2018/6/7 LROニュース(4)

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  • 2018.06.08 UP
    2018/6/7 LROニュース(4)
    • 【1】 ヤマルLNG専用運搬船が北極海の安全運航規則を無視
      • Dynagas LNG Partners社が運航するヤマルLNG事業のために建造された砕氷LNG運搬船のBoris Vilkitsky(BV)号は、Bureau Veritas船級協会によれば、3月30日以前に、船尾のスラスターと左舷の操舵軸が使用不能となったため、ロシア船級協会が定めるArc7の船級要件を満たすことができなくなり、エンジン出力の減少も考慮してArc4の船級に格下げされた。ロシア北極海北航路庁(Russian North Sea Route Administration: NSRA)の定めた航海規則によれば、カラ海南西部の海域で、海氷の状況が平均以上に悪いときには、Arc4の船級を持った船舶は、自力航行はもちろん砕氷船の伴走を得ても航行してはいけないことになっているが、BV号はNSRAの警告を無視して、4月9日にカラ海に侵入し、最大2mの海氷がある条件下で、4月12日にヤマルLNGの積出港であるサベッタ港に入港した。NSRAはBV号が航行の安全ばかりでなく海洋環境にも重大な危険を与えたとして強く非難しているが、出港停止命令等の実行力のある手段を持っておらず、BV号は荷役を終えて、再度氷海を航行する恐れさえある。ロシア政府は北極海LNG第2事業に対して、サウジアラビアや中国からの投資を勧誘しているところであり、投資家の関心を引くためにも安全運航の確保に目をつむり、LNGの安定的な輸送能力を誇示したい思惑がある。
      • 原文 Apr. 19, 2018, High North News(長谷部正道)
    • 【2】 南シナ海の人工島に中国軍用機を確認
      • フィリピンのメディアは、中国が人工島を造成したミスチーフ礁の飛行場施設に2機の軍用輸送機が駐機している写真を公表した。中国の習主席は2015年に、南シナ海に造成した人工島の軍事施設化を否定していたものの、2016年には防空施設の建設が衛星写真によって明らかになったほか、最近は中国国防部報道官が人工島への軍の派遣を「主権国家として当然の権利」と述べている。今般の人工島への軍用機駐機を示す写真により、中国が人工島を軍事利用する意図があることが改めて裏付けられた。
      • 原文 Apr. 18, 2018, The Maritime Executive(武智敬司)
    • 【3】 Nautical Instituteが「極海航海術」の改訂版を出版
      • 航海協会(Nautical Institute: NI)は2012年に「極海航海術」の初版を出版したが、その後極海の温暖化と海氷の減少が予想を超える速度で進む一方、新たな技術開発が進展し、極海コードをはじめとする新たな規制も導入されたので、NIはこうした新たな状況に対応して、4月19日、「極海航海術」を改訂・出版した。著者のスナイダー船長は、40年間以上にわたってカナダ海軍・カナダ沿岸警備隊・商船の船長として北極海・セントローレンス湾・バルト海・南氷洋の氷海において幅広い航海経験を持ち、氷海における航海に必要な技術・知識・経験に関する世界で初めての基準であるNIの氷海航海士制度(Ice Navigator Scheme)の創設に主導的な役割を果たした。
      • 原文 Apr. 20, 2018, NI(長谷部正道)
    • 【4】 海底に歴史的にたまった泥から鉛が海洋中に放出
      • 鉛を添加した燃料の使用など人間による活動で、過去150年間以上にわたって、鉛による環境汚染が蔓延し、海洋中の鉛濃度は、天然の本来濃度の100倍以上の濃度となったが、英国をはじめとする欧州諸国で環境基準が厳しくなり、鉛が添加された燃料の使用がほぼ禁止されたため、英国の海洋調査船による観測結果によれば、欧州大陸棚の上のケルト海の表層の海水に含まれる鉛の濃度は20年から30年前に比べて1/4に減少したことが分かった。一方、過去150年間にわたって、海水中の鉛は最終的に海底の泥に吸着されたと考えられていたが、大気中から海洋に鉛が供給されなくなった現在でも海中に鉛が存在するのは、鉛を吸着した海底の泥から鉛が海中に放出されていることが分かった。
      • 原文 Apr. 19, 2018, NOC(長谷部正道)
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