2018/8/30 LROニュース(5)
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2018.08.31 UP
2018/8/30 LROニュース(5)
- 【1】 中国海軍、南シナ海でミサイル演習を実施
- 6月15日の中国の国営メディア報道によれば、中国海軍は南シナ海でミサイル演習を実施した。この演習は、中国共産党指導部が軍の訓練不足を指摘したことを受けて行われた対空実戦訓練とのことである。海軍力の強化は、より遠方への戦力投射を目指して習近平主席が指導する軍近代化の主要な要素である。中国の国営テレビは15日、習主席が青島で潜水艦を視察し、潜水艦艦隊の訓練状況について質問する状況を放送した。
- 6月15日の中国の国営メディア報道によれば、中国海軍は南シナ海でミサイル演習を実施した。この演習は、中国共産党指導部が軍の訓練不足を指摘したことを受けて行われた対空実戦訓練とのことである。海軍力の強化は、より遠方への戦力投射を目指して習近平主席が指導する軍近代化の主要な要素である。中国の国営テレビは15日、習主席が青島で潜水艦を視察し、潜水艦艦隊の訓練状況について質問する状況を放送した。
- 【2】 中国=パキスタン経済回廊構想に慎重になってきたパキスタン
- (論説)620億ドルの建設費が予想される中国=パキスタン経済回廊(China-Pakistan Economic Corridor: CPEC)は中国の一帯一路戦略の中心的な事業であり、パキスタンは当初、米国やインドに対抗し、同国に経済発展をもたらすことを期待して大きな期待を寄せていた。しかし、スリランカのハンバントータ港の悲しい前例を見るに至り、パキスタン政府もCPEC事業の経済的採算性を考慮するようになり、2017年11月には、140億ドルの建設費が予定されていたDiamer-Bhashaダムの建設事業の中止を決定した。また中国一国に依存するリスクを分散させるため、中国以外の国からの投資を導入することを試みているが、日本を含む他の諸国の投資家は同国の保安面・政治的・法的リスクにひるんで及び腰である。このため、パキスタン政府はCPEC事業の中核であるグワダル港建設事業に中国以外の国の投資を導入するため、同港の非軍事化を確保し、中国には同港から60kmしか離れていないJiwaniに海軍・空軍の基地を別途建設することを提案している模様だが、中国はグワダル港に既に多額の投資を行っており、こうした二重投資には懐疑的で両国の交渉は難航する見込みである。
- (論説)620億ドルの建設費が予想される中国=パキスタン経済回廊(China-Pakistan Economic Corridor: CPEC)は中国の一帯一路戦略の中心的な事業であり、パキスタンは当初、米国やインドに対抗し、同国に経済発展をもたらすことを期待して大きな期待を寄せていた。しかし、スリランカのハンバントータ港の悲しい前例を見るに至り、パキスタン政府もCPEC事業の経済的採算性を考慮するようになり、2017年11月には、140億ドルの建設費が予定されていたDiamer-Bhashaダムの建設事業の中止を決定した。また中国一国に依存するリスクを分散させるため、中国以外の国からの投資を導入することを試みているが、日本を含む他の諸国の投資家は同国の保安面・政治的・法的リスクにひるんで及び腰である。このため、パキスタン政府はCPEC事業の中核であるグワダル港建設事業に中国以外の国の投資を導入するため、同港の非軍事化を確保し、中国には同港から60kmしか離れていないJiwaniに海軍・空軍の基地を別途建設することを提案している模様だが、中国はグワダル港に既に多額の投資を行っており、こうした二重投資には懐疑的で両国の交渉は難航する見込みである。
- 【3】 資源の有効活用と環境問題からみた自由貿易の功罪
- (論説)国連持続可能な開発目標(SDGs)の観点から、持続可能な生産と消費を達成するためには、経済が成長すれば結果として経済活動から発生する環境への影響も増えるといった負の連鎖を断ち切る(Decoupling)必要がある。第7次欧州研究・イノベーション枠組み計画(Framework Program: FP)の事業としてEUでは欧州における資源の有効活用に関する指標の開発計画(Development of a System of Indicators for a Resource Efficient Europe: DESIRE)が2012年から2016年までに進められたが、このほどその後継研究としてノルウェー科学技術大学の研究者たちが、世界的な経済活動と環境への影響を評価する新たなモデル(EXIOBASE3)を開発した。これらの研究者たちによれば、多くの先進国において経済成長と環境への負荷の負のリンクを減少させているように見えるが、この陰には中国やインドなどの環境基準の緩いアジア諸国において、資源の有効活用や環境への影響に十分配慮されずに生産された安価な衣料・電化製品を輸入することによって、それらの製品を輸入している先進国への環境負荷を減らしているというからくりが存在する。自由貿易を追求すれば、資源の有効活用を含めて世界中で最も生産効率の高い国において製品が製造される結果、環境に与える影響も最適化されるという理想論はあるが、現実的には、持続可能な成長目標を達成するためには自由貿易一辺倒ではなく、中国やインドにおける資源の有効活用や環境基準の改善にも取り組む必要がある。
