2018/4/13 LROニュース(5)
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2018.04.16 UP
2018/4/13 LROニュース(5)
- 【1】 ノルウェーとロシアの救難機関が北極海における救難の机上訓練を実施
- 3月初めに、ノルウェーのチルケネスで、ノルウェーとロシアの救難機関から80人の関係者が参加して、ノルウェーのトロムセーとロシアのムルマンスクの間を航行する1000人乗りの旅客船で火災が発生した場合を想定し、避難誘導手順や救難ヘリ・救助艇・消火器具の配置場所などについて検討を行った。さらに、どちらの当局が救助作業を担当し、異なった言語でどのように連絡を取り合うかなどの行政手続きについて話し合った。両国間で政治的に緊張関係が発生することはあるが、バレンツ海における捜索救難に関する両国の協力関係は継続してきた。極海コードでは、遭難者が最低5日間は生存できる救命器具を装備するように船舶の運航者に義務付けているが、北極海において高齢者を含む旅客を5日間も生存させる救命胴衣や救命いかだなど実際には存在しないという意見がある。 原文 Mar. 10, 2018, The Maritime Executive (長谷部正道)
- 【2】 ベニスにも伸びる一帯一路
- 中国と欧州間の貿易量の85%はスエズ運河経由の海運に依存していることから、中国はピレウス港とベニス港に着目している。ピレウス港がバルカン諸国への窓口である一方、イタリアはオーストリア、独、スイス、スロベニア、ハンガリー等の欧州諸国への窓口として適している。中国のイタリアの港湾に対する投資は増加しており、例えば、ジェノア港の西のヴァード・リーグレコンテナターミナルの40%の持ち分をCOSCOが買収している。現在ベニスではベニスオフショア・陸上港湾システム(Venice Offshore-Onshore Port System: VOOPS)の開発が進められており、ベニスの歴史的な部分を損なうことなく、新たな海上のプラットフォームを活用して大規模な荷役設備を作り、大型船も寄港できるようにベニス港の近代化が進められている。ベニス港から欧州各都市への物流網が整備されれば、ロッテルダムやハンブルグといった北部欧州のハブ港湾を使用するのに比べて、5日間中国からの航海日数を節約できることになる。 原文 Mar. 12, 2018, Asia Times (長谷部)
- 【3】 マースクのコンテナ船から海上に転落したコンテナに硫黄酸化物が積載
- 3月4日、オレゴン海峡の17マイル沖合で荒天のためマースクのコンテナ船から76個のコンテナが海中に転落したが、そのうちの1つのコンテナに5900ポンドの硫黄酸化物が積み込まれていたことが判明した。沿岸警備隊(USCG)、米海洋大気庁(NOAA)、環境保護庁などの関係当局は海中にある76個のコンテナの監視・追跡を続けている。USCGによれば、現状でコンテナから硫黄酸化物が流れ出した形跡は認められない。USCGの哨戒機から9個の浮遊しているコンテナが当初確認されたが、現在でも浮いているのが確認されているのは2個のみ。浮遊しているコンテナは他の船舶の安全航行の妨げとなるので、マースクはサルベージ会社に依頼して当該コンテナに位置発信機と灯火を設置し、USCGは当該コンテナの浮遊位置について航行安全情報を提供している。 原文 Mar. 10, 2018, gCaptain (長谷部正道)
- 【4】 ニュージーランドがUNEPのCleanSeasキャンペーンに参加を表明
- CleanSeasキャンペーンは2017年2月にUNEPが立ち上げた海洋からプラスチックゴミを削減する運動で、既に40か国以上が参加しているが、3月12日、NZ政府環境省はこのキャンペーンに参加することを表明した。科学者によれば、世界の海洋には現在1億5000万トン以上のプラスチックゴミが存在し、このままでいくと2050年までに海洋プラスチックゴミの総重量が魚類の総重量より重くなると予測されている。NZ政府は今後以下のような対策をとる予定。①今年の6月からマイクロプラスチックを含む製品を禁止②使い捨てプラスチック製品の代替となる製品を開発③海岸や海洋におけるプラスチックゴミに関する情報収集の支援④ゴミ最少化基金(Waste Minimization Fund: WMF)への資金拠出⑤ゴミ最少化法の強化。 原文 Mar. 12, 2018, UNE(長谷部正道)
- 【5】 河川から海に大量のプラスチックが流出し人間の健康にも影響か?
- マンチェスター大学の研究者が世界各地のプラスチック汚染の調査結果をNature Geoscienceに発表したところその概要は以下のとおり。①全世界の調査地点の中で、最も多くのプラスチックゴミが発見されたのはマンチェスター近郊の河川からだった。②2015年に発生した洪水の前後で、同じ地点のプラスチックゴミの数を比較したところ、小さな川の一回の洪水で400億個もの微小プラスチックが海に流れ出たことが分かった。③この結果、全海洋におけるプラスチックゴミの総数が約5兆個とする従来の予想よりはるかに多くのプラスチックが海に流出していると考えられる。④海洋プラスチックゴミは海洋生物に被害をもたらすだけでなく、水産物等を通じて人間の体内にも摂取されており、人間の健康への影響はまだ明らかにされていないが、有害な化学物質として、最も細かいものは血液中にも取り込まれている。 原文 Mar. 12, 2018, The Guardian (長谷部正道)