2018/7/30 LROニュース(8)

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  • 2018.07.31 UP
    2018/7/30 LROニュース(8)
    • 【1】 従来リサイクルできなかったプラスチックゴミを船舶燃料に活用
      • アムステルダム港湾当局はオランダの企業と提携して、従来はリサイクル出来なかったタイプのプラスチックゴミを船舶の燃料として再生する世界で最初のプラントを2800万ユーロ投資して建設を開始すると5月7日発表した。年間3万5000トンのリサイクル可能でないプラスチックから 3000万ℓ以上の船舶燃料を生産することが可能で、当該ごみを単純に焼却処理するのと比べると年間5万7000トンの二酸化炭素の排出を削減することができる。今後同様のプラントを4基アムステルダム港に建設し、将来的にはベネルクス諸国や独の港湾に同様のプラントを整備することを目的としている。
      • 原文 May 7, 2018, アムステルダム港湾局(野口美由紀)
    • 【2】 南シナ海:中国のミサイル配備でも変わらぬ比大統領の親中姿勢
      • 中国による南シナ海へのミサイルや電波妨害装置の配備を受け、比政府内の対中タカ派とハト派の論争が再燃している。中国への強硬姿勢を求める世論の圧力を受け、比上院は比中外交について調査し、南シナ海における比の権益保護を求めていく見込みである。対中ハト派として知られるカエタノ外相ですら、国防省等と調整して情報を分析し適切な対応をとることを約束した。一方、反中的な世論の高まりにも関わらず、ドゥテルテ大統領は親中的な姿勢を継続する姿勢であり、5月4日のスピーチにおいて、中国は比の権益を保護しようとしているとさえ主張し議論を呼んだ。また大統領報道官は、近年の日中友好関係は高まっており、ミサイルは比を標的にしているのではないと確信していると説明している。
      • 原文 May 8, 2018 ASIA TIMES (武智敬司)
    • 【3】 WMU2018年版MarTID(船員訓練に関する年次報告書)を発表
      • 2017年6月に、世界海事大学(WMU)、New Wave Media、Marine Learning Systemsの3者は覚書を締結し、船員訓練に関する現在と将来の傾向や技術・訓練の重点分野・訓練手段等船員訓練に関する様々な情報を世界的に毎年調査し報告書に取りまとめて無償で広く海事関係者に提供するMaritime Training Insights Database(MarTID)事業を開始することで合意したが、5月5日、2017年の訓練の実績に関する最初の報告書が発表されたところその概要は以下のとおり。①船員一人当たりの年間平均訓練コストは819米ドルで、過半数の事業者が船舶の運航経費の1-5%を船員の訓練経費に充てていた。②訓練予算を対前年比でみると多くの事業者が5-25%増加させており、多くの新たな規制等に対応するため、2018年はさらに訓練費が増加する見込み。③訓練方法としては、人から人に伝授される従来からの方法に加えて、オンライン教育やビデオやシミュレーターの活用が図られており、今後オンライン教育とシミュレーターの活用が増える見込み。
      • 原文 May 5, 2018, WMU(長谷部正道)
    • 【4】 中国が来年から外国船の解体を停止
      • 中国における船舶のリサイクリング施設は、P&O Nedlloydなど西側海運会社の支援を受けて、船舶の解体作業を海岸においてではなくてドックで適正に行っており、2017年のリサイクリング実績は229万GTと、バングラ・印・パキスタンに次いで世界4番目の主要船舶リサイクリング国であった。一方、中国政府はここ数年来、段階的に海外からの廃棄物の輸入規制を強化してきており、2019年から新たに16種類の廃棄物の輸入が禁止されることとなり、廃船もその中に含まれることとなった。中国国内の船舶リサイクリング産業は来年以降、中国籍船のリサイクルしかできなくなるため深刻な影響を受けるが、船舶を廃船にする海外の船社から見れば、ここ数年価格的には中国のリサイクリング産業の競争力は落ちてきており、環境基準に適合した解体方法を選択する場合も、インドやトルコのリサイクル場を選択する場合が多かったので、中国で解体できなくても大きな影響はないが、最近解体手順を香港条約に併せて改善してきているインドのリサイクル産業の安全基準の向上の後押しになるものと予測される。
