2018/7/31 LROニュース(8)

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  • 2018.08.01 UP
    2018/7/31 LROニュース(8)
    • 【1】 欧州港湾協会が「港湾受け入れ施設に関する命令」の改正に対し意見を発表
      • 欧州港湾協会(ESPO)が、現在EUで審議中の「港湾における廃棄物受け入れ施設に関する命令(Port Reception Facilities Directive)」の改正について意見を表明したところその概要は以下のとおり。①現在の命令(2000/59)では、船舶が港湾において廃棄物を処理するときに支払う料金が実際に廃棄物を出すか否か、廃棄物の量の多寡、有害物質の有無にかかわらず定額になっている。②このため海に船舶から不法投棄される量のごみが減ったのは評価できるが、一方で、ごみの量にかかわらず定額なので、船舶内で発生するごみの量をできるだけ減らすという努力が全くされていない。③また有害な危険ゴミを処理するために港湾施設では高額の付加的なコストがかかるので、こうした追加的コストを原因者としての船社が支払わないのも不合理である。④従って、船舶の種類や大きさ毎に基本料金で受け入れる船舶ゴミの標準量を定め、標準量を超えるごみや有害な危険ゴミについては港湾側が受け入れに当たり追加料金を徴収できるよう命令を改正すべきである。
      • 原文 May 9, 2018, ESPO(長谷部正道)
    • 【2】USCGにおけるドローン研究
      • 米国沿岸警備隊(USCG)は、短距離ドローンの活用を、より迅速で安価かつ安全にその使命を果たす好機と捉えており、実践的な海上警備や事案即応、海洋汚染対応のシナリオでの研究評価を行っている。研究はミシシッピ州の陸軍州兵駐屯地を拠点にして、ミシシッピ州立大学、国土安全保障省、シークレットサービス、国境警備隊、移民・関税執行局、連邦航空局が参加し、効率的に実施されている。高性能カメラを搭載したドローンによる海洋汚染調査の実験では、上空から汚染の範囲などの状況を今迄より詳細に確認することができており、これは薬物密輸阻止などの法執行活動にも活用が可能である。費用対効果の面からは、例えば自然災害発生時の被害調査において、航空機やヘリコプターでの被害調査では一時間当たり11,000ドルを要するところ、ドローンを活用することで経費を削減することが可能である。
      • 原文 May 8,2018 The Maritime Executive(武智敬司)
    • 【3】 気候温暖化の影響で海洋保護区の生態系に大きなダメージ
      • 5月7日、ノースカロライナ大学の研究者等がNature Climate Change誌に、地球温暖化によって海洋保護区の生態系が受ける影響について研究を発表したところその概要は以下のとおり。①気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、GHG削減対策をとらない場合(business as usual scenario)海洋保護区における気温は2100年までに2.8℃上昇する。②このような急速で過激な気温の上昇により、海洋保護区に現在生息する多くの生物と生態系は、希少生物の絶滅・生物多様性の減少・海洋食物連鎖の変化などの壊滅的な影響を受ける。③研究では海洋保護区ごとに当該保護区に生息する大部分の生物が温暖化に対応できなくなるタイミングも予測しているが、熱帯では、早ければ今世紀半ばにも生息限界に達する保護区が多く出現する。
      • 原文 May 7, 2018, ノースカロライナ大学(長谷部正道)
    • 【4】 米がイラン核合意から離脱することによる海運業界等への影響
      • 米のイラン核合意からの離脱により、米国によるイラン制裁が再開されるが、制裁再開に伴い、現在イランと商取引を行っている事業者は90日または180日間の撤退猶予期間が与えられる。国務省によれば、海運・造船・港湾関係事業には180日間の猶予期間が与えられる。財務省外国資産管理局(OFAC)は、イラン国営海運会社(IRISL)・South Shipping Line Iranの両海運会社を含むイランの海運・造船会社、イラン港湾管理会社等に対する制裁措置も再開すると発表した。財務省はイラン核合意後、イランと取引を行っている旗国・海事保険会社に対して、制裁再開後は、イラン企業との取引が禁止されることにつき注意喚起した。なお、英・仏・独等の他の核合意当事国は引き続き合意を維持することを表明しており、特に英国財務省は英国企業に対し、米国の撤退を好機として、イランとの事業を発展するよう督励している。
      • 原文 May 9, 2018, The Load Star(長谷部正道)
    • 【5】 EU等の先進国は米国の分も途上国支援の資金負担をする用意があるのか?
