事務所を置き、海上風力発電市場の拡大にため、NPOとして各国政府や国際機関が主催するフォーラムに積極的に参加する。特に、気候変動対策の一環としての二酸化炭素の削減のために海上風力発電が経済的にも環境面でもいかに有効かを社会的・政治的に多くの関係者に訴えかけていく。企業活動の面では、WFO参加企業間、特に既存企業と新興企業の間の情報交換を促進する。
      • 原文 Dec. 18, 2018, WFO (長谷部正道)
    • 【3】 米国内で進む使い捨てプラスチックレジ袋の有料化・提供の禁止
      • 【3】環境問題に配慮して、今や全米で350を超える地方公共団体が、買い物客に再利用可能な買い物袋を持ってくることを促進する条例を制定している。条例の対応としては大きく二つに分かれ、第一の類型としては小売事業者に使い捨てプラスチック製レジ袋の提供を禁止するとともに、代わりの紙製の袋や再利用が可能な強靭なバックを買い物客に提供するにあたっては有料とすることを小売事業者に義務付ける条例と、第二の類型として、使い捨てのプラスチック製レジ袋を有料化するとともに、買い物客が代わりに無償または有償で紙製の袋や再使用が可能である買い物袋を選択できるようにすることを小売事業者に義務付ける条例がある。配布される有償のレジ袋の値段は1枚当たり0.05ドルから0.25ドルまで幅があるが、買い物客が受け取るレシート上、買い物金額とは別にレジ袋の値段を記載することと、精算カウンターの付近に、買い物袋1枚当たりいくらが課金されるか表示することを小売事業者に義務付けている。具体的な例としては、ロサンゼルス市とサンフランシスコ市では、買い物客に使い捨てプラスチック製のレジ袋を配布することを小売事業者に禁じたうえで、代替の紙袋についても1枚当たり0.1ドル課金することを義務付けている。シカゴでは、プラスチック製か紙製かにかかわらず、買い物客に配布する買い物袋1枚当たり0.07ドルを課金することを小売事業者に義務付けている。
      • 原文 Dec. 18, 2018, Arentfox (長谷部正道)
    • 【4】 ロスアトムに北極海北航路の管理権を認める法律が成立
      • 【4】ロシア国営の原子力企業であるロスアトムに北極海北航路の管理権限を委譲する法律が露議会で承認された。この結果、露北極海沿岸の化石燃料資源の開発・輸送が促進される一方で、環境的な悪影響が懸念される。ロスアトム自身が事実上作成した法案は露大統領の強い意向の下、2017年11月に議会に提出されたが、1年以上かかってやっと議会で承認された。この法律により、具体的にはロスアトムは北極海北航路上のインフラの整備・保安管理・船舶の通航の承認を含む全権を掌握し、同航路における1年間を通じた商業的な海上運送の増大を促進する。最後までこの法案に反対していた今まで同航路の管理権を持っていた露運輸省は今までとおり行政的な役割を継続するが、同航路通航の許可を行う際には、ロスアトムの承認が必要となる見込み。
      • 原文 Dec. 19, 2018, Bellona (長谷部正道)
    • 【5】世界の5大洋の最も深い海溝の探査が開始
      • 【5】米国の大金持ちのVescovo氏は、米国政府から海洋探査船を購入するとともに、水深11000mまで潜水することが可能な潜水艇を特注して、11か月間に大西洋のプエルトリコ海溝(8408m)、南氷洋の南サンドイッチ海溝(8183m)、インド洋のジャワ海溝(7290m)、太平洋のマリアナ海溝(10925m)、北極海のモロイ・ディープ(5573m)の最深部に潜水する「5海溝探検(Five Deeps Expedition)」を実施する予定で、12月に第1回目のプエルトリコ海溝の潜水を行った。この探検は科学者にとっては貴重な機会で、3人の科学者が潜水艇に乗り組むことが可能で、150万ドルのマルチビームソナーで高解析度の海底地形図を作成し、海溝の最深部を特定でき、海底のプレートがマントル内に沈み込むときにどうやって海溝ができるのかを解明する手掛かりが得られることなどが期待される。マリアナ海溝は過去2回、プエルトリコ海溝は過去1回の探査が行われたが、他の3海溝は今回が最初の探査となる。
      • 原文 Dec. 19, 2018, Science (長谷部正道)
    • 【6】 欧州港湾協会:新EU港湾受け入れ施設指令に関するコメント
      • 【6】12月12日に、3者協議の場で欧州議会と欧州理事会が新EU港湾受け入れ施設指令の案に合意したことにより、同新指令は正式な採択から2年以内に施行されることとなるが、新指令により、船舶からの廃棄物を港湾に受け入れる手続きが合理化され、EUの規制と国際的な規制の間の齟齬が解消され、環境保護が改善されることを欧州港湾協会(ESPO)としては歓迎する。同指令の欧州委員会案では、船舶から港湾受け入れ施設に持ち込まれる廃棄物の量にかかわらず受け入れ手数料は均一で、船舶から合理的な範囲を超える廃棄物が持ち込まれる可能性があったが、欧州議会と理事会の改正案では、均一料金で持ち込める廃棄物の上限量が設定されたが、依然として高い上限量が設定されているため「汚染者費用負担の原則」が徹底されておらず、合理的な範囲を超えた廃棄物を持ち込む船舶の処理費用を港湾側や他のまじめな船舶が負担することとなっており、上限量の縮減が必要である。また、環境性能の高い船舶に対し、受け入れ料金の割引制度の導入が義務化されたことは問題である。環境性能の高い船舶がより少ない廃棄物を出すとは限らず、既に欧州の過半数の港湾が船舶の環境性能に応じた港湾使用料金の割引制度を導入しており、同割引制度を導入するか否かは地域の実情に応じた個々の港湾の判断に委ねるべきである。
      • 原文 Dec. 20, 2018, ESPO (長谷部正道)
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