2018/12/18LROニュース(6)

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  • 2018.12.19 UP
    2018/12/18LROニュース(6)
    • 【1】 シンガポールの開放型スクラバーの使用禁止をめぐる影響
      • 【1】(論説)シンガポール海事港湾庁(Maritime and Port Authority : MPA)は、IMOの硫黄含有分規制が強化される2020年1月から、開放型スクラバーの使用を禁止することを発表したが、同港は入港船腹量が世界最大、取扱いコンテナ貨物量も世界第2位と世界において大きな影響力を持っており、今回の発表は2020年規制対策として開放型スクラバーを選択した船主の間に大きな波紋を広げている。開放型スクラバーの使用が禁止されれば、相当数の船舶が同港に寄港する際、燃料の切り替えに時間を要する他、スクラバーの費用対効果も縮小し、さらに他国も同様の規制を導入すれば、複数の港に寄港するコンテナ船の船主はとりわけ不都合を受けるであろう。MPA長官は本規制を発表した際に、他の港湾も同港に追随する可能性があると非公式に発言しており、同国が今回の規制強化について他の主要海運国等と非公式の意見交換もなしに本規制を発表したとは考えにくいこと、また、同国が環境規制で孤立することを望むはずがないことから、今後、十分な通告期間もなく同様の規制強化に踏み切る国が出てくる可能性がある。
      • 原文 Dec. 5, 2018, Seatrade Maritime News(野口美由紀)
    • 【2】 米、日本海で「航行の自由」作戦を実施
      • 【2】米太平洋艦隊報道官によれば、同艦隊に所属するミサイル駆逐艦が12月5日、ウラジオストク沖のピョートル大帝湾付近を航行する「航行の自由」作戦を実施した。ロシアはピョートル大帝湾を、通常の領海(基線から12マイル)を超えて国際法上の内水とする「歴史的湾」と主張しているが米はこれを認めていない。同報道官は声明で、ロシアの過剰な海洋権益の主張に対抗し、米国や他の国が合法的に海域を利用する権利を保護するために航行したと説明するとともに、米は日本海であろうが世界中の他の海域であろうが、国際法が許す場所ならばどこでも飛行し、航行するとしている。また5日のCNN報道によれば、米はロシアとウクライナが対立する黒海でも同作戦を実施する計画があるとされている。
      • 原文 Dec. 5, 2018, Voice of America(武智敬司)
    • 【3】 米国:海洋政策における今後10年の重点政策から温暖化を削除
      • 【3】(論説)全米研究評議会(National Science & Technology Council)の海洋科学技術小委員会と環境委員会が11月に発表した「米国の海洋のための科学と技術:10年構想(Science and Technology for America's Oceans: A Decadal Vision)」は、米政府が今後10年にわたって優先的に取り組む海洋政策を定め、関係当局に予算編成や研究に関する指針を提示す重要な計画書である。しかし、今回の計画書で掲げられた5つの最重要目標に温暖化に関するものはなく、オバマ政権時代に策定された2013年版に含まれていた「人類起源の温暖化」との文言も削除された。このことについて、トランプ大統領の批判者らは、同大統領が今夏、同国の海洋政策の重点を経済と安全保障に見直すよう大統領令を発動したことを例に挙げ、本計画書も気候変動懐疑論者と連携し、気候変動プログラムへの予算を大きく削減する意思を表したものだと見ている他、海上風力発電等を進める業界団体も海洋エネルギーに関する将来像が非常に不明瞭だと批判している。本計画書では、安全保障や経済繁栄の項目に海洋酸性化や温暖化が食糧安全保障に及ぼす影響や海面上昇のモニタリングの必要性について論じられていることなどから、名目が違うだけで多くの研究は維持されるとの見方もあるが、これまでのトランプ大統領の対応を考えると、多くの人が懐疑的な見方を示している。
      • 原文 Dec. 5, 2018, E&E News(野口美由紀)
    • 【4】 中国とポルトガルが一帯一路連携協定を締結
