2018/2/15 LROニュース(6)

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  • 2018.02.15 UP
    2018/2/15 LROニュース(6)
    • 【1】北極研究院が北極海の安全な海上交通に関する報告書を発表
      • 【1】米ワシントンの北極研究院(The Arctic Institute)が「北極海の海上交通の複雑性(The Complexities of Arctic Maritime Traffic)」と題する報告書を発表し、懸念される問題点等を論じているところその概要は以下のとおり。?北極海における海上交通は今後とも増加する見通しだが、厳しい気象海象条件・割高な保険料・砕氷船のコスト・緊急事態発生時の対応体制の不確実性など解決すべき課題は多い。?北極海航路は「内水」としてロシア政府の管理下に置かれ、2013年から北方航路庁(The Northern Sea Route Administration: NSRA)が北極海北航路の管理にあたってきたが、ロシア政府が北極海北航路関係の組織を統合し、NSRAに代わり国営企業のロスアトム社が一元的に同航路の管理責任を負うが、このことにより同航路の管理の透明性が減り、安全運航の担保についても懸念が生じる。?2017年10月20日までに、NSRAは85件の安全規制違反を摘発したが、その大部分は航行条件に対応した船級を持たない船舶が航海を行ったものだった。IMOの極海コードは規制の順守に関する権限を旗国に任せているが、便宜置籍国船を念頭に置くと、IMOと北極評議会が協力してよりしっかりした安全規制の適用を担保する仕組みの構築が必要である。
      • 原文 Jan. 30, 2018, The Arctic Institute (長谷部)
    • 【2】 パキスタン・グワダル港の第1期自由貿易地域が完成
      • 【2】グワダル港に完成した第一期自由貿易地域には、約30の企業が4億7400万米ドルを投資している。自由貿易地域の開業とあわせて、イラン・中国・アフガニスタン・サウジアラビア・オマーンの企業が参加して、最初の国際博覧会が同時開催され、同港の更なる開発のため、1月29日、パキスタンと中国は新たに6つの協定を締結し、グワダル港と天津港が姉妹港に、グワダルとPiungが姉妹都市となった。港湾管理者であるChina Overseas Ports Holding Company Pakistan (COPHC)はグワダル港について、2013年から40年間の租借権を有し、グワダル港から派生する海事関係の収益の9割と、自由貿易地域の管理から派生する収益の85%を受け取る一方で、パキスタン政府から非課税特権も得ている。グワダル港はアラビア海に面し、中国ウイグル自治区のカシュガルとの間を鉄道・道路・石油ガスパイプラインでつなぐ中国・パキスタン経済回廊(CPEC)の起点となる。
      • 原文 Jan. 29, 2018, The Maritime Executive (長谷部)
    • 【3】 海事労働条約改正に伴うP&Iクラブと被保険者の関係
      • 【3】海事労働条約(MLC 2006)の改正により新たに発生する船主の経済的な責任に関し、国際P&Iグループ(IG)の理事会は、当該船主の新たな責任に対応する証書をP&I保険各社が発行することに合意した。新たに発生する船主の責任中、船員の死亡や長期間の後遺障害は既存の標準的なP&I保険でカバーされ、新たに船主の負担は発生しないが、未払い賃金の支払い保証や船員の本国帰還費用等の諸経費は、標準的なP&I保険の支払い対象ではなく、MLC証書の発行者として仮にP&I保険会社が、当該船員等に対し、未払い賃金等を支払った場合には、P&I保険会社は会員船主に対し求償する権利があり、会員船主のみならずMLC証書申込書に記載される共同被保険者等に対しても求償することができる。
      • 原文 Jan. 30, 2018, West of England (長谷部)
    • 【4】 ITOPFが2017年油濁事故統計を発表
      • 【4】国際タンカー船主汚染防止連盟(ITOPF)が2017年油濁事故統計を発表したところその概要は以下のとおり。?2017年に発生した流出油量が700トン以上の大規模油濁事故は2件。流出量が7トン以上700トン以下の中規模油濁事故は4件だった。もっとも大規模な事故は、6月にインド洋で5000トンの油を積載したタンカーが沈没した事件で、2番目は、9月にギリシア沖で発生した事故で約700トンの油が流出した。?同年中に海洋に流出した油の総量は約7000トンで、殆どがインド洋で発生した最大の事故によるものだった。?過去48年間に発生した中規模以上の油濁事故件数は一貫して減少してきており、2010年以降の平均値は6.6件と、1970年代の78.8件と比べると10分の1以下になっている。
      • 原文 Jan. 31, 2018, ITOPF (長谷部)
    • 【5】 アラスカ州知事が石油ガス資源開発海域を限定することを要求
      • 【5】1月30日、アラスカ州知事は、海洋石油ガス資源の開発を原則支持しつつも、米内務大臣に対し、開発許可の対象海域を最も有望な北極海のボフォート海・チュクチ海とアラスカ南部のクック諸島に絞り込み、ベーリング海やアラスカ湾の他の11海域は開発許可の対象から外すべきであるとの意見を提出した。さらに長年にわたり認められてきた先住イヌピアット族が捕鯨を行うための緩衝海域とチュクチ海沿岸で伝統的に認められてきた25マイルの開発禁止緩衝地帯を引き続き認めるように要請した。アラスカ州知事は民主党にも共和党にも属さない独立系の知事だが、知事の要請はアラスカ州選出の全ての民主党議員から支持されている。
      • 原文 Jan. 30, 2018, Reuters (長谷部)
    • 【6】 欧州環境機関が交通・環境報告メカニズムの年次報告書を発表
      • 【6】1月31日、欧州環境機関(EEA)が航空・海運分野に焦点を当てた「交通・環境報告メカニズム(Transport and Environment Reporting Mechanism: TERM)」の年次報告書を発表した。同報告書によれば、欧州のGHG排出削減・持続可能な開発目標を達成するには、燃費の向上によりGHG排出を削減するような段階的な措置は十分ではない。さらなる対策が実施されない限り、2050年までに航空・海運分野からの二酸化炭素排出は世界全体の排出量の40%を占めると予測されている。両分野においては、既存の運航方法を変化させるのは困難であり、環境への配慮が少ない従来型の空港・港湾のインフラへの既存の投資、航空機と船舶の耐用年数が長いというのも、環境性能に優れた機械・船舶に速やかに買替えることを妨げることもある。各国の政府は技術開発への投資、新技術への補助金及び規格の設定、新技術の実行可能性に関する情報やデータの共有を支援するために、航空・海運活動による環境への影響を低減することで大きな役割を果たさなければならない。
      • 原文 Jan. 31, 2018, 欧州環境機関(Dafnis)
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