2018/9/4 LROニュース(6)
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2018.09.05 UP
2018/9/4 LROニュース(6)
- 【1】 海洋プラスチックゴミの削減には途上国の廃棄物収集の向上がまずもって必要
- (論説)現在、海洋に流出しているプラスチックゴミの63%はアジアの8か国から排出されており、その背景には途上国における急速な都市化と市民の所得向上で、プラスチック包装商品の消費が増加する一方、廃棄物の収集や処理がそれに追いついていないことがある。低所得国では、排出される廃棄物のうち適切に収集されるのは半分以下にとどまり、その他は屋外投棄されているのが現状である。中国では小売店におけるプラスチック製買い物袋の無料配布禁止や、インドネシアではペットボトルやプラスチック容器への課税に向けた努力が長年されているものの、成果は出ておらず、有効な解決策を見つけるのは容易でない。しかし、近年の研究によれば、中国・インドネシア・フィリピン・タイ・ベトナムの5か国でゴミの回収率が80%に上がれば、海洋プラスチックゴミを10年間で23%削減できるといい、まずは廃棄物の収集を向上させることが最も効果的な対策だと言える。途上国にとって、高額な収集処理費用は大きな負担であるが、富裕国や民間企業がさらなる援助をすれば状況も大きく変わるであろう。
- (論説)現在、海洋に流出しているプラスチックゴミの63%はアジアの8か国から排出されており、その背景には途上国における急速な都市化と市民の所得向上で、プラスチック包装商品の消費が増加する一方、廃棄物の収集や処理がそれに追いついていないことがある。低所得国では、排出される廃棄物のうち適切に収集されるのは半分以下にとどまり、その他は屋外投棄されているのが現状である。中国では小売店におけるプラスチック製買い物袋の無料配布禁止や、インドネシアではペットボトルやプラスチック容器への課税に向けた努力が長年されているものの、成果は出ておらず、有効な解決策を見つけるのは容易でない。しかし、近年の研究によれば、中国・インドネシア・フィリピン・タイ・ベトナムの5か国でゴミの回収率が80%に上がれば、海洋プラスチックゴミを10年間で23%削減できるといい、まずは廃棄物の収集を向上させることが最も効果的な対策だと言える。途上国にとって、高額な収集処理費用は大きな負担であるが、富裕国や民間企業がさらなる援助をすれば状況も大きく変わるであろう。
- 【2】 グリーンランドの新空港建設を中国企業が受注することに対して警告
- デンマーク政府とグリーンランド自治政府は、同自治政府が建設を計画している3つの新空港の建設、特に中国の中国交通建設有限公司(CCCC)が指名競争入札者に含まれることについて議論を続けてきた。デンマーク政府は外交・安全保障問題についてはグリーンランドに対して依然権限を維持しているが、当該新空港建設が自治政府で独自に判断できる内政問題であるのかないのかについて議論が行われている。デンマーク政府情報局局長は、中国の企業活動については、純粋の商業的な活動と中国の国益を峻別することは困難であり、中国企業はすべて中国の国益に従って行動すると自治政府に警告している。
- デンマーク政府とグリーンランド自治政府は、同自治政府が建設を計画している3つの新空港の建設、特に中国の中国交通建設有限公司(CCCC)が指名競争入札者に含まれることについて議論を続けてきた。デンマーク政府は外交・安全保障問題についてはグリーンランドに対して依然権限を維持しているが、当該新空港建設が自治政府で独自に判断できる内政問題であるのかないのかについて議論が行われている。デンマーク政府情報局局長は、中国の企業活動については、純粋の商業的な活動と中国の国益を峻別することは困難であり、中国企業はすべて中国の国益に従って行動すると自治政府に警告している。
- 【3】 欧州委員会が欧州海上セキュリティ戦略行動計画の改正を採択
- 欧州委員会は6月26日、欧州海上セキュリティ戦略行動計画の改正を採択したところ主要なポイントは次のとおりである。①海洋におけるサイバーテロ、複合テロ、化学・生物・放射性物質・核テロを含む、革新的で全体的な視点の導入 ②地中海、黒海等欧州の内海や、ギニア湾、ソマリア沿岸などのホットスポットにおける安全保障問題に対し個別使用の対応を考慮するなど、世界的な脅威に対する地域的アプローチの導入 ③港湾、船舶、海上エネルギー施設など重要施設の保護 ④文民と軍人の協力、機関間協力及び国家間協力の強化
- 欧州委員会は6月26日、欧州海上セキュリティ戦略行動計画の改正を採択したところ主要なポイントは次のとおりである。①海洋におけるサイバーテロ、複合テロ、化学・生物・放射性物質・核テロを含む、革新的で全体的な視点の導入 ②地中海、黒海等欧州の内海や、ギニア湾、ソマリア沿岸などのホットスポットにおける安全保障問題に対し個別使用の対応を考慮するなど、世界的な脅威に対する地域的アプローチの導入 ③港湾、船舶、海上エネルギー施設など重要施設の保護 ④文民と軍人の協力、機関間協力及び国家間協力の強化
