2018/9/5 LROニュース(6)

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  • 2018.09.06 UP
    2018/9/5 LROニュース(6)
    • 【1】 海運のGHG削減に関する国際海運会議所の見解
      • 国際海運会議所(ICS)が海運のGHG削減目標の実現に向けた見解を公表したところ、その概要は以下のとおり。①CO2削減インセンティブの一つに経済的手法(Market Based Measure: MBM)があるが、すでに多額な燃料費が船主にとって大きな負担となっている中、ICSとしては本手法の導入に懐疑的な立場である。しかし、IMOでMBMが必要と判断された場合は、排出権取引制度のような政策ではなく、燃料油への課金が最も市場の歪みを引き起こす可能性の低い方策だと考えている。②削減目標達成には、バッテリー駆動や水素、アンモニア、原子力といったゼロCO2燃料の使用がほぼ確実に必要であり、ICSは産業界と連携してそれらの実用可能性について追求している。③個別の船舶に対するエネルギー運航効率の強制的な指標化は、深刻な市場の歪みをもたらす恐れがあるため、ICSは強く反対であり、その意義についてIMOで十分な議論がされる前に導入を決定したEUの「燃費報告に関する欧州規則(EU MRV)」には深い懸念を抱いている。
      • 原文 July 2, 2018, ICS(野口美由紀)
    • 【2】 デンマークが極海を航行する船舶の航海当直要員の訓練にVRの使用を承認
      • 7月1日、デンマーク商工金融省は、極海を航行する船舶の船橋で当直にあたる船長や船舶職員の訓練と資格に関する政令を発表したが、この中で、当直職員のSTCWに基づく氷海航海訓練を実際に極海を航行する船舶においてではなく、ヴァーチャルリアリティ(VR)を用いて行うことが承認されているのが特記に値する。
      • 原文 July 1, 2018, The Maritime Executive(長谷部正道)
    • 【3】 バングラデシュで健全なシップリサイクルの促進を目指した事業が開始
      • 7月2日、バングラデシュにおける安全で環境に配慮したシップリサイクル促進のためのIMO主導プロジェクト「The SENSREC Project」の第二フェーズが開始し、第1回実行委員会が開催された。2015年から2年半にわたって行われた第一フェーズでは、同国のシップリサイクルに関する経済及び環境調査、トレーニング教材の開発や人材育成計画の策定、有害廃棄物の保管や処分施設等の基本設計がなされたが、第二フェーズでは、解撤現場の作業員や監督者、官僚の指導を行うほか、同国におけるシップリサイクルの法及び制度を検証し、同国政府が香港条約に加盟するためのロードマップを策定していく。同国では今年1月、5年以内に香港条約に加盟することを盛り込んだシップリサイクル法が成立している。第二フェーズのプロジェクト期間は2年間で、ノルウェー政府が110万米ドルを支援することで合意している。
      • 原文 July 3, 2018, IMO(野口美由紀)
    • 【4】 北極海における船舶と海洋生物の衝突の危険性
      • アラスカ・フェアバンクス大学とワシントン大学の研究者が、7種類の海洋哺乳類の80の群れを観察して、9月の最も海氷が少ない時期に北極海における船舶と海洋生物の衝突の可能性について調査しその研究成果を発表したところその概要は以下のとおり。①アラスカ周辺の海域ではホッキョククジラ(セミクジラ)が、北極海全域ではイッカクが最も船舶との衝突の危険性の高い海洋哺乳類であった。②80の群れの内、42の群れが船舶との衝突の危険がある海域に生息している。③ベーリング海・チュクチ海・ボーフォート海には船舶の航路が多く、ほかの海域に比べてホッキョククジラとの衝突の危険性が高かった。④セイウチも体が小さく航路に沿って生息しているので、船舶との衝突の可能性が高く、船舶から発せられる音にも弱かった。⑤アザラシは体格が大きく視認しやすくかつ個体ごとに広範囲に離れて群れを形成しているので船舶との衝突リスクは比較的低かった。
      • 原文 July 2, 2018, The Maritime Executive(長谷部正道)
    • 【5】 中国:国内商船にNOx排出規制を導入
      • 中国交通運輸部は7月3日、国内の水上輸送の向上と大気汚染の改善のため、2018年9月1日から5年間、国内の商業取引に使用される船舶に対して、MARPOL条約附属書VIに規定されているNOx排出に係る二次規制(Tier II)の順守を義務付けると発表した。二次規制は、エンジンの定格回転数に応じて排出上限値が設定されている一次規制よりさらに15%~22%排出削減することを求めている。本規制の導入により、関係検査機関や海事機関は中国船と輸入される外国船の両方に対して取締りを定期的に実施するとしている。
      • 原文 July 4, 2018, World Maritime News(野口美由紀)
    • 【6】 海賊対策:改訂版ベストマネージメントプラクティス(BMP5)が公開される
      • 紅海やアデン湾、インド洋、アラビア海を航海する船舶向けの有益かつ総合的な海賊対策ガイダンスであるBMP4が改定され、BMP5として6月に公開された。BMP5は海賊に加え、過激派組織による商船への攻撃や地域紛争に起因する巻き添えなど地域的不安定に起因するリスクの軽減を目指して改定されている。BMP5の改定とあわせ、船社や船員向けにギニア湾における効果的な海賊対策をまとめたGlobal Piracy Guidanceも公表されている。
      • 原文 June 29, 2018 SAFETY4SEA (武智敬司)
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