      • 原文 May 4, 2018, Splash24/7(長谷部正道)
    • 【5】 国連気候変動ボン会議は大きな進展なく追加準備会合の開催が決定
      • 国連気候変動ボン会議では、パリ協定のルールブック(排出量の報告や評価方法などに関する指針)案の作成に向けた準備作業が行われていたが、先進国と途上国の間で交渉が難航し、9月に改めてバンコクで協議することが決定した。特に、財政支援に関する溝は埋まらず、先進国からの支援を確実なものとしたい途上国側は、今回も具体的な資金提供の見通しが示されなかったと不満をあらわにし、中国主導で、次回会合ではパリ協定の基本である「すべての国がGHG排出削減に取り組む」という概念の見直しさえも求めている。
      • 原文 May. 10, 2018, BBC(野口美由紀)
    • 【6】 IPCCの重要報告書におけるLDCs/SIDs出身著者の比率が増加
      • 「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」から発表される報告書は、各国政府などから推薦された専門家が最新の科学的知見を包括的に評価し取りまとめるものだが、今後公表予定の「1.5度特別報告書」と「第6次評価報告書(AR6)」について、独のNPO Climate Analyticsが専門家の構成国の比率を分析した。それによると、1.5度特別報告書については、後発開発途上国(LDCs)の専門家が6%、小島嶼国(SIDs)が7%であり、AR6については、LDCsが7%、SIDSが4%であった。この比率は以前に比べ向上しているといい、その背景には、IPCC報告書がUNFCCC交渉の基盤となるため、すでに気候変動の影響を受けている途上国の専門家を含めることで、これら地域にとって重要な視点や課題を報告書に取り入れ、公平な交渉につなげる狙いがある。
      • 原文 May/ 7, 2018, Climate Analytics(野口美由紀)
    • 【7】 インドネシアでマイクロプラスチックの人体への影響に関する研究を開始
      • 現在、マイクロプラスチック(MP)の有害性についての確固たる証拠はないが、その潜在的影響については無視できない。そのため、海洋へ流出しているプラスチック量が中国に次いで世界第2位となっているインドネシアにおいて、スジジャプラナタカトリック大学がMPに関する食品安全基準の確立を目指した基礎研究を開始した。本研究は蘭の研究者と共同で実施され、工業が盛んな港湾都市スマラン(Semarang)を対象地とし、地元で水揚げされた6種類の魚介450サンプルからMPの含有量を調べた後、市民2000人を対象にどのように魚介類を摂取しているか2~4週間かけて食事を調査する。魚介中に含まれるMPの調査は世界的に行われているが、食生活にまで踏み込んだ研究は今回が初となる。
      • 原文 May. 8, 2018, BBC(野口美由紀)
    • 【8】 硫黄分排出規制強化の適正な執行の確保にデジタル技術を活用
      • 現在、多くのIMO加盟国では自国の港湾に寄港した船舶が硫黄分排出規制を適正に順守しているか検査する方法として、PSCの際に燃料油のサンプリング検査が行われている。具体的なサンプリングの方法などに関する技術的な問題を回避し、自動的に船舶の規制順守状況を把握するために、デンマーク海事庁(DMA)はEUによるEfficienSea2事業の一環として、船舶から排出される硫黄分の濃度を船上で自動的に計測・デジタル化して、船主や関係取り締まり当局に自動的に送信するシステムの試行実験をバルト海で行い成功した。EfficienSea2事業自体は終了したが、DMAとしては硫黄分排出規制の順守の担保のために、今回の事件の結果をもとに、他国の海事当局や産業界と連携してシステムの実用化を目指していく。
      • 原文 May. 9, 2018, デンマーク海事庁(野口美由紀)
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