2018/8/23 LROニュース(9)

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  • 2018.08.24 UP
    2018/8/23 LROニュース(9)
    • 【1】 米海軍、南シナ海で「航行の自由」作戦を実施
      • 米軍関係者によれば、5月27日、米海軍は南シナ海のパラセル諸島の沿岸12マイル以内を2隻の艦艇が航行する「航行の自由」作戦を実施した。パラセル諸島では、5月12日に撮影された衛星写真によってウッディ島に中国が地対空ミサイルや対艦ミサイルを配備していることが明らかになっているほか、中国は5月初旬には訓練として南シナ海の人工島に爆撃機を着陸させており、ベトナムやフィリピンの反発を生じている。今回の「航行の自由」作戦について米軍は直接のコメントは発していない。中国外交部は、艦艇及び航空機を派遣し米艦艇に警告を行ったことを明らかにしたうえで、同作戦を中国国内法及び関連国際法に違反した、中国の主権に対する深刻な侵害であるとともに米中両軍の戦略的相互信頼を傷つけるものとして批判している。
      • 原文 May. 27, 2018. Reuters(武智敬司)
    • 【2】 フーシによる船舶攻撃に米が懸念
      • 5月10日にイエメン沖の紅海でトルコ籍貨物船がミサイル攻撃を受けたが、米政府はこの攻撃がフーシによるものとしたうえで、フーシが他にも紅海でタンカーを標的にした攻撃を行おうとしているとして懸念を表明した。米政府は、イエメンでのミサイル兵器の拡散がすべての国にとって現実の脅威となっており、イエメンでの戦闘行為の中止を求めた国連安保理決議の完全な履行が必要であると述べている。
      • 原文 May. 25, 2018, Reuters(武智敬司)
    • 【3】 OECDがプラスチックリサイクル事業拡大のための提言を発表
      • 5月24日、OECDは「再生プラスチック市場の改善」と題する報告書を発表したところ、その概要は以下のとおり。①世界のプラスチックゴミの総数のわずか14~18%がリサイクルされ、24%が焼却処分されている。OECD諸国の中では、EUが高いリサイクル率(30%)を達成している一方で、米国においては約1割しかリサイクルされていない。②全世界のプラスチック生産により、年間4億トンのGHGが発生し、プラスチックが焼却処分されるとさらにGHGが放出される。海洋プラスチックゴミも海洋生態系や沿岸の環境に影響を与えることにより、年間130億米ドルの環境被害を発生している。③プラスチック再生の需要は高まっているが、様々な経済的・技術的・環境的要因でプラスチック再生事業の規模は小規模にとどまっている。③プラスチック再生事業に対する支援策としては、法的なリサイクル目標の設定や拡大生産者責任の適用、国民の意識啓発、製造事業者や回収業者に対する優良事例の情報共有、違法取引に対する法的取締りなどが考えられる。
      • 原文 May. 24, 2018, OECD(野口美由紀)
    • 【4】 IMO・NCSRがベーリング海の新たな航路を承認
      • 5月25日、IMOの航行安全・無線通信・捜索救助(NCSR)小委員会は、米国とロシアから共同提案されていたベーリング海と北極海周辺の航路と運航禁止海域に関する提案を承認した。ベーリング海東部は水深が5-75mと周辺海域に比べれば浅いうえに、当該海域の海図は100年にも前に、1マイル以上離れた地点で側鉛線を用いて計測された水路情報に基づいて作成された海図で当該海域を航行する船舶の船員を悩ませていた。新しい航路等は、米沿岸警備隊が何年もかかって行った「ベーリング海港湾侵入路調査」に基づいて作成されている。運航禁止海域は文化的・生態系的に重要な沿岸域で、ヌニバク島・セントローレンス島・キング島周辺に設定されている。承認された航路や運航禁止海域に強制力はないが、96-97%の航行船舶が順守している。当該海域は2025年までに通航する船舶量が2-5倍に増加すると予測されており、今回承認された航路等は2019年初頭から適用される。
      • 原文 May. 26, 2018, The Maritime Executive(長谷部正道)
    • 【5】 欧州議会貿易委員会が外国のEU加盟国への直接投資を審査する制度を承認
      • 5月28日、欧州議会貿易委員会は、EUにとって重要なインフラ・技術・機密情報を保護するために外国からのEU加盟国に対する直接投資を透明で予見可能性があり無差別的に審査する制度を導入するという欧州委員会の提案について、提案を強化したうえで承認した。具体的には、貿易委員会として、審査の対象範囲を①報道の独立性を害する恐れがある投資②EUとしての戦略的自律性に影響を与える恐れがある投資③国の安全保障や公益を害する事業に投資した前歴がある人物・組織による投資④ある分野の独占・河川を目指す投資も審査の対象に追加した。また当該外国投資に対して審査を行うと決定した加盟国は、その事実を他のEU加盟国と欧州委員会に5日以内に通報し、コメントを求めることを義務付け、その結果、EU加盟国の1/3以上が当該審査の対象となった投資に懸念を表明した場合には、審査の対象となっている国は、これらの懸念を解消するために、関係国と協議に応じなくてはならない。
