2018/8/2 LROニュース(7)

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  • 2018.08.03 UP
    2018/8/2 LROニュース(7)
    • 【1】 京浜港が国際的なLNGバンカリングのハブ港湾となりうるか?
      • OECDの国際交通フォーラム(ITF)が、東京港や横浜港などの京浜港の港湾が国際的なLNGバンカリングのハブ港湾となるか検討して発表したところその概要は以下のとおり。①現在世界では、118隻のLNGを燃料とする船舶が運航しており、2020年までにはこの数が倍増する見込みであること。現在欧州を中心としてLMGバンカーを供給できる港湾が存在しているが、北米やアジアにもLNGバンカリング機能を持つ港湾が増えれば、国際的な航海に従事する船舶もLNGをバンカーとして利用しやすくなること。SOxやNOx排出に関する国際的な規制がさらに強化されれば、LNGを燃料とする船舶が増加するであろうこと。日本は世界最大のLNG輸入国であるとともに、京浜港はアジア=北米航路の西端の有利な位置にあること等を考慮すると京浜港が国際的なLNGバンカリングハブ港湾になる可能性は十分ある。②一方で、船舶からのGHG排出量という観点から見ると、LNGはSOxやNOxの排出量は少ないものの、重油と比べてCO₂削減効果は2割程度しかない一方で、GHGであるメタンガスを排出するし、LNG供給のためのサプライチェーンの各過程で、大量の排気ガスを放出するという難点を抱えており、将来的に理想的な船舶燃料となり得るか見通しが立たないし、LNGをバンカーとして扱う際の陸上の安全基準の整備も必要である。
      • 原文 Apr. 24, 2018, OECD・ITF(長谷部正道)
    • 【2】 ハチソンがタイのレムチャバン港で完全遠隔操縦のターミナルの運用を開始
      • 5月7日、タイ最大のレムチャバン港の運営を担当しているハチソン港湾タイ社は、6億米ドルを投資した世界で最初の完全遠隔操縦コンテナターミナルであるターミナルDの運用を2018年半ばに開始すると発表した。同ターミナルはタイの東部経済回廊(Eastern Economic Corridor: EEC)構想の重要な拠点で、同ターミナルだけで350万TEUのコンテナを取り扱うことができる。同ターミナルは現在世界で最大のコンテナ船に対応可能で、第1期工事として、世界で最大の岸壁クレーンを3基遠隔運転するが、全ての工事が完了すれば、1700mの岸壁に、17基のsuper post panamax船対応の岸壁クレーンが17基と、43基のゴムタイヤで動く電動のガントリークレーンを遠隔操縦で運用する。
      • 原文 May 8, 2018, The Nation(長谷部正道)
    • 【3】 欧州:中国のプラスチックゴミ受け入れ停止への有効な対応策はなし
      • (論説)欧州で発生するプラスチックゴミの主要な受け入れ先であった中国が今年1月からプラスチックゴミの輸入を禁止したのに伴い、欧州諸国は行き場を失ったプラスチックゴミの処理方法に苦慮しており、以下のような対策が検討されているが、それぞれ課題があり、中長期的には発生するプラスチックごみの総量を減らすことしか有効な対策はない。①中国以外のゴミ受け入れ国であるマレーシア、ベトナム、インドも中国の受け入れ分全てを受け入れる余裕がない。②欧州におけるごみ処理方法は埋立と焼却があるが、埋立適地も少なく、埋め立て地からメタンなどのGHGが発生する。③プラスチックを焼却する場合は、天然ガスと比べて6倍以上のGHGを排出する。④プラスチックゴミを洗浄処理した後に資源として埋め立て、新たなリサイクル技術が開発されたら、掘り起こして資源として活用する案もあるが、洗浄等の処理作業に高いコストが生じるほか、②と同じ問題もありさらには問題の先送りという無責任な対応であるという批判もある。
      • 原文 May. 11, 2018, Reuters(野口美由紀)
    • 【4】 中国初の国産空母が初めての海上試験航海に出航
      • 5月13日、大連の造船所で建造された中国初の国産空母が試験航海に出航した。習近平国家主席はステルスジェット機・対衛星ミサイルの開発など中国軍の近代化を進めている。国産空母は今後さまざまな装備の試験等を行い、実戦配備は2020年になる見込み。同空母は、西側空母が装備しているような艦載機のカタパルト発射装置を持たないので、旧ソビエト型の空母のようなスキージャンプ型の甲板となっている。米海軍は現在総計で10隻の空母を運用し、さらに2隻を追加する予定だが、中国海軍も最低6隻の空母を将来的に整備する計画だが、こうした空母艦隊を整備するにはまだ数十年という時間がかかるものと予想されている。
      • 原文 May 13, 2018, Reuters(長谷部正道)
    • 【5】 国際海事局の2018年第一四半期に関する海賊等に関する非公開報告書
      • 国際海事局(IMB)がP&Iクラブ向けに、海賊等の2018年第一四半期の動向について非公式の報告書を発表しているとこと海賊に関する部分の概要は以下のとおり。①ギニア湾における海賊事件は増加しており、2018年第一四半期には、同海域で29件の海賊事件が発生しており、同期間中に全世界で発生した海賊事件の4割以上のシェアとなっているが、特に誘拐された船員の数は113人にのぼり、全世界では114人だったので、世界のほぼすべての人質事件が同海域で発生した。②ハイジャックされた船舶についても、同期間中世界で発生したハイジャック事件の全てがギニア湾で発生しており、2隻の製品タンカーと2隻の漁船が同海域でハイジャックされている。③製品タンカーのハイジャック事件はともに積荷の強奪と船員の身代金要求が目的で、Cotonou錨泊地で発生しているが、錨泊している船舶の不審な動きを監視していれば、こうした海賊事件を速く認知することができるようになる。
      • 原文 May 9, Insurance Marine News(長谷部正道)
    • 【6】 EU域内の港湾における船舶報告窓口の一本化に関する欧州議会説明資料
      • EU域内の全港湾における報告様式の統一化・窓口の1本化を目指して制定された報告様式命令(Reporting Formalities Directive(RFD), Directive 2010/65/EU)は、結果としてEU加盟国間の報告様式の統一化が進展しなかった等の理由によって、その問題点が多くの関係者等から指摘され、現在命令の見直し・改定作業が進行中だが、これまでの経緯をすべてコンパクトにまとめた欧州議会向け説明書が発表されたところ本文は以下のリンクを参照。
      • 原文 May 14, 2018, 欧州議会(長谷部正道)
    • 【7】 北極評議会が北極海の安全運航のための公共ポータルサイトを設立
      • 北極評議会加盟の8か国(加、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、露、スウェーデン、米)は、極海コードの周知と効果的な適用を目指して2017年に北極海海運ベストプラクティス情報フォーラムを設立したが、5月14日に、第2回目のフォーラムを開催し、極海コードの効果的な適用を目的とした公共ポータルサイトを立ち上げた。サイトでは、極海コードを順守しながら北極海を安全かつ環境に配慮して船舶を運航するために必要な航路・気象・海氷に関する公式情報が得られるサイト等へのリンクが張られている。北極評議会加盟国・国際機関・船級協会・海運業界・海上保険業界・NGOなどの多くの関係者がこのポータルサイトに情報を提供しており、ポータル上の情報は定期的に最新のものに更新される。
      • 原文 May 14, 2018, PAME(長谷部正道)
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