2018/5/25 LROニュース(6)
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2018.05.28 UP
2018/5/25 LROニュース(6)
- 【1】 欧州環境保護団体が欧州議会に使い捨てプラスチックの廃止を請願
- 「プラスチックを再考するアライアンス(Rethink Plastic Alliance)」を組んでいる欧州の複数の環境保護団体が、欧州議会の建物内において使い捨てプラスチックの使用をやめるよう求めた請願書を議長宛に提出した。これらの団体は1年前にも欧州議会をはじめ、欧州委員会や欧州理事会の代表宛に欧州機関がまず範を示すべきだと同様の請願書を送っていた。欧州委員会と欧州理事会はそれに応じ、対策の整備を始めたが、欧州議会の建物内ではいまだに使い捨てプラスチックが広く使われているという。欧州委員会の副委員長は2月末、どの欧州機関が最初に使い捨てペットボトル入り飲料水から脱却できるか、一緒に切磋琢磨するよう欧州議会に申し入れた。今回の請願書では、議会がこの申し入れを受け入れるか質問を投げかけている。
- 「プラスチックを再考するアライアンス(Rethink Plastic Alliance)」を組んでいる欧州の複数の環境保護団体が、欧州議会の建物内において使い捨てプラスチックの使用をやめるよう求めた請願書を議長宛に提出した。これらの団体は1年前にも欧州議会をはじめ、欧州委員会や欧州理事会の代表宛に欧州機関がまず範を示すべきだと同様の請願書を送っていた。欧州委員会と欧州理事会はそれに応じ、対策の整備を始めたが、欧州議会の建物内ではいまだに使い捨てプラスチックが広く使われているという。欧州委員会の副委員長は2月末、どの欧州機関が最初に使い捨てペットボトル入り飲料水から脱却できるか、一緒に切磋琢磨するよう欧州議会に申し入れた。今回の請願書では、議会がこの申し入れを受け入れるか質問を投げかけている。
- 【2】 EMSA、漁船海難事故の情報分析手法についてのレポートを公表
- 欧州海上保安機関(EMSA)は欧州海難情報プラットフォーム(EMCIP)に報告された海難事故情報から潜在的な安全要因を特定するための情報分析手法について研究しており、特に2017年2月から12月にかけて、漁船に焦点を当てて研究を実施してきた。その結果、漁船海難の分析においては、①船員の訓練及び技術の状況 ②安全評価の状況 ③関連法規、規則の遵守状況 ④作業方法 ⑤資器材のメンテナンス状況 ⑥運航管理や安全管理の状況 ⑦防火施設の状況 の7項目に大別し、各項目について詳細に分析することで、各項目に対する適切な勧告が可能となるとの結論に至っている。
- 欧州海上保安機関(EMSA)は欧州海難情報プラットフォーム(EMCIP)に報告された海難事故情報から潜在的な安全要因を特定するための情報分析手法について研究しており、特に2017年2月から12月にかけて、漁船に焦点を当てて研究を実施してきた。その結果、漁船海難の分析においては、①船員の訓練及び技術の状況 ②安全評価の状況 ③関連法規、規則の遵守状況 ④作業方法 ⑤資器材のメンテナンス状況 ⑥運航管理や安全管理の状況 ⑦防火施設の状況 の7項目に大別し、各項目について詳細に分析することで、各項目に対する適切な勧告が可能となるとの結論に至っている。
- 【3】 国際海運でのGHG半減目標達成に向けた次なるステップ
- IMOは4月、2050年までに国際海運でのGHG排出を半減させるというGHG削減目標を採択し、目標達成に向けた最終戦略を2023年にまとめることとした。これにより、次の課題はいかにして目標を達成するかということだが、排出上限を設定することや責任の分配に関して関係国の間で意見の隔たりが予想されている。また、すでに提案された対策についても、産業界や途上国は速度規制に反対の立場を示したり、船舶の設計やクリーン燃料の導入に関しては技術革新が重要になるなど課題も多い。今後の交渉ではこれら詳細について議論されることとなり、次の環境委員会の会合は10月に予定されている。
- IMOは4月、2050年までに国際海運でのGHG排出を半減させるというGHG削減目標を採択し、目標達成に向けた最終戦略を2023年にまとめることとした。これにより、次の課題はいかにして目標を達成するかということだが、排出上限を設定することや責任の分配に関して関係国の間で意見の隔たりが予想されている。また、すでに提案された対策についても、産業界や途上国は速度規制に反対の立場を示したり、船舶の設計やクリーン燃料の導入に関しては技術革新が重要になるなど課題も多い。今後の交渉ではこれら詳細について議論されることとなり、次の環境委員会の会合は10月に予定されている。
- 【4】 IMOが北極海における重油の輸送と使用の禁止について検討を開始
