2018/2/16 LROニュース(6)

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  • 2018.02.16 UP
    2018/2/16 LROニュース(6)
    • 【1】 アラスカ南西部の金・銅鉱山開発に関する前政権の環境評価を当面尊重
      • 【1】アラスカ南西部には15年前から推定埋蔵量約1200億米ドル程度の金・銅鉱山開発の計画があったが、一方で鉱山開発予定地域はアラスカ南西部を流れるいくつかの川の源流域で、これらの川が流れ込むブリストル湾は全世界の紅鮭漁獲量の1/4を生産する世界最大の紅鮭の漁場で、鉱山からの有害物質による汚染を恐れて、漁業者やアラスカの先住民等が鉱山開発計画に反対している。オバマ政権時に、当時の環境保護庁(EPA)は、数年間の科学的な調査を経て鉱山の開発により「大規模で回復し難い環境被害」を紅鮭の生息地に与える恐れがあるという決定を2014年に行った。トランプ政権となった昨春、新EPA長官は開発推進事業者からの陳情を受けて、オバマ政権時代の決定を再検討するようEPA事務方に指示をしていたが、同決定廃止を巡る100万件を超すパブコメ等を経て、1月26日、同長官はさらなるコメントを受け付けEPAとして検討を続ける間、現在の決定の効力を維持すると発表した。トランプ政権の既定方針通り、オバマ政権による決定が廃止されると予想していた開発推進勢力等から政権の方針変更かと驚きをもって受け止められているが、EPA事務当局は今回の決定はあくまで暫定的なもので、開発許可を否定したものではないとコメントしている。開発反対派の独立系のアラスカ州知事は今回の暫定的な決定を歓迎している。
      • 原文 Jan. 25, 2018, Washington Post (長谷部)
    • 【2】 世界一のスマート港湾を目指してロッテルダム港がIBMと提携
      • 【2】1月31日、ロッテルダム港はIBMが提供するIoT技術を利用して、港湾管理者をはじめロッテルダム港の利用者すべてがクラウドで情報を共有し、港湾運用のデジタル化・効率化を促進するためIBMと複数年の協力協定を締結したと発表した。具体的には、同港の42kmにわたる港湾区域内の、全ての岸壁・係船柱・道路等にセンサーを設置し、潮汐・海流・気温・風速・風向・水位・着岸の可否・視認可能距離などのあらゆる気象・海象情報等をデジタル化し、これらの情報がリアルタイムで一覧化できるようなソフトを開発し、船長・水先人・ターミナル管理者・タグボート等の関係者が情報を共有し、港湾運用の迅速・効率化を図る。またこれらの現データをIBMのIoT技術でさらに分析し、待船時間の削減、着岸や貨物積降の最適時間の決定等の意思決定に活用する。
      • 原文 Jan. 31, 2018, ロッテルダム港(長谷部)
    • 【3】 中国の北極政策は脅威か?米国等がなすべきこと。
      • 【3】(論説)1月に中国が最初の北極白書を発表し、北極海に「北極のシルクロード」を作ると宣言したことから、北極評議会のメンバー国をはじめ多くの国が中国の真意に懸念を感じている。白書の中で中国は自国のことを「北極近隣国」と呼び、「利害関係者」と明確に位置付け、2016年には、詳細な北極海北西航路航行のためのガイドブックを発行し、中国の海運企業に北極海航路の試験運航を促している。一方で、2013年に北極評議会の正式オブザーバー国として認められたのち、2017年12月の北極海における商業漁業の禁止協定にも16か国の一員として参加しており、これまでは国際秩序に従った行動をとっている。中国を警戒する前に、まずは米国が国連海洋法条約を批准し、北極海における国際紛争が国際法に従って解決され、米国が主導権を発揮できるようにするべきである。またIMOの極海コードは、現在、貨物船とクルーズ船にしか適用されないが、漁船への適用拡大を検討するべきである。さらに、北極海の環境や漁業資源に関する情報を共有するため「北太平洋海洋科学機構(PICES)」のような国際的科学機関を設立するのも有用である。
      • 原文 Jan. 30, 2018, Bloomberg (長谷部)
    • 【4】 中国がインド洋に海軍基地のネットワークを持つ可能性
      • 【4】(論評)豪のLowy Instituteが中国がインド洋において海軍基地のネットワークを構築する可能性について論じているところ概要以下のとおり。?2017年7月に中国はジプチに海外で初めての基地を建設し、海軍のための軍港と、大型ヘリコプター基地、1万人の兵士が駐屯できる居住施設を整備した。ジブチにはソマリア海賊対策のために、米・仏・日も基地を構えているため、目立たないが、中国軍が中東やアフリカで展開する際の格好の拠点基地となりうる。?パキスタンのグワダル港は中国の一帯一路政策のインド洋に面する拠点港湾として、中国国営企業が管理し多額の投資を行っているが、向こう5年間に中国海軍軍人を含む5万人の中国人が居住することが可能な住宅施設建築計画があり、インド洋における中国にとって事実上、最初の植民地となる。?さらに、グワダル港から西に約60km離れたジワニにはパキスタン軍の小さな軍港と古い飛行場があるが、ワシントンポスト紙によれば、中国がこのパキスタン軍の軍事施設を大幅に拡張して、中国海軍・空軍の基地を建設する工事が間もなく開始されるとされている。?また、中国は最近タンザニアのバガモヨ新港の支配権を握り、アフリカ東岸に拠点を確保したほか、スリランカのハンバントータ港の支配権も握っている。
      • 原文 Jan. 30, 2018, Lowy Institute (長谷部)
    • 【5】 ECが独、仏、伊等に大気汚染に関する基準の達成を督促
      • 【5】欧州委員会(EC)は、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質の排出制限を超えた加盟国に対して厳格な対応をとると警告した。ECの推計によれば、欧州において毎年約40万人が大気汚染が原因で死亡ており、EU加盟全28か国のうち、23か国で大気汚染は2005年と2010年に決定したEU制限を依然として超えている。1月30日、チェコ、ドイツ、スペイン、フランス、イタリア、ハンガリー、ロマニア、スロバキアと英国の環境大臣は、ベラ欧州委員との会議において、各国の政府がEUの大気汚染規制を満たすための努力について説明を行った。しかし、ベラ委員は、大気汚染に関する法的義務を果たす期限はずっと前に過ぎたので、さらなる遅延を認めないと述べた。会議中に幾つかの提案が行われたが、追加的な対策が実施されない限り、大気環境基準の違反は2020年以降も長く継続するので、加盟国の政府は翌週までに、各国による現在の提案を改善しなければならないと、ベラ委員は述べた。ブルガリアとポーランドは既に大気汚染の違反でEUにより提訴されている。
      • 原文 Jan. 30, 2018, Reuters (Dafnis)
    • 【6】 中国主導で沈没したサンチ号の燃料を回収する試みが継続
      • 【6】2月1日、中国交通部は中国のサルベージチームが沈没したサンチ号から燃料の重油を回収する試みを継続していると発表した。5隻の中国船と日本船・韓国船が1隻づつ、サンチ号から広範な海域に流出した油の回収作業に従事した。
      • 原文 Feb. 1, 2018, Reuters (長谷部)
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