      • 米国トランプ政権は既に約束していた国連の「緑の気候基金 (Green Climate Fund: GCF)」に対する20億ドルの拠出を留保していることから、現在進行中の国連気候変動枠組み条約に関する交渉においても、途上国のグループG77は、先進国が途上国に対して共同で毎年1000億ドル資金供与すると約束している分のうち、米国の負担が抜けた部分について、EUをはじめとする他の先進国が埋め合わせをする用意があるのか懸念を表明している。EUの代表はEUが米国の負担の肩代わりをすることについては言質を与えない一方で、先進国全体として途上国に対し、気候変動対策資金として1000億ドルの資金供与をするという約束は維持されていると言明している。12月のCOP24に向けてパリ協定のルールブックづくりのための交渉が進められていくが、後進国は先進国が約束した資金供与について具体的な約束が得られるまでは、いかなる妥協もしない可能性が高い。
      • 原文 May 9, 2018, Climate Change News(長谷部正道)
    • 【6】 国際開発金融機関、パリ協定の達成に向けた取組が不十分
      • アフリカ開発銀行 (AfDB)、アジア開発銀行 (ADB)、欧州復興開発銀行 (EBRD)、欧州投資銀行 (EIB)、米州開発銀行グループ (IADB)、 世界銀行グループ(WBG)等、途上国の持続可能な発展を支援する「国際開発金融機関(MDBs)」は、パリ合意に即した財政支出を行っていくことを約束しているが、このほど気候変動シンクタンクE3Gがその取組状況に関する評価報告書を発表したところ、その概要は以下のとおり。①低炭素経済への移行に対する支援が相対的に最も進んでいたのはIADBであり、続いてEIBとWBGであった。しかし、どの銀行も取組のすべてで十分とは言い難く、より包括的な対応が必要である。②MDBsの中にはいまだに化石燃料事業に多く投資している銀行もあり、早急な戦略の見直しが必要である。③銀行間で情報の透明性に差があるため、パリ合意に即した支援ができているか自ら評価報告を行い、透明性を高めるとともに、ベストプラクティスなどの情報共有も銀行間で進めていくべきである。④MDBsはパリ目標の達成に向けた支援のみならず、その先のGHG純排出ゼロを目指した長期的な取組に対する技術的支援も行っていくべきである。
      • 原文 May. 9, 2018, E3G(野口美由紀)
    • 【7】 独造船工業会が中国と韓国の造船政策を批判
      • 独の造船工業会(VSM)は、総会後の記者発表で、中国の造船所はニッチ市場で、素材原価すら割れる水準で安値受注を継続しているし、韓国では国営銀行が造船所を再建した後に経営権を握って、不採算事業に対する金融支援を続けているうえに、韓国政府は船腹の供給過剰状況を無視して、さらに200隻もの大型商船の建造を発注して同国の造船業界の生き残りを支援しているとして、船腹過剰問題と行き過ぎた価格競争が世界的な公正競争を阻害していると非難した。
      • 原文 May 10, 2018, Splash24/7(長谷部正道)
    • 【8】 南シナ海のスビ礁に中国軍用機を確認
      • 米国のシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)が公表した衛星写真によって、南シナ海で中国が実効支配するスビ礁に中国軍の軍用機Y-8が配備されていることが初めて確認された。Y-8は中国の国産輸送機で、海上パトロールや電波情報の収集などにも用いられる。CSISによれば、スビ礁を含むスプラトリー諸島に中国の軍用機が確認されたのは、2016年4月のファイヤリークロス礁、今年1月のミスチーフ礁に続き3回目となる。スビ、ファイヤリークロス、ミスチーフ礁に対する最近の中国の軍用機配備は、ウッディ礁の実効支配の初期段階のパターンと同じであり、すでに中国はウッディ礁にJ-10、J-11戦闘機を配備していることから、今後スビ、ファイヤリークロス、ミスチーフ礁にも同様に戦闘機の配備がなされる可能性がある。
      • 原文 May 10, 2018 ASIA TIMES (武智敬司)
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