- 4月11日、IMO・MEPCは北極海における重油の輸送と使用の禁止を前提に、禁止を実施した場合の影響調査を汚染防止・対応小委員会(PPR)で検討を行い、2020年までに結論を出すことに合意した。重油を使用する場合の環境に対するリスクだけではなく、北極圏に住む先住民族に対する生活物資の海上輸送に対する影響等についても検討する。IMO加盟国は、本年10月に開催されるMEPCで影響評価の方法について加盟国の提案に基づきさらに検討し、来年2月に開催される予定のPPRでは、北極海で重油を使用する際のリスクを減少する方法についてのガイドラインや禁止の対象となる「燃料」の定義について検討が行われる予定。今回の重油の輸送・使用禁止提案は、北極評議会加盟国であるノルウェー・スウェーデン・フィンランド・アイスランド・米が強く支持するとともに、非加盟国である蘭・独・NZも支持に回った。
- 4月11日、IMO・MEPCは北極海における重油の輸送と使用の禁止を前提に、禁止を実施した場合の影響調査を汚染防止・対応小委員会(PPR)で検討を行い、2020年までに結論を出すことに合意した。重油を使用する場合の環境に対するリスクだけではなく、北極圏に住む先住民族に対する生活物資の海上輸送に対する影響等についても検討する。IMO加盟国は、本年10月に開催されるMEPCで影響評価の方法について加盟国の提案に基づきさらに検討し、来年2月に開催される予定のPPRでは、北極海で重油を使用する際のリスクを減少する方法についてのガイドラインや禁止の対象となる「燃料」の定義について検討が行われる予定。今回の重油の輸送・使用禁止提案は、北極評議会加盟国であるノルウェー・スウェーデン・フィンランド・アイスランド・米が強く支持するとともに、非加盟国である蘭・独・NZも支持に回った。
- 【5】 炭素の価格付けについて今年のG20では議論されない予定
- 昨年のG20 ハンブルク・サミットでは、炭素の価格付け(Carbon Pricing : CP)についてハイレベル会合で議論がなされ、その重要性について「気候エネルギー行動計画(Climate and Energy Action Plan)」にもまとめられた。しかし、今年の議長国であるアルゼンチンは、今回の議題にCPは入れない方向であることを明らかにするとともに、パリ協定からの離脱を表明した米国に便宜を図ったことは否定した。G20の中で最も小国なアルゼンチンは政治力のあるドイツとは違い、難しい立場にあるが、今回CPについて議題に含まれなければ、気候変動問題についての議論が後退することも心配され、2019年の議長国であるに日本にはCPについてより開かれた議論が期待される。
- 昨年のG20 ハンブルク・サミットでは、炭素の価格付け(Carbon Pricing : CP)についてハイレベル会合で議論がなされ、その重要性について「気候エネルギー行動計画(Climate and Energy Action Plan)」にもまとめられた。しかし、今年の議長国であるアルゼンチンは、今回の議題にCPは入れない方向であることを明らかにするとともに、パリ協定からの離脱を表明した米国に便宜を図ったことは否定した。G20の中で最も小国なアルゼンチンは政治力のあるドイツとは違い、難しい立場にあるが、今回CPについて議題に含まれなければ、気候変動問題についての議論が後退することも心配され、2019年の議長国であるに日本にはCPについてより開かれた議論が期待される。
- 【6】 炭素固定・除去技術に頼らず1.5℃目標を達成する方法
- パリ協定の1.5℃目標を達成するには、大気中からCO2を取り除く炭素固定・除去を大規模に行う必要があるとの研究報告が多い。しかし、これを行うには広大な土地が必要で、世界の食料供給や自然界に影響を及ぼす恐れもある。そこで、蘭環境評価庁とユトレヒト大学は、炭素固定・除去に極力頼らずに済む方法をコンピューターモデルを用いて研究し、代替法として以下3点を挙げている。①肉の消費の抑制。これにより牛から排出されるメタンガスが減る上、飼料用に使われている土地を植林やバイオマス生産に充てることもできる。②CO2以外のGHGの排出削減、③再生可能エネルギーの増加。ただ、炭素固定・除去への依存をゼロにすることはできないので、引き続き技術開発を続けていくことが賢明だとも述べられている。
- パリ協定の1.5℃目標を達成するには、大気中からCO2を取り除く炭素固定・除去を大規模に行う必要があるとの研究報告が多い。しかし、これを行うには広大な土地が必要で、世界の食料供給や自然界に影響を及ぼす恐れもある。そこで、蘭環境評価庁とユトレヒト大学は、炭素固定・除去に極力頼らずに済む方法をコンピューターモデルを用いて研究し、代替法として以下3点を挙げている。①肉の消費の抑制。これにより牛から排出されるメタンガスが減る上、飼料用に使われている土地を植林やバイオマス生産に充てることもできる。②CO2以外のGHGの排出削減、③再生可能エネルギーの増加。ただ、炭素固定・除去への依存をゼロにすることはできないので、引き続き技術開発を続けていくことが賢明だとも述べられている。