      • 原文 May 28, 2018, 欧州議会(長谷部正道)
    • 【6】 韓国政府が更なる造船業救済のために緊急工業ゾーンを設定
      • 5月29日、韓国の経済関係閣僚会議の席上、韓国の副首相兼財務大臣は、韓国の主要造船所がある蔚山、巨済、木浦を更なる救済措置の対象とするために緊急工業ゾーンに指定すると発表した。韓国政府は既に2016年初頭に、韓国南部のほとんどの港町を経済ゾーンに指定して、政府から補助金を支出し、中小造船業を救済するために造船再建基金や特別な金融支援の対象としているが、今回発表された措置は当該地域の雇用と経済成長を確保するための追加的な対策である。新たに緊急工業ゾーンに指定された3市では、公共部門が債権過程の造船所に代わって余剰人員を雇用したり、造船産業の部品を供給する産業に対する特別債務保証などの追加措置が適用される。またこのゾーンで新たに事業を開始する企業は最初の5年間、法人税・所得税が免除されるほか、国有地を借用する場合は、借地料の割引も行う。
      • 原文 May 29, 2018, Korean Herald(長谷部正道)
    • 【7】 船舶廃棄物受け入れ施設に関する命令改正案に対するECSAコメント
      • 欧州船主協会(ECSA)は、欧州委員会から発表された船舶廃棄物に対する港湾受け入れ施設に関する命令(Port Reception Facilities Directive: PRFD)について概ね評価歓迎しているが、懸念を示している点の概要は以下のとおり。①内航の不定期船は、9条の港湾における廃棄物供出義務の例外になっていないが、次の港まで船内に廃棄物を貯蔵する十分なスペースがある場合は、廃棄物供出義務を免れることはできる。しかし、この場合でも、定額の廃棄物処理費を払わなくてはいけない点について再考を求める。②廃棄物処理料金については、廃棄物の量と種類によって、料金を変えることに賛成であるが、受け入れ施設事業者の利益幅は極力抑制されるべき。③「グリーンシップ」に対して処理料金を割り引くのには反対しないが、グリーンシップの定義は欧州委員会ではなくIMOがすべきである。④小規模港湾については通常業務時間帯以外の時間に「廃棄物受け取り票」を受け取るのは困難なので、例外措置を設けるべきである。
      • 原文 May 11, 2018, ECSA(長谷部正道)
    • 【8】 中国、次世代送電網による送電をウッディ島で開始
      • 中国の国営メディアなどによれば、南シナ海のパラセル諸島最大の島であるウッディ島で、次世代送電網による電力供給が開始された。最終的には人民解放軍が駐留する同諸島のすべての島の電力供給を次世代送電網化することを目標としている。この送電網により、ウッディ島の電源供給能力は8倍に向上し、駐留する軍を含む同島の電力需要に応じて、本土の送電網と独立あるいは連携して島内に電力を供給することが可能となる。また、通常はディーゼル発電機や太陽光発電を電源としているが、海上を移動して南シナ海の島々やオイルリグなどに電源を供給する「海上原子力発電」の実用実験に用いられるとのレポートもある。
      • 原文 May. 29, 2018, ASIA TIMES(武智敬司)
    • 【9】 欧州委員会が小型旅客船舶の安全枠組みに関する勧告提案を採択
      • EUの旅客の安全基準については、Directive 2009/45/ECによって規定されているが、船長24m以下の小型旅客船については、使用目的が多岐にわたること、設計や建造に用いられている技術もさまざまであることを勘案して、いくつかの重要な安全基準について共通の詳細な基準を作成するのは困難という観点から、命令の適用対象から除外されていた。しかし、2017年10月に欧州理事会で採択された「旅客船安全パッケージ」や既存の規制とその運用の適性を再検討する事業であるRegulatory Fitness and Performance Programme (REFIT)の勧告を受けて、5月23日欧州委員会は「船長24m以下の小型旅客船の安全基準に関する勧告」提案を採択した。同勧告提案では、小型旅客船の設計・建造・火災消化装置・救命避難設備等について規定されている。
      • 原文 May. 29, 2018, Lexology(長谷部正道)
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