      • 【4】12月5日、G20の帰路、ポルトガルを訪問した中国の習主席は、同政府と一帯一路連携協定を締結した。中国企業はこの数年間に100億ユーロをポルトガルに投資しており、この結果ポルトガルは欧州の中で中国の投資を最も多く受け入れた国となった。中国からパナマ運河を経由した場合、ポルトガルが欧州の中で最も近い港湾となることから中国はポルトガルを重視しており、上記連携協定とは別に、ポルトガル北部のマトジニョシュ港に中国から輸入した食品の加工センターを建設することも合意された。両国は既に、農業・漁業・海洋学に関する情報を収集するための小型衛星の共同開発や中国のHuaweiが協力してポルトガルに5Gのネットワークを開発することに合意している。
      • 原文 Dec. 6, 2018, Euractiv(長谷部正道)
    • 【5】 米国会計検査院:米国籍船と米国人船員の維持に関する報告書
      • 【5】米国会計検査院(Government Accountability Office: GAO)が運輸省(Department of Transport: DOT)に対して、米国籍船の競争力の強化と米国人船員の確保に関する戦略を速やかに策定することを求める報告書を11月29日に発表したところその概要は以下のとおり。①DOTは2014年に議会から、米国籍船の競争力の回復と米国人船員の確保についての戦略を議会に報告するように求められていたが、いまだこの義務を果たしていない。②有事にあって、国防総省(DOD)は、政府の保有する船舶を運航する米国人船員の確保が必要であるため、2018年8月にGAOは、DOTに対して、議会がこうした国防上の課題を検討するにあたって必要なDOTの戦略がいまだ作成されていないことを指摘した。③議会は、2019財政年度国防授権法に基づき、DOTが議会に上記戦略を提出する期限を2020年2月まで延長し、DOTもこの期限までに戦略を策定することに同意している。④米国籍船の運航コストが世界標準を大幅に上回り、米国籍船だけが運送できる政府貨物の量も減少し続けているため、1990年末に199隻あった米国籍船は2017年末には82隻と半分以下となり、職場を失った米国人船員の数も減少している。⑤DOTは規制緩和を行って、米国籍船の運航コストの引き下げを行うとともに、原油やLNGの輸出に米国籍籍船を使用することを義務付けることを検討すべきである。⑥有事の際にDODが必要とする米国人船員数と現在の船員数を比較した結果、1800人を超える米国人船員が不足するという試算もあるが、DOTは実際に国防有事の際に必要となる米国人船員数の精査を行い、有事の際に、国防上の要請にこたえて、乗船する意思のある船員の予備役制度の検討を進めるべきである。
      • 原文 Nov. 29, 2018, GAO(長谷部正道)
    • 【6】 いまだ謎の多い海洋プラスチック汚染の現状
      • 【6】(論説)この数年、気候変動と並んで大きく取り上げられるようになった海洋プラスチック問題に関して、小規模な草の根レベルの活動から、国際連携による衛星を用いた追跡調査まで世界中で様々な野心的な取組が行われているが、それらの目的はすべて共通しており、毎年海洋に流出している何百万トンものプラスチックごみがどのようにして広大な海原を移動し、最終的にどこにたどり着くのか明らかにしようとしている。これらの情報は、科学的好奇心を満たすだけでなく、問題解決に向けた変革を促す上で不可欠な要素であるが、蘭ユトレヒト大学の物理学者は海洋に流出したプラスチックごみの99%は行方がわかっていないと指摘する。海洋に流出したプラスチック片は水と同じ動きをせず、大きさや浮揚性、重さも様々であるため、風や波、太陽によって受ける影響も異なり、実物を追跡するのは非常に難しい。そのため、どこからどこに移動するか予想することは、推測ゲームのようなものである。それら課題に対応するため、現在、ハワイ大学の研究者や欧州の研究チーム、欧州宇宙機関等がドローンや航空機、衛星等による広域調査を行っているが、成功すれば汚染状況を広く把握でき、流出場所や集積場所、プラスチックごみの移動に関する手がかりとともに、より明確で包括的な情報を政策立案者に提供することも可能である。そうすれば、2021年に予定されている国連環境計画管理理事会でプラスチック問題に対処するための国際的な議論と計画策定を促すことにもつながるであろう。
      • 原文 Dec. 4, 2018, Hakai Magazine(野口美由紀)
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