2018/7/27 LROニュース(5)
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2018.07.30 UP
2018/7/27 LROニュース(5)
- 【1】 北極海北航路の安全運航管理権限を巡るロシア国内の暗闘
- (論説)既報のとおり、安全基準を満たさないLNG輸送船が北極海北航路を航行しヤマルLNG積出港のサベッタ港に寄港し出港禁止命令を受けたにもかかわらず、ロシア大統領府の介入で再び、超法規的に北極海北航路の航行が許可されたことは既報のとおりだが、北極海北航路の安全管理権をめぐる交通省傘下の北方航路庁(Northern Sea Route Administration: NSRA)とロシアの原子力砕氷船の運航権限を持つロシア国営原子力会社のロスアトムの子会社のアトムフロートの間の国内権力闘争は少なくとも過去2年間続いていた。現状ではNSRAが商船に対し航路通航許可書を発行する権限を有し、安全運航の担保の観点から増加する通航船舶量を管理する一方で、国営のアトムフロートは同国の保有する全ての原子力砕氷船を運航し、航路を運航する商船からの伴走料金から経済的利益を得ている。現在、北極海航路に関する関係機関の再編成が検討されており、現在の共存共栄の関係から、NSRAかアトムフロートのいずれかに権限が集約される見込みで、大統領府は後者を望んでいることから、後者が安全運航に関する監督権限も握った場合、今回の事件の様に、北極海航路において安全規制の順守が担保されない可能性が増える懸念がある。
- (論説)既報のとおり、安全基準を満たさないLNG輸送船が北極海北航路を航行しヤマルLNG積出港のサベッタ港に寄港し出港禁止命令を受けたにもかかわらず、ロシア大統領府の介入で再び、超法規的に北極海北航路の航行が許可されたことは既報のとおりだが、北極海北航路の安全管理権をめぐる交通省傘下の北方航路庁(Northern Sea Route Administration: NSRA)とロシアの原子力砕氷船の運航権限を持つロシア国営原子力会社のロスアトムの子会社のアトムフロートの間の国内権力闘争は少なくとも過去2年間続いていた。現状ではNSRAが商船に対し航路通航許可書を発行する権限を有し、安全運航の担保の観点から増加する通航船舶量を管理する一方で、国営のアトムフロートは同国の保有する全ての原子力砕氷船を運航し、航路を運航する商船からの伴走料金から経済的利益を得ている。現在、北極海航路に関する関係機関の再編成が検討されており、現在の共存共栄の関係から、NSRAかアトムフロートのいずれかに権限が集約される見込みで、大統領府は後者を望んでいることから、後者が安全運航に関する監督権限も握った場合、今回の事件の様に、北極海航路において安全規制の順守が担保されない可能性が増える懸念がある。
- 【2】 天津港が5月1日より船舶からの汚染防止に関する規則を強化
- 3月1日、天津市政府が「天津港における船舶からの汚染を防止・管理する規則」を改正強化し、5月1日から施行すると発表したところ、その概要は以下のとおり。①天津港内での焼却炉使用を禁止(船舶廃棄物記録簿を適正に管理する必要)②天津港内に30日間以上停泊する船舶または修理のためドック入りする船舶は廃棄物排出機器を封印。封印を開封する前に海事安全庁(MSA)に事前連絡。人命等が脅かされる恐れがある緊急時にはMSAの許可なしで開封可能だが、すぐにMSAに通報し機関日誌に記載(廃棄物排出機器には機関室の油水排出バルブが含まれるが、船級協会によって承認された下水処理プラントは対象とならない。)③粉塵貨物または毒性のある有害なガスの輸送・積降をする際には封印を含む防護措置を取り、有毒ガスのリサイクリングは船内で行うこと。(一般貨物船・ばら積み船・石油・ガス輸送船は航行中ハッチカバーや貨物バルブを閉鎖する)
- 3月1日、天津市政府が「天津港における船舶からの汚染を防止・管理する規則」を改正強化し、5月1日から施行すると発表したところ、その概要は以下のとおり。①天津港内での焼却炉使用を禁止(船舶廃棄物記録簿を適正に管理する必要)②天津港内に30日間以上停泊する船舶または修理のためドック入りする船舶は廃棄物排出機器を封印。封印を開封する前に海事安全庁(MSA)に事前連絡。人命等が脅かされる恐れがある緊急時にはMSAの許可なしで開封可能だが、すぐにMSAに通報し機関日誌に記載(廃棄物排出機器には機関室の油水排出バルブが含まれるが、船級協会によって承認された下水処理プラントは対象とならない。)③粉塵貨物または毒性のある有害なガスの輸送・積降をする際には封印を含む防護措置を取り、有毒ガスのリサイクリングは船内で行うこと。(一般貨物船・ばら積み船・石油・ガス輸送船は航行中ハッチカバーや貨物バルブを閉鎖する)
