2018/8/3 LROニュース(7)

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  • 2018.08.06 UP
    2018/8/3 LROニュース(7)
    • 【1】 東京・パリMOUの次回CICのテーマはMARPOL附属書VIに
      • 5月7日から11日、パリMOUは第51回委員会を開催し、2019年9月から11月の間、東京MOUと共同で行う集中検査キャンペーン(CIC)のテーマをMARPOL附属書VIにすることを承認した。併せて、2020年1月1日から発効する新たなSoxの排出規制に関して、適切な履行を担保するために、2019年1月1日に、「警告書(Letter of Warning)」を発出して、同規制強化に関してPSC当局が発効初日からきちんと検査を行うことを示すことについても合意された。
      • 原文 May 14, 2018, Paris MoU(長谷部正道)
    • 【2】 ReCAAP ISC 週間報告書(5月8日ー14日)
      • 5月8日から14日までの間にReCAAP ISCに報告された武装強盗事件は4件(インドネシアが2件、ガーナが2件)で、いずれのケースも乗員に被害はなく軽微な事例であったところ概要は以下のとおり。①4月28日にインドネシアのサマリンダの錨泊地に錨泊していたパナマ籍一般貨物船に、2隻のボートに分乗しナイフで武装した強盗が乗船し、巡回中の船員を脅したが、船員が油圧ポンプのスイッチを入れると何も取らずに退散した。②4月5日に上記錨泊地に錨泊中のシンガポール籍ばら積み船に、小型ボートに乗った強盗が乗船したが、見回り中の船員が警報を鳴らすと退散した。2本の係船策が盗まれた。③4月29日、ガーナのTakoradi錨泊地に錨泊中のシンガポール籍のばら積み船に、小型ボートから強盗が一人乗船し、船長が発見して、警報を鳴らしたところ何も取らずに退散した。④5月3日、ガーナの上記錨地に錨泊中のシンガポール籍のタグに2名の強盗が乗船したが、見張りに見つかって、何も取らずに退散した。
      • 原文 May 16, 2018, ReCAAP ISC(長谷部正道)
    • 【3】 欧州のプラスチック規制法案の草案に対する当面の評価
      • 欧州委員会が1月に発表した「欧州プラスチック戦略」を遂行するための具体策を掲げた「欧州プラスチック規制法案」の草案について、製品ごとに異なる対策案が示されたことや製造事業者に廃棄物の回収費用を負担させること、使い捨て飲料容器の回収率90%という目標が掲げられたことは評価されている。しかし、科学的裏付けが不十分なままバイオプラスチックを現在の使い捨てプラスチック製品の代替とすることや、使い捨て飲料容器の回収目標の対象から生分解性使い捨てプラスチックを除外していること、欧州加盟国に義務付けている使い捨てプラスチックの“大幅な削減”について、明確な目標が示されていないことなどに対しては懸念も示されている。
      • 原文 May. 16, 2018, EURACTIVE(野口美由紀)
    • 【4】 硫黄規制対策:最適オプションの選択に役立つオンラインツール
      • 2020年の硫黄排出規制強化の対応策としては、低硫黄燃料油への転換やスクラバーの搭載、LNGやメタノール燃料油の使用など様々あるが、どれが最適かは取引形態、運航距離、速度、船舶の大きさや種類によって異なってくる。そのため、船主にとっては判断が難しいものだが、ロイズ船級協会(LR)のオンラインツール「Sulphur 2020 – Options Evaluator」は、対策ごとの予想経費や投資によってもたらされる影響を比較できるようになっており、船主が最適な対策を見つける際の一助となり得る。
      • 原文 May. 15, 2018, Lloyd’s Register(野口美由紀)
    • 【5】 船舶解体を海岸で行った会社に対して欧米で投資撤退の動き
      • 作業員を危険にさらし、周辺環境にも悪影響をもたらす海岸での船舶解体を排除するため、欧米の金融機関で投資を見直す動きが活発化している。環境や社会に配慮した投資を進めるノルウェーの石油基金は、台湾の長栄海運、タイのプレシャス・シッピング(PSL)とトーレセン・タイ・エージェンシー(TTA)、韓国の大韓海運の4社について、海岸で船舶の解体を行ったとして保有していた株式を売却した。また、蘭・スウェーデン・ノルウェー・デンマークの船舶金融大手は現在、海運業者に対する貸付方針を厳しく見直しているほか、カナダの年金基金3社も海運会社への投資の見直しを進めている。この動きは海運会社に責任ある解体場所の選択を促したり、EUの規制当局や裁判所にも影響を与えるなど大きな変化をもたらし始めている。一方、現在老朽化した商船の80%以上はバングラデシュやパキスタン、インドの海岸で解体されているため、これらが全面的に禁止された場合、深刻な受入先不足に陥る可能性やこれらの国々は適正な解体施設を建設する経済的余裕がないなど今後の課題も残る。
      • 原文 May. 15, 2018, Reuters(野口美由紀)
    • 【6】 ノルウェーの企業が共同で北極海の緊急通信用ドローンを開発
      • 北極圏のノルウェー領スヴァールバル諸島の周辺海域では近年、商用船、旅客・クルーズ船の運航が急速に増加しており、今後とも増加する見込みである。しかし、同諸島周辺はノルウェー本土から遠く離れており、携帯電話・VHF・海上ブロードバンドラジオ(MBR)等によって連絡が取りづらい海域であり、船舶事故・自然災害などが発生した時の緊急対応が難しいのが課題である。同国の国営携帯電話事業会社であるTelenorとAdeya宇宙センターとRovot Aviationはこのような北極圏における緊急対応体制をドローンを利用して改善するための試験事業を開始することでこのほど合意した。Telenorはドローンに4G中継機器を搭載して、同諸島周辺海域で4Gの通信体制を確立することを目指している。試験に使われるドローンは最長20時間の飛行が可能で、悪天候にも耐え、100kgまでの機材を搭載できる。
      • 原文 May 16, 2018, High North News(長谷部正道)
    • 【7】 インド洋東部へと拡大する中国の影響力が豪の脅威に
      • (論説)2017年7月に中国はジプチに海外で最初となる海軍基地の建設に成功し、次いでアラビア海に面したパキスタンのガワダルの周辺に海軍基地を建設することをパキスタン政府と交渉中であり、中国海軍はインド洋北西部に着々と足場を構築している。インド洋においては現在中国海軍の艦船は4-5隻程度配備されているだけだが、インド洋における東西の通商路の制海権を握るためには、20隻以上の水上艦船と潜水艦艦隊の投入が必要となり、これらの艦隊を維持するための海軍補給基地の建設が必然となる。このような観点から、既にスリランカのハンバントータ港を99年間租借し、モルジブでは親中派にクーデターを起こさせ、インドの影響力を排除し、70年代まで英国海軍が基地として使用していたガン島に空軍と海軍の基地を建設することを企図している。もしこの基地が実現すれば、米海軍の英領ディエゴガルシア島の基地を脅かし、インド洋の支配権に大きな変化をもたらすことになる。さらには、中国雲南省と連結する窓口港としてミヤンマーのチャウピュー港の開発にも力を入れているところである。こうした中国の動きを豪としても安全保障上看過できないが、これまでのようなインド洋における海賊対策への参加などの活動を超えてさらに1歩踏み込むためには、豪として以上のようなインド洋周辺国への防衛・外交・財政上のより大きな支援を行う覚悟が必要である。
      • 原文 May 15, 2018, Lowy Institute(長谷部正道)
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