2018/7/19 LROニュース(6)

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  • 2018.07.20 UP
    2018/7/19 LROニュース(6)
    • 【1】 気候変動に伴う災害を補填する原因者負担の原則に基づく資金供給の必要性
      • ドミニカ・セイシェル・バングラデシュ・バヌアツの大臣等が、5月2日から3日に、ボンで開催されたSuva専門家対話に共同で提出した文書の概要は以下のとおり。①GHGを削減し、気候変動によって発生した災害被害を救済し、徐々に進む海面上昇などの対策に充てるために、原因者負担の原則に従い、化石燃料に対する気候損害税の導入等による資金負担の枠組みを早急に確立すべき。②国連はこうした資金調達方法を確立するためのタスクフォースを立ち上げ、「気候変動に関する損失と損害のためのワルシャワ国際メカニズム」の見直しを行う2019年までに、新たな資金調達に関する仕組みの提案を行わせるべき。③適正な規模の資金的な裏付けがなければ、パリ協定やワルシャワメカニズムも無力化する。我々の世代が気候変動対策のための新たなBreton Woods体制を構築しなくてはならない。解決策はある。議論の時は終わった。行動あるのみである。
      • 原文 May 2, 2018, Climate Change News(長谷部正道)
    • 【2】 IMOは具体的なGHG削減策を早急に合意・実施すべき
      • (論説)IMOはついに2050年までに船舶から排出されるGHGの量を半減することに合意したが、船舶から排出されるGHGを直ちに削減するためのロードマップについては合意できなかった。海運から排出されるGHGの総量を直ちに減少に転じさせるためにも、短期的で強制力のあるGHG削減策について合意すべく、IMOは引き続き努力を継続すべきである。直ちに海運業界ができる対策としては、船舶の減速運航、エネルギー効率の良い機関への改装、ハイブリッド・完全電化、水素・アンモニア燃料の使用などの対策が考えられる一方で、減速運航を拒否する船舶からは賦課金を徴収し、船舶の運航効率を高めるために使用できる「船舶改善メカニズム」基金を創設することも考えられる。EUとしてはGHG削減効果の少ないLNGバンカーに見切りをつけ、新たなGHGゼロの燃料の開発を進め、IMO等で他の環境推進派の国々と協力して主導権を握るべきである。
      • 原文 May 2, 2018, Transport & Environment(長谷部正道)
    • 【3】 中国の北極戦略(北極点直航ルートと資源開発)
      • (論説)中国の北極海シルクロード構想は、当面はロシア沿岸の北極海北航路を利用するものの、北極海の海氷の融解が進めば長期的には、北極点を経由する短縮ルートの開発を目的としている。北極海北航路を利用しても従来からのスエズ運河ルートに比べれば、所要航海日数が最大で15日間短縮できるが、北極点を経由する航路が利用できれば、さらなる所要日数の削減と燃費の節約に加えて、ロシアの支配から逃れることができるのも大きな動機付けとなっている。中国は天然資源の開発に重点を置いたインフラと港湾の整備を北極海でも行っており、ロシアのヤマルLNG事業やノルウェーの石油・ガス田にも積極的に投資を行っている。中国は北極圏における資源開発やインフラ整備のための技術的なノウハウを蓄積するために、アラスカやカナダの資源開発に投資し、北欧の多くの港湾にも投資を行っている。
      • 原文 May 1, 2018, Foreign Policy(長谷部正道)
    • 【4】 欧州委員会が海洋分野で働く人材支援のための便覧を発表
      • 4月30日、欧州委員会は海事専門家のスキルを開発し、海事経済の発展に伴って新たに発生する人材需要に対応することを支援するための3冊の便覧を発表した。海事経済活動は過去10年間に大きく変容しており、海上風力発電・海洋エネルギー・造船・海洋バイオテクノロジーなど新たなニッチ産業が新たな人材を求めている。こうした新たな海事労働市場における人材の需要と供給をマッチングさせることは、欧州の海洋産業の競争力を高めることにもなるため、欧州委員会は既存の教育機関と上記の新たな海事産業の橋渡しをして、産業界の要求水準に併せて教育方法を変えたり、教室の外での体験学習の機会を増やすための支援を行う。また、従来からの海の職場のイメージを変え、海洋経済活動に関連する様々な産業において、様々な雇用機会があることを広く公共に周知する。
      • 原文 Apr. 30, 2018, 欧州委員会(長谷部正道)
    • 【5】 ロシアによるGPS攪乱の目的
      • 過去1年間ロシアによるGPS攪乱活動が頻発しているが、その目的は以下のとおり。①西欧の軍事・平和維持活動に対する妨害。例えば、ウクライナにおいてミンスク合意が順守されているか監視するために西側が飛ばすドローンの使用するGPSが恒常的に電波妨害を受けている。②ロシアにとって重要な施設をドローン等のGPSを利用している侵入機から保護。多くの西側ドローンは空港から距離を置くように設定されているので、モスクワ市内や黒海・バルト海沿岸の重要施設は、GPS上、空港と誤認されるように設定されている。③ロシア近隣国においてGPSの信頼性を下げて、ロシアのGLONASSへの乗り換えを促進。ロシアの沿岸を航行する船舶のGPSは頻繁に妨害されており、ロシア領海を航行する船舶の8700隻上が現在GLONASSを採用している。④ロシア近隣の西側諸国の米国製技術に対する信頼を損なう。2017年9月には、ロシア軍の演習の結果、ノルウェー北部では1週間にわたりGPSが妨害された。
      • 原文 Apr. 30, 2018, Resilient Navigation and Timing基金(長谷部正道)
    • 【6】 南米スリナムで海賊の襲撃により16人の漁民が行方不明
      • スリナム沿岸警備隊が明らかにしたところによれば、4月27日夜にスリナム沖で漁民20人のグループが4隻のボートに乗った海賊の襲撃を受け、16人が行方不明となっている。生存者によれば、襲撃された漁民は海賊から海に飛び込むよう強いられ、中には足に重りを付けられた者もいたという。また現地報道によれば、海賊は漁民風で、ガイアナ人がいたとのことである。現地の漁業組合長によれば、スリナムとガイアナの漁民の間で互いに海賊行為が行われているが、今回のように極端な事件はまれである。スリナム沿岸警備隊は、スリナム海域での船舶監視システム(VMS)の早急な導入を求めている。VMSは漁業監視に特化した、AISに類似した類似したシステムで、緊急時に船舶の位置を通報するパニックボタンの機能を備えている。
      • 原文 May 1, 2018 The Maritime Executive (武智敬司)
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