2018/2/7LROニュース(6)

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  • 2018.02.07 UP
    2018/2/7LROニュース(6)
    • 1】トランプ政権による反気候変動対策の試み
      • 1】予想されたとおり、トランプ政権はオバマ政権の気候変動対策に関する連邦法規制を反対方向に改正する試みを積極的に行っている。2017年にはトランプ大統領はパリ協定からの離脱を宣言し、環境保護庁(EPA)の予算を削減することを提案した。トランプ大統領に任命された新長官の下で、EPAは既存の規制の再検討を行い、一部の廃止を提案している。こうしたオバマ政権の環境政策の見直しは、以下の分野において2018年も継続する見通し。①大気浄化法(Clean Air Act)に基づきGHGを削減する根拠ともなっている2009年にEPAが決定したThe Endangerment Findings(6種類のGHGガスの特定と大気中の人体への有害物質を特定した決定)の再検討②気候変動研究に関するEPA・エネルギー省(DOE)・NASA等政府関係機関の予算の削減③化石燃料を使用する既存の火力発電所からの二酸化炭素の排出を規制するClean Power Planの廃止④石油・天然ガスの生産から副次的に発生するメタンガス排出規制の凍結・再検討。
      • 原文 Jan. 23, 2018, Lexology (Dafnis)
    • 2】 定期船同盟の終焉:太平洋航路安定化協定が2月に終了
      • 2】1月24日、太平洋航路安定化協定(TSA)は、2月8日に活動を停止すると発表した。TSAは1989年に発足し、太平洋航路におけるコンテナ船社の収益の安定化に寄与してきたが、近年運賃設定に関する影響力を大幅に失っていた。TSAの影響力の後退は、近年海運会社の集約化が急速に進んで、3大アライアンス体制になったことや、新たな技術開発によって、船社と荷主との間の直接交渉が容易になったことなどが影響している。本件発表の2日前に世界最大のコンテナ会社のマースクがニューヨーク海運取引市場に投資し、荷主との間のスポット運送契約を同取引所の電子プラットフォームで行うことを発表したが、まさにこうした大きな時代の変遷の前に、定期船同盟の必要性が無くなったといえる。アジア=欧州間の定期船同盟であった極東貨物同盟(FEFC)は2008年の欧州委員会の裁定により、10年も以前に姿を消している。
      • 原文 Jan. 25, 2018, Seatrade Maritime News (長谷部)
    • 3】 ISWANがインドで非登録船員仲介業者撲滅キャンペーンを開始
      • 3】国際船員福祉支援ネットワーク(ISWAN)は世界有数の船員供給国であるインドで、インド海運総局(DGS)に登録していない船員仲介事業者と船員が契約を行わないように船員を啓蒙するキャンペーンを開始した。毎年多くのインド人船員がDGS未登録の船員仲介事業者を通じて契約した結果、海外で放棄され、賃金が支払われないという状況に陥り、さらには、意図せずして違法貨物を運送する船舶に乗り組み、結果として牢獄に長い間収監される船員までいる。さらに未登録船員仲介事業者と契約した船員は、DGS商船局(MMD)が主催する船員資格昇任試験を受けることができないという不利な点もある。このような問題は船員ばかりでなく、船員の家族の生計も不安定なものにし、24時間電話相談(SeafarerHelp)にも多くの相談が寄せられている。ISWANとDGSは協力してインド人船員に対し、未登録仲介事業者と契約するリスクを知らせるポスターを作成して、船員訓練機関などに掲示し、船員の啓蒙を進めている。
      • 原文 Jan. 24, 2018, ISWAN (長谷部)
    • 4】 硫黄分規制強化に適合しない燃料油の輸送禁止案の課題
      • 4】(論説)IMOによる2020年からの燃料油中の硫黄含有分の規制強化に関し、新規制を順守する事業者と順守しない事業者の間に経済的に不合理なコスト格差が発生しないように、新規制の順守を徹底させる観点から、新規制に適合しない燃料油の輸送を禁止する提案が、BIMCO等の事業者団体やClean Shipping Coalition等の環境団体から提案され、IMOで議論される予定だが、本提案には以下のような問題点がある。①2012年から米国の環境保護庁(EPA)は、給油地で規制適合油の供給を受けられないときは、スクラバー非搭載船舶でも「給油不能報告書(Fuel Oil Non Availability Report: FONAR)」を提出すれば、規制不適合燃料油の使用を認めているが、提案に従って、FONARを認めないとしても、全ての港湾で2020年までに規制適合燃料油を供給するのは事実上不可能である。②以上のような状況を踏まえて、船主がスクラバーを既存の所有船に装備しようと思っても、自己の所有船に適合するスクラバーの製造事業者を見つけ、装置を設置できる造船所を手配し、投資に必要な融資を確保するのを2020年までに行うのは事実上困難である。③結局、船主は既存船にスクラバーを設置することを諦めて、スクラバーがあらかじめ装備された新船の建造を検討することになるが、タンカーのダブルハル規制強化が行われた際には、幸運にも2010年の規制強化の前の数年間タンカーの好景気が続き、船主にタンカー買い替えの経済的な余力があったが、長い海運不況に苦しんだ現在、船主が新船建造を決断するにはリスクが高く、必要な融資を受けるのも容易ではない。
      • 原文 Jan.25, 2018, Splash 24/7 (Dafnis)
    • 5】 地球の長期的な温暖化傾向が続く
      • 5】米航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙科学研究所によると、1880年の観測開始以降、世界の平均気温は1度以上上昇したが、2017年まで3年連続で世界の平均気温が19世紀末と比べて1度以上に高く、2017年の気温は観測史上で2番目に高くなった。アリゾナ大学とミシガン大学の共同調査によれば、この3年間の気温上昇の原因は、地球温暖化により、過去20年間に太平洋に貯め込まれた余剰な熱がエルニーニョ現象によって一気に放出されたためと考えられる。この気温上昇と共に熱波、干ばつ、洪水、極氷の融解、珊瑚の白化等の異常気象が世界中に発生したが、同調査の結果、GHG排出量が21世紀中に引き続き増加していけば、このような急激な気温上昇は2100年までに3~9回生じる可能性がある。
      • 原文 Jan. 24, 2018, Maritime Executive (Dafnis)
    • 6】 豪連邦科学産業機構が無人海上運航艇を利用して海洋観測を開始
      • 6】豪連邦科学産業機構(CSIRO)海洋大気グループは、米国のベンチャー企業であるSaildrone社と提携して、3艇の無人海上運航艇を活用して、豪領海内において、海面温度・塩分濃度・海水中の炭素濃度などの情報を収集し、次世代の新たな海事・気象技術開発を促進するためのプラットフォームを設立すると発表した。無人艇は太陽電池と風力を利用して、最大1年間継続的に海上で活動可能で、世界中どこからでも遠隔操縦できるうえ、船舶自動識別装置(AIS)と衝突回避システムを搭載し、他の船舶等との衝突を回避することができる。無人艇には海洋化学・気象・海事音響などの様々なセンサーを搭載して、遠隔地の研究者にリアルタイムの観測情報を送信することができる。
      • 原文 Jan. 25, 2018, CSIRO (長谷部)
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