- 【4】 低硫黄分燃料使用時のトラブル防止アドバイス
- エクソンモービルが低硫黄分燃料への切り替え時の手引きを公表したところ、その概要は以下のとおり。①最新の船用燃料油規格ISO8217:2017に適合した燃料を信頼できる供給者から購入するとともに、必要に応じて燃料タンクのスラッジを取り除き、常に最良の対応を取ること。②低硫黄分燃料の中には、触媒微粒子が高濃度のものもあり、エンジン損傷の原因になるため、検査で高濃度の結果が出た場合は、貯蔵槽や沈殿槽の温度管理に気を付けるとともに、最適な稼働効率の下で清浄機を稼働させること。また、触媒微粒子の沈降を助けるために燃料タンクから水を排出すること。③適合油を混合する場合、親和性が悪いとスラッジの生成につながるため、それを防ぐためにあらかじめ適合性試験を実施するとともに、混合割合は80:20を超えないようにすること。④スラッジが生成され始めた場合は、2機以上の清浄機を並行稼働させ、処理量を抑えるとともに、清浄機の開放・清掃頻度を増やすこと。また、頻繁に燃料系フィルターを点検し、清掃すること。
- エクソンモービルが低硫黄分燃料への切り替え時の手引きを公表したところ、その概要は以下のとおり。①最新の船用燃料油規格ISO8217:2017に適合した燃料を信頼できる供給者から購入するとともに、必要に応じて燃料タンクのスラッジを取り除き、常に最良の対応を取ること。②低硫黄分燃料の中には、触媒微粒子が高濃度のものもあり、エンジン損傷の原因になるため、検査で高濃度の結果が出た場合は、貯蔵槽や沈殿槽の温度管理に気を付けるとともに、最適な稼働効率の下で清浄機を稼働させること。また、触媒微粒子の沈降を助けるために燃料タンクから水を排出すること。③適合油を混合する場合、親和性が悪いとスラッジの生成につながるため、それを防ぐためにあらかじめ適合性試験を実施するとともに、混合割合は80:20を超えないようにすること。④スラッジが生成され始めた場合は、2機以上の清浄機を並行稼働させ、処理量を抑えるとともに、清浄機の開放・清掃頻度を増やすこと。また、頻繁に燃料系フィルターを点検し、清掃すること。
- 【5】 米国「海事安全法2018」の概要
- 2015年10月にバハマ南方海域でハリケーンに巻き込まれて消息を絶ったEl Faro号事件の事故調査を受けて、2017年12月に米国沿岸警備隊(USCG)は類似事故再発防止策を取りまとめた最終報告書(Final Action Memorandum)を勧告した。この勧告を受けて、現在議会で海事安全2018法案(H.R. 6175)が審議されているところその法案の概要は以下のとおり。①船舶安全計画が有効に実施されているか連邦会計検査院に監査を実施することを要請する。②緊急信号と遭難場所探知技術に関する機器の新たな基準を設定する。③USCGにIMOに対して自動浮上式航海記録装置の設置義務を提案することを要請する。④USCGに船級協会と協力して米国独自の追加的な船舶検査基準を設定する。
- 2015年10月にバハマ南方海域でハリケーンに巻き込まれて消息を絶ったEl Faro号事件の事故調査を受けて、2017年12月に米国沿岸警備隊(USCG)は類似事故再発防止策を取りまとめた最終報告書(Final Action Memorandum)を勧告した。この勧告を受けて、現在議会で海事安全2018法案(H.R. 6175)が審議されているところその法案の概要は以下のとおり。①船舶安全計画が有効に実施されているか連邦会計検査院に監査を実施することを要請する。②緊急信号と遭難場所探知技術に関する機器の新たな基準を設定する。③USCGにIMOに対して自動浮上式航海記録装置の設置義務を提案することを要請する。④USCGに船級協会と協力して米国独自の追加的な船舶検査基準を設定する。
- 【6】 ノヴァテクとソヴコムフロトが北極海北航路におけるLNG輸送で戦略協力協定
- ヤマルLNG開発事業を運営し、北極海LNG2期(Arctic LNG-2)事業の開発も行うノヴァテク社はロシア国営海運会社のソヴコムフロトと北極海北航路(NSR)におけるLNGの海上輸送の開発に関し、戦略的協力協定を6月末に締結した。両社は2010年に大型タンカーがはじめてNSRを運航する際に協力し、さらに2014年から2016年にかけて、昨年12月に砕氷船の伴走なしで初めてNSRの運航に成功した北極海仕様のLNGタンカーの建造でも協力した。
- ヤマルLNG開発事業を運営し、北極海LNG2期(Arctic LNG-2)事業の開発も行うノヴァテク社はロシア国営海運会社のソヴコムフロトと北極海北航路(NSR)におけるLNGの海上輸送の開発に関し、戦略的協力協定を6月末に締結した。両社は2010年に大型タンカーがはじめてNSRを運航する際に協力し、さらに2014年から2016年にかけて、昨年12月に砕氷船の伴走なしで初めてNSRの運航に成功した北極海仕様のLNGタンカーの建造でも協力した。