2018/8/27 LROニュース(6)

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  • 2018.08.28 UP
    2018/8/27 LROニュース(6)
    • 【1】米軍高官、太平洋戦争を引合いに中国の南シナ海進出を牽制
      • 5月31日、米統合参謀本部のマッケンジー中将は記者会見において、前週に行われた航行の自由作戦について、国際法が認める限り今後も継続する考えを示した。また南シナ海での中国による人工島造成が及ぼす船舶航行への長期的影響についての記者からの質問に対し、第二次世界大戦中に「飛び石戦略」で日本軍を撃退したことを引合いに、「米軍は第二次世界大戦中に多数の孤島を陥落させた経験があり、これこそが米軍の中核的能力である。」と述べ、「単に歴史的事実を述べただけで、深読みしてはならない。」と続けつつも、中国の南シナ海進出を牽制した。他方同日、中国国防部の報道官は米軍の航行の自由作戦に対し、中国が南シナ海の島々と隣接する海域に主権を有することは疑いの余地がなく、米国はこのような事実を無視し、「中国による軍事化」との見方を煽っていると批判した。
      • 原文 May 31, 2018 USNI News (武智敬司)
    • 【2】 中国政府が優良造船所優先政策を見直し
      • 中国工業・情報化部(MIIT)は国内の造船事業所に対する管理を強化するために、2014年に優良造船所を選抜したWhite Listを作成し、選抜された造船所にしか国家支援を与えないこととし、2017年に行われた国内造船業の再編の結果、White Listに含まれる国内造船所は70に限定されていた。しかし、選抜に漏れた造船所は資金の借り入れにも窮する状況となったことから、制度改正の要望が上がりこれを受けて、MIITはこうした締め付けを緩和して、選抜から漏れた造船所に対しても政府支援を受ける道を開く改正法案を作成し、パブコメにかけている。
      • 原文 June 4, 2018, Splash 24/7(長谷部正道)
    • 【3】 シンガポールMPAがLNGバンカー補給船の建造を支援
      • 6月4日、シンガポール港湾海事庁(MPA)は、船舶から船舶にLNGバンカーを補給できる体制をシンガポール港で整備するため、2隻のLNGバンカー補給船の建造をするため、2社にそれぞれ最大300万シンガポールドルの助成金を支給すると発表した。当該LNGバンカー供給船は、IMOの燃油中の硫黄含有分規制が強化される2020年にも稼働開始する予定で、アジア地域では最初の船舶から船舶への供給船となり、シンガポール港をLNGを燃料とする大型船舶が寄港するアジアにおける中心的なLNGバンカー供給基地とすることを目的としている。
      • 原文 June 4, 2018, MPA(長谷部正道)
    • 【4】 南シナ海の「航行の自由作戦」に英仏が参加
      • 英仏の国防相は、シンガポールで行われたアジア安全保障会議において、中国の南シナ海支配に対抗して「航行の自由作戦」に参加する意向を示した。米国はこの4年間航行の自由作戦を実施してきたが、南シナ海における中国の急速な軍事化に対し十分な成果を上げているとは言い難く、むしろ中国に対し、米国による挑発行為として南シナ海の軍事施設化を正当化する言い訳を与えてさえいる。英仏による航行の自由作戦への参加がどの程度中国の海洋進出の抑止になるかは不明であるが、英仏国防相は南シナ海における中国の実効支配の既成事実化に反対し、航行の自由の尊重と、法的手段と交渉による紛争解決を支持すると表明した。これまで中国の海洋進出から責任逃れをしてきた英仏の介入で、大国間の衝突が複雑化の様相を見せてきている。
      • 原文 June 6, 2018 ASIA TIMES (武智敬司)
    • 【5】 大気中の汚染物質が雲の特性や降水量を変化させ北極海の天候に大きな影響
      • 欧州地球科学連合(European Geosciences Union: EGU)の総会で、アベイロ大学等の研究者は、大気中の汚染物質が雲の中の氷や水分の量に影響を与えることによって、雲の性質を変化させ、さらに地表への温暖化効果や降水量をも変化させ、北極海やグリーンランドにおける気候温暖化を促進していると発表した。こうした大気中の汚染物質は、北極海における植物プランクトンによる生物学的な活動によっても発生するものの、多くの汚染物質は欧州・アジア・米国・カナダ等の遠隔地から運ばれてくると指摘された。雲は太陽光を反射することにより地表の温度を下げる効果がある一方で、地表からの熱を吸収して熱を地表に反射するという毛布のような役割も一方で果たしており、大気中の汚染物質の増加などの人為的な影響がなければ、雲によるこの二つの相反する働きは均衡がとれているが、現在は人為的な影響によって、この均衡が大きく崩れていると指摘された。
      • 原文 May. 31, 2018, High North News(野口美由紀)
    • 【6】 ReCAAP月間レポート(5月)
      • 2018年1月から5月の間の、アジアにおける海賊・武装強盗事件の発生状況は37件で、前年同期の38件と概ね同程度である。また、スル海・セレベス海での船員誘拐事件や、荷油目的のハイジャック事件も5月には発生していない。しかしながら、5月にはマラッカ・シンガポール海峡での武装強盗事件が2件報告された結果、マ・シ海峡での2018年の海賊・武装強盗事件は5件となり、昨年同期の2件から増加していることが懸念される。ReCAAP ISCは引き続き港湾管理者に対し港湾の治安の維持を求めるとともに、海賊等の惧れがある海域を航行する船舶は警戒を十分に行い、不審な船舶への見張りを励行し、あらゆる海賊・武装強盗事案について沿岸国や帰国に通報するとともに、予防措置の実践を推奨する。
      • 原文 June, 2018 ReCAAP ISC (武智敬司)
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