- (論説)国連持続可能な開発目標(SDGs)の観点から、持続可能な生産と消費を達成するためには、経済が成長すれば結果として経済活動から発生する環境への影響も増えるといった負の連鎖を断ち切る(Decoupling)必要がある。第7次欧州研究・イノベーション枠組み計画(Framework Program: FP)の事業としてEUでは欧州における資源の有効活用に関する指標の開発計画(Development of a System of Indicators for a Resource Efficient Europe: DESIRE)が2012年から2016年までに進められたが、このほどその後継研究としてノルウェー科学技術大学の研究者たちが、世界的な経済活動と環境への影響を評価する新たなモデル(EXIOBASE3)を開発した。これらの研究者たちによれば、多くの先進国において経済成長と環境への負荷の負のリンクを減少させているように見えるが、この陰には中国やインドなどの環境基準の緩いアジア諸国において、資源の有効活用や環境への影響に十分配慮されずに生産された安価な衣料・電化製品を輸入することによって、それらの製品を輸入している先進国への環境負荷を減らしているというからくりが存在する。自由貿易を追求すれば、資源の有効活用を含めて世界中で最も生産効率の高い国において製品が製造される結果、環境に与える影響も最適化されるという理想論はあるが、現実的には、持続可能な成長目標を達成するためには自由貿易一辺倒ではなく、中国やインドにおける資源の有効活用や環境基準の改善にも取り組む必要がある。
- 【4】 ノルウェーが11社に新たに海底石油・天然ガス田の開発を許可
- 6月18日、ノルウェー政府は、北欧最大のエネルギー会社であるエクイノール(旧称:スタトイル)社をはじめ、11社に対し、12件の石油・天然ガス開発権を認め、開発鉱区のうち9件はバレンツ海、3件はノルウェー海に存在している。北極海に生息する海鳥の巣があるベア島周辺の2鉱区については、海鳥の生態を妨げないよう4月から8月にかけて採掘禁止期間が設けられている。環境団体は油濁汚染の可能性があるとして、北極海における石油・天然ガス開発に反対しているが、グリーピース等の環境団体が採掘の禁止を求めて提訴した裁判では、環境団体側が1審で敗訴し、現在控訴中である。石油・天然ガスはノルウェーの総輸出額の4割を占める重要な資源である。
- 6月18日、ノルウェー政府は、北欧最大のエネルギー会社であるエクイノール(旧称:スタトイル)社をはじめ、11社に対し、12件の石油・天然ガス開発権を認め、開発鉱区のうち9件はバレンツ海、3件はノルウェー海に存在している。北極海に生息する海鳥の巣があるベア島周辺の2鉱区については、海鳥の生態を妨げないよう4月から8月にかけて採掘禁止期間が設けられている。環境団体は油濁汚染の可能性があるとして、北極海における石油・天然ガス開発に反対しているが、グリーピース等の環境団体が採掘の禁止を求めて提訴した裁判では、環境団体側が1審で敗訴し、現在控訴中である。石油・天然ガスはノルウェーの総輸出額の4割を占める重要な資源である。
- 【5】 フィンランド政府が自動運航船の実験実施のために配乗要件等を緩和
- 6月13日、フィンランド交通通信省は、フィンランドの海事産業が船舶の自動運航やデジタル化の分野で世界を技術的にリードするため、フィンランド西海岸沖のJaakonmeriなど自動運航船の試験海域における実地試験における配乗要件や見張りの要件を緩和する政令を発表した。交通安全庁は、試験事業ごとに最長2年間の特例を認め、500GT以下の内航船が対象となり、安全配置証書の設置が免除される。同政令は7月1日より実施される。
- 6月13日、フィンランド交通通信省は、フィンランドの海事産業が船舶の自動運航やデジタル化の分野で世界を技術的にリードするため、フィンランド西海岸沖のJaakonmeriなど自動運航船の試験海域における実地試験における配乗要件や見張りの要件を緩和する政令を発表した。交通安全庁は、試験事業ごとに最長2年間の特例を認め、500GT以下の内航船が対象となり、安全配置証書の設置が免除される。同政令は7月1日より実施される。