2018/5/8 LROニュース(6)

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  • 2018.05.09 UP
    2018/5/8 LROニュース(6)
    • 【1】 OECD・ITFが国際海運の脱炭素化に向けた方策を提言
      • OECDの国際交通フォーラム(International Transport Forum: ITF)は、2035年までに国際海運における脱炭素を達成するために取るべき方策について3月に報告書を発表した。それによると、特に対策を打たず、これまで通りのやり方を続けた場合は、2035年までにCO2排出量が2015年比23%増の10.9億トンに達するのに対し、現在の科学技術を最大限用いれば、予測されている2035年レベルのCO2排出量の82%~95%を削減できることが示された。2035年までに国際海運におけるCO2排出を効果的に削減する方法として提示されているのは以下のとおり。①明確で野心的な排出削減目標の設定。②目標達成に向けた包括的な政策措置による支援。具体的には、代替燃料や再生可能エネルギーの利用促進、船舶の燃費向上、船型設計の改善、低炭素燃料基準や速度制限など規制の導入、沿岸発電施設や充電設備、代替燃料用の補給施設などのインフラ整備の実施等が必要。③カーボンプライシング制度を含めた環境に配慮した船舶輸送への金銭的なインセンティブの導入。これらの方策を実行していく上で、政府の介入は商業的技術的実現性を高めるのに役立つ。
      • 原文 Mar. 27, 2017, OECD・ITF(野口美由紀)
    • 【2】 英国政府が将来の海運戦略の策定を開始
      • 3月27日、英運輸大臣は、学識経験者や業界関係者から、パネルのメンバーを任命し、2050年までの間、英国が世界の海運界を引き続きリードするための専門家パネルを立ち上げた。また同時に2050年までの海運戦略(Maritime 2050)について、海運業界の内外から、技術・貿易・インフラ・環境・船員・海事セキュリティなどの分野について広く意見の公募を開始した。Maritime 2050では、政府や海運業界が長期的な計画を立てるための課題や可能性を明確にし、海運の将来性を投資家に示して海運分野への投資を促し、自律運航技術や港湾のデジタル化など海運の効率化を促す技術を提示する。
      • 原文 Mar. 27, 2018, 英政府(長谷部正道)
    • 【3】 中国海警局の軍指揮下移行で高まる軍事衝突の懸念
      • 中国共産党は政府機構改革の一環として、これまで文民組織である国家海洋局の指導下にあった中国海警局を、中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察に編入すると明らかにした。このことは、指揮系統の一本化の一方で、南/東シナ海など領有権で緊張が続く海域で活動する中国公船の軍艦・文民の区別が不鮮明になり、不測の軍事衝突に発展するリスクが高まるといえる。中国は南シナ海の80%以上の海域に対して主権を主張しており、比較的軽武装な沿岸警備隊である海警局が対応することで、国際的な非難の高まりや不測の軍事衝突を避けてきた経緯がある。周辺国で言えば、ベトナム海上警察は国防省の下にあるが、日本やフィリピンの沿岸警備隊は運輸当局の傘下にあり、米国沿岸警備隊は有事には海軍の指揮に入ることはあるものの、国土安全保障省の傘下にある。中国は米海軍の駆逐艦より20%も大きく、強力な武装を施した巡視船の建造を続けており、軍艦との区別は一層難しくなっている。もはや中国は南シナ海などでの沿岸警備隊のプレゼンスを、純粋な文民警察活動とは主張しえない。
      • 原文 【3】中国共産党は政府機構改革の一環として、これまで文民組織である国家海洋局の指導下にあった中国海警局を、中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察に編入すると明らかにした。このことは、指揮系統の一本化の一方で、南/東シナ海など領有権で緊張が続く海域で活動する中国公船の軍艦・文民の区別が不鮮明になり、不測の軍事衝突に発展するリスクが高まるといえる。中国は南シナ海の80%以上の海域に対して主権を主張しており、比較的軽武装な沿岸警備隊である海警局が対応することで、国際的な非難の高まりや不測の軍事衝突を避けてきた経緯がある。周辺国で言えば、ベトナム海上警察は国防省の下にあるが、日本やフィリピンの沿岸警備隊は運輸当局の傘下にあり、米国沿岸警備隊は有事には海軍の指揮に入ることはあるものの、国土安全保障省の傘下にある。中国は米海軍の駆逐艦より20%も大きく、強力な武装を施した巡視船の建造を続けており、軍艦との区別は一層難しくなっている。もはや中国は南シナ海などでの沿岸警備隊のプレゼンスを、純粋な文民警察活動とは主張しえない。
    • 【4】 アントワープ港が主要ドックのスマート化を推進
      • アントワープ港は、年間900万TEUのコンテナを取り扱うDeurganckドックの運用と保守管理の効率化を図るため最新技術の導入を検討している。第一に、バースの効率的な運用を図るため、岸壁にカメラとセンサーを装備して、船舶が指定されたスペースに適正に着岸するか自動的にチェックする。一部のバースで6か月の試験運用を経たうえで、全てのバースにカメラとセンサーを設置する。第二に、Google社のStreetviewと同じ発想で、岸壁・防舷材・橋などの映像をデーターベース化し、修繕が必要となる個所をできるだけ早く予防的に発見する。第三に、自動測深船を投入し、夏のシーズンの終わりに、全バースの水深を自動的に測深して、各バースの必要な水深を確保する。
      • 原文 Mar. 27, 2018, アントワープ港(長谷部正道)
    • 【5】 中国海軍、南シナ海で空母打撃群による大規模演習を実施
      • 中国海軍は、空母「遼寧」を含む少なくとも40隻の艦隊が台湾海峡を通過後、南シナ海で大規模な演習を実施したとみられることが分かった。また、専門家によれば、この演習はその規模のみならず、「遼寧」空母打撃群が属する北海艦隊と南海艦隊が日常的に共同行動を行う艦隊統合運用能力の向上が見られるという。
      • 原文 Mar. 28, 2018 ASIA TIMES (武智敬司)
    • 【6】 グリーンランドで強まる中国の影響力
      • 【6】(論説)グリーンランドはデンマークの海外領土で、総面積約217万㎢のほとんどが氷で覆われ、人口がわずか5万6千人だが、米国防衛に極めて重要な米軍のThule空軍基地があるが、中国が最近強い関心を示し始めた。もっともよい例が、2016年にデンマーク政府が、以前米海軍の基地として使用されていたGronnedalの海軍基地を売却しようとしたときに、中国の企業が強い関心を示したため、売却が中止された。グリーンランドが中国と経済関係を持つこと自体問題ではないが、グリーンランドの人口と経済規模を考えれば、中国はたった1件の大規模投資でも、グリーンランドに非常に大きな影響力を持つことが可能である。グリーンランドの独立の可否の重要な要素の一つである防衛能力について、グリーンランドは隣国アイスランドと比べて、領土が広大で人口が少ないため、アイスランドのような国防軍を自前で持つことは困難であり、中国の存在感が増せば、グリーンランド独立にマイナスの影響を与えよう。EUは2014年から2020年まで、毎年3100万ユーロの予算をグリーンランドの教育支援に支出しているが、2016年には、上海市とクヤレック市との間で連携協定が締結され、2018年は中国語クラスがグリーンランドに開設-される見込みになっており、EUはより戦略的にグリーンランドとの関係を考える時が来ている。

      • 原文 Mar. 28, 2018, Euractiv(長谷部正道)
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