2018/7/20 LROニュース(6)
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2018.07.23 UP
2018/7/20 LROニュース(6)
- 【1】 ReCAAP、サバ州沖でのテロ組織による誘拐の危険を警告
- ReCAAP情報共有センター(ReCAAP ISC)は5月1日、マレーシアのサバ州沖海域でテロ組織アブ・サヤフが船員誘拐を企図しているとの情報を得たとして、当該海域を航行する船舶に対する注意喚起を行った。この情報はフィリピン当局から得たもので、3基のエンジンを備えた青色の高速ボートで襲撃が行われる可能性があるとしている。 原文 May 1, 2018 ReCAAP ISC (武智敬司)
- 【2】 ロシアによる国連海洋法を無視したウクライナと西欧に対する挑発
- (論説)ロシアは、2014年のクリミア併合以来、ウクライナのEEZを無視し、ウクライナ・クリミア・ロシアに囲まれたアゾフ海にウクライナの商船がアクセスすることを禁止し、ウクライナの保有するアゾフ海の8つの海上ガス田を接収し、72億㎥のガスを不法に採取した。さらに、スウェーデン・ポーランド・ラトビアのEEZ内で国連海洋法(UNCLOS)を無視して海軍と空軍の演習を行い、数日間バルト海における民間船の航行が不能となった。北極海においても、UNCLOSや2010年にノルウェーとの間で交わした協定を無視して、一方的にEEZを拡大し、漁業・海洋資源開発を独占し、北極海の軍事拠点の強化に努めている。ロシアのウクライナに対する侵略に目をつぶることは、ロシアによる国際海洋法秩序の破壊を受け入れ、イランや中国が後に続く悪しき前例を残すことになる。 原文 Apr. 30, 2018, Atlantic Council(長谷部正道)
- 【3】 パリ協定目標達成のために各国が既に行った約束を見直すべきか?
- EU諸国と気候変動の影響を最も受ける島嶼諸国は、パリ協定が理想的な目標として掲げた気温上昇を1.5℃以内に抑えこむためには、2015年に各国が自主的に約束したGHG削減目標(Nationally Determined Contributions: NDCs)を見直して、各国がGHG削減のためにさらに高い目標に取り組むべきであると考えており、5月にボンで初めて取り入れられたタラノア対話(政府代表だけでなく全ての関係者が自由に意見を交換する試み)を通じて、こうした意欲的な取り組みを各国に広げ新たな規範とすることを目論んでいる。一方で、開発途上国と中国のグループ(G77)は以上のような意欲的な取り組みに否定的で、途上国としては、目標の見直しより、先進国が後進国に約束した資金面での支援と技術の移転の明確化するのが先決問題であり、タラノア対話は新たな規範的なものを生み出す場ではないとしている。12月のCOPの議長国であるポーランドはEUの一員でありながら、NDCsの見直しには後ろ向きである。 原文 May 2, 2018, Climate Change News(長谷部正道)
- 【4】 インド:プラスチックゴミ管理規則の改正の概要
- 3月27日、インド政府環境・森林・気候変動省は2016年のプラスチックゴミ管理規則を改正した。旧規則ではプラスチック製の袋またはシートを製造・輸入する事業者・個人とプラスチックシートを使用して製品のこん包・包装を行う事業者・個人に対し、適正なプラスチックゴミの管理を義務づけ、地方または中央の環境汚染管理委員会への登録を義務付けていた。今回の改正で、プラウチックゴミ管理の責任者の範囲に、上記の製造者等に加えて、商品の商標(ブランド)の所有者を追加した。 原文 May 2, 2018, Lexology(長谷部正道)
- 【5】 USCGの巡視船調達計画の概要
- 4月20日付の米国議会調査局の報告書によれば、米国沿岸警備隊(USCG)の巡視船代替計画の概要は次の通り。USCGは老朽化した合計90隻の大型巡視船、中型巡視船、巡視艇の代替として、8隻の大型海洋保安巡視船(NSC)、25隻の沖合巡視船(OPC)及び58隻の即応巡視船(FRC)の建造を求めており、2019年度予算として7億500万ドルを要求している。NSCは最大かつ高機能な巡視船で、12隻のハミルトン級大型巡視船の代替であり、1隻あたり6.95億ドルと見積もられている。OPCはNSCより小型で若干性能が劣るが、29隻の中型巡視船の代替としてUSCGが最優先に位置付けており、1隻あたり4.21億ドルと見積もられている。FRCはOPCよりもさらに小型で安価な巡視船で、49隻のアイランド級巡視艇の代替として、1隻あたり6500万ドルと見積もられている。 原文 May 2, 2018 USNI News (武智敬司)
- 【6】 露北方艦隊の次世代最新砕氷船が初めて任務を遂行
- 露北方艦隊の次世代最新鋭砕氷船は、2016年6月に進水し、2017年11月に北方艦隊に配属されていたが、厚さ90cmまでの海氷を砕氷する能力を持ち、船長85m、幅20m、排水量6000トンで、26トンまでの重量物の積降が可能なクレーンを搭載し、貨物の輸送・海洋調査・海難救助にもあたることができる。白海の入り口で巡洋艦型潜水艦と会合し、40㎝の厚さの海氷の中を航路を切り開いて、白海沿岸のセヴェドロヴィンスクまで、他の砕氷船とタグとともに巡洋艦型潜水艦を成功裏に先導したと4月28日、北方艦隊報道官が発表した。 原文 Apr. 28, 2018, TASS(長谷部正道)