- 【3】 Brexit後のEU海軍司令部設置にスペインが前向き
- ソマリア沖の海賊対策に従事するEU海軍(EUNAVEFOR)は2008年に創設され、ロンドン郊外のノースウッドに司令部を置いているが、英国のEU離脱(Brexit)後の同司令部の設置にスペインが前向きであることが明らかになった。Brexit後の同司令部については、イタリアも受け入れを表明している。スペインは同国南部のロタに同司令部を設置する意向で、ロタには米軍も基地を置いている。同司令部の移転には約9か月を要する見込みであるが、スペインは2019年3月のBrexit前に移転を完了させたい意向である。EUNAVFORの作戦期限は2018年末であるが、ソマリア沖での海賊が再度活発化している状況を踏まえ、期限が延長されるとスペイン当局者は想定している。
- ソマリア沖の海賊対策に従事するEU海軍(EUNAVEFOR)は2008年に創設され、ロンドン郊外のノースウッドに司令部を置いているが、英国のEU離脱(Brexit)後の同司令部の設置にスペインが前向きであることが明らかになった。Brexit後の同司令部については、イタリアも受け入れを表明している。スペインは同国南部のロタに同司令部を設置する意向で、ロタには米軍も基地を置いている。同司令部の移転には約9か月を要する見込みであるが、スペインは2019年3月のBrexit前に移転を完了させたい意向である。EUNAVFORの作戦期限は2018年末であるが、ソマリア沖での海賊が再度活発化している状況を踏まえ、期限が延長されるとスペイン当局者は想定している。
- 【4】 ReCAAP週間レポート(5月1日-7日)
- 5月1日から7日の間、ReCAAP情報共有センターに報告された海賊及び武装強盗事件はなかった。また5月1日、アブ・サヤフが船員誘拐を計画しているとの情報をフィリピン沿岸警備隊から入手した。情報によれば、アブ・サヤフは3基のエンジンを備えた青色の高速ボートを使用し、24時間以内にマレーシアのサバ州に向かうとのことであり、サバ州沖を航行する船舶への注意喚起を発出した。
- 5月1日から7日の間、ReCAAP情報共有センターに報告された海賊及び武装強盗事件はなかった。また5月1日、アブ・サヤフが船員誘拐を計画しているとの情報をフィリピン沿岸警備隊から入手した。情報によれば、アブ・サヤフは3基のエンジンを備えた青色の高速ボートを使用し、24時間以内にマレーシアのサバ州に向かうとのことであり、サバ州沖を航行する船舶への注意喚起を発出した。
- 【5】 2020年硫黄排出規制:ICS会長が適合燃料油の量と品質の問題を指摘
- 国際海運会議所(ICS)の会長は、2020年の硫黄排出規制の強化について、適合燃料油の量と品質の問題を指摘し、規制開始前にIMOに更なる取り組みを求めているところその概要は以下のとおり。①規制開始の2020年段階で全世界の全ての港湾において十分な適合燃料油の供給体制が出来ていない可能性があり、この問題は不特定多数の港に寄港する不定期船にとって深刻である。(編者注: 適合燃料油の給油が不可能な場合は、「燃料油補給不能報告書(Fuel Oil Non Availability Reports: FONAR)」の提出が可能。)②硫黄分濃度0.5%以内ということ以外適合燃料油の品質基準がないため、燃料油供給事業者ごとに適合燃料油の成分が異なるため、それぞれの船舶の機関に適合しない或いは重要な機械的支障を発生する可能性がある。
- 国際海運会議所(ICS)の会長は、2020年の硫黄排出規制の強化について、適合燃料油の量と品質の問題を指摘し、規制開始前にIMOに更なる取り組みを求めているところその概要は以下のとおり。①規制開始の2020年段階で全世界の全ての港湾において十分な適合燃料油の供給体制が出来ていない可能性があり、この問題は不特定多数の港に寄港する不定期船にとって深刻である。(編者注: 適合燃料油の給油が不可能な場合は、「燃料油補給不能報告書(Fuel Oil Non Availability Reports: FONAR)」の提出が可能。)②硫黄分濃度0.5%以内ということ以外適合燃料油の品質基準がないため、燃料油供給事業者ごとに適合燃料油の成分が異なるため、それぞれの船舶の機関に適合しない或いは重要な機械的支障を発